平日と休日で就寝・起床時刻が異なることによる社会的な時差ぼけ「ソーシャルジェットラグ」が、肌の毛穴の目立ちや顔の赤みの増加に関与するようだ。
コーセーが実施した最新の研究で、この現象が肌に及ぼす具体的な影響が明らかになった。
睡眠リズムのズレが肌に与える影響

睡眠の時間の中央の時間を、平日と休日で比較する。(出典/コーセー)
社会的な時差ぼけは、体内時計の乱れによって生じる。2006年にドイツ・ミュンヘン大学の時間生物学教授ティル・ローネンバーグ氏らが提唱した概念だ。その論文によると、人には「朝型」や「夜型」といった個性があると指摘されている。学校や職場などにおいて、生物学的に適した睡眠や活動の時間と、社会的に要求される時間との間にズレが生じると説明し、このズレをソーシャルジェットラグと定義している。
今回の研究では、ソーシャルジェットラグが肌の状態にも影響を与えることが調査された。
まず、10~20代の女性67人を対象にしたアンケートでは、睡眠時間の「中央時刻(就寝時間と起床時間の間のちょうど中央の時間)」の平日と休日との間のズレを、「1時間未満」「1時間以上2時間未満」「2時間以上」の3つのグループに分類し、肌悩みとの関連を分析。

社会的な時差ぼけの時間の幅が長い方(濃い青の2時間以上)が毛穴が目立つなどの変化が見られた。(出典/コーセー)
その結果、1時間以上のズレがある群では、図のように特に毛穴の目立ちや顔の赤みを強く感じる傾向が確認された。むくみやつやのなさでも差が認められた。
美肌に一定の睡眠リズムが重要

社会的な時差ぼけを意図的に引き起こすことで毛穴が目立つようになった。(出典/コーセー)
さらに、20代女性23人を対象として、睡眠の試験を実施した。通常の生活リズムを維持しながら週に2日だけ2時間遅らせて就寝および起床する生活を2週間続け、その前後で肌状態を測定。その結果、毛穴の目立ちや顔の赤みが有意に増加し、アンケートの結果とも一致することが明らかとなった。
睡眠と肌との関連では、睡眠の長さに加えて、1日1日の就寝時間と起床時間のリズムについても、肌の状態に関連してくるという研究結果が示された。
睡眠を規則的に取るのは必ずしも簡単ではないが、肌の健康を維持するためには意識的な日ごろの注意が求められる。
また、ソーシャルジェットラグの定義から考えると、朝型・夜型それぞれの人が、自分に適した睡眠のタイミングからずれた生活を送ることで、肌に影響が及ぶことが予想される。こうした点にも注意を払うとよさそうだ。