美容サプリメントの人気が高まっている。コラーゲンやビタミンCなどの成分を含む製品が、シワや肌荒れなどに対する効果で販売を伸ばしている。富士経済が2024年10月に最新の調査結果を発表した。
サプリ市場全体はやや減る
サプリ市場全体は23年に前年比1.4%減少し、1兆606億円になった。15年に始まった機能性表示食品制度の後押しを受け、体調管理や健康維持、コロナ禍の生活様式変化に伴って、サプリ人気が続いていた。一方、23年は海外からの来日外国人がサプリを購入するインバウンドの動きが回復したものの、通販でのサプリ販売の競争が激しくなったり、広告表現の規制が強化されたりしたことで、新しくサプリを買い始める層が販売額は伸び悩んだという。特に脂肪やコレステロール値の改善を目的としたサプリの購入者が減った。
それに対して人気だったのが美容サプリだった。コラーゲン、プラセンタ、ヒアルロン酸など、美容効果を訴求している美容サプリの市場規模は前年から9.6%増の584億円となっている。さらに、健康意識の高まりも影響して、美容ばかりではなく健康や体調管理を目的とした栄養素の関心も高まっているようだ。加齢によるコラーゲン減少を補えるとする「ニッピコラーゲン100」などが人気を博している。
富士経済では、2024年以降、コラーゲン、ビタミンC、アスタキサンチンの伸びが目立つと予想している。24年にはコラーゲンが前年比0.4%増の228億円、ビタミンCは前年比48.1%増の40億円、アスタキサンチンは7.1%増の15%などとなっている。ビタミンCの伸びが突出している。
成分種類別 | 2024年見込 | 2023年比 | 2025年予測 | 2023年比 |
---|---|---|---|---|
コラーゲン | 228 億円 | 100.4% | 234 億円 | 103.1% |
プラセンタ | 74 億円 | 97.4% | 72 億円 | 94.7% |
ヒアルロン酸 | 69 億円 | 98.6% | 70 億円 | 100.0% |
セラミド | 27 億円 | 96.4% | 27 億円 | 96.4% |
ビタミンC | 40 億円 | 148.1% | 49 億円 | 181.5% |
アスタキサンチン | 15 億円 | 107.1% | 16 億円 | 114.3% |
その他 | 145 億円 | 102.1% | 145 億円 | 102.1% |
スポーツサポート分野の堅調な成長
プロテインやアミノ酸が主成分の商品を中心にスポーツサポートサプリの需要が伸び続けている。23年はユーチューバーが監修した商品や、必須アミノ酸のEAAを含む筋肉の疲労回復サポート商品が注目を集めた。この分野ではプロテインに次いで、EAAが筋肉生成や運動後の回復サポートとしての認知が広がり、企業の新規参入が進んでいる。24年にはパリ五輪の影響もあり、スポーツサポート市場への注目が一層高まると予測されている。
サプリメント市場は、美容やスポーツサポート分野を中心に一定の成長が見込まれる一方で、安全性や品質管理に対する消費者の関心が高まっている。24年に紅麹の健康被害が報告され、その安全性への懸念が浮上した。この動きはサプリメント業界にとって逆風となる可能性がある。
サプリメントと関連の深い機能性表示食品の規制が強化され、品質管理が医薬品と同等になる方向性が示されている。これにより、サプリメントの安全性や信頼性が向上することが期待されるが、企業側には対応が求められる。消費者の健康志向や美容への関心が高まる中で、安全で効果的な製品を提供することが、サプリ市場のさらなる発展につながるだろう。