
眼瞼下垂かどうか。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
眼瞼下垂が、単なる外見や視界の問題にとどまらず、メンタルヘルスとも関係があることが分かってきた。
米国の2つの研究グループが2025年6月と7月に、大規模なデータベース「All of Us」に基づいて発表した。
うつ病や不安症が多く

メンタルヘルスの問題が?画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 研究の概要→
ペンシルバニア大学らの研究グループが、眼瞼下垂の診断歴がある1032人と、年齢・性別・併存疾患をマッチさせた対照群3096人を比較し、メンタルヘルスとの関係を分析した。- うつ病との関連→
眼瞼下垂がある人のうつ病率は15.3%で、対照群の5.2%を大きく上回り、統計解析ではオッズ比3倍以上と報告された。- 不安症との関連→
眼瞼下垂群では不安症の割合が43.7%で、対照群の18.2%よりも明らかに高く、こちらもオッズ比で3倍以上の偏りがあった。
眼瞼下垂は、美容医療にとって身近な症状の一つ。日常生活に支障が出ている場合には保険診療で治療されることがあれば、美容の観点から自由診療で治療されることもある。
今回ペンシルバニア大学を中心とする研究グループは、眼瞼下垂の診断歴がある1032人(平均年齢70歳)を、年齢や性別、一緒に存在する病気などに基づき、条件を合わせた眼瞼下垂のない対照グループ3096人とマッチングし、メンタルヘルスとの関連を分析した。
その結果、眼瞼下垂がある人では、うつ病の認められる人の割合が15.3%で、対照群の5.2%に比べて、明らかに高いことが確認された。
統計的な解析により、眼瞼下垂のある人はそうでない人と比べて、うつ病があるかないかという点で、3倍以上の偏りがあると認められた(専門的にはオッズ比として3倍以上)。
さらに、不安症(不安障害)も43.7%で対照群18.2%と比べ、多かった。統計学的に見て、眼瞼下垂のある人の方が、不安症があるかどうかという点で、やはり3倍以上の偏りがあると報告された(同、オッズ比として3倍以上)。
その他の分析からは、眼瞼下垂のある人は孤独感や差別感も高かった。
うつ病や不安症などの精神的な問題は、特に女性で有意に多かったと報告された。
精神疾患に幅広く関連が認められた

精神疾患の可能性も。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 研究対象→
コーネル大学の研究では、眼瞼下垂患者4411人と、条件を揃えた対照者4411人を比較。- 精神疾患の割合→
眼瞼下垂のある人での発症割合は、うつ病44.9%(対照群27.8%)、不安症46.8%(同28.9%)、双極症5.8%(同3.6%)、統合失調症1.8%(同1.1%)、依存症23.4%(同17.0%)。- 全体的な傾向→
少なくとも1つの精神疾患を抱える割合は63.4%で、対照群の44.8%よりも明確に高かった。
一方、コーネル大学による別の研究では、4411人の眼瞼下垂患者と同数の対照者をマッチングして比べている。
この研究では、うつ病や不安症に加え、双極症(双極性障害)、統合失調症スペクトラム、依存症なども含めた精神疾患との関連を調べた。
その結果、眼瞼下垂のある人は精神疾患を抱える人が多かった。うつ病44.9%(対照群は27.8%)、不安症46.8%(同28.9%)、双極症5.8%(同3.6%)、統合失調症スペクトラム1.8%(同1.1%)、依存症23.4%(同17.0%)と報告された。全体として、少なくとも1つの精神疾患を抱える割合は63.4%と、対照群(44.8%)より多かった。
統計解析では、眼瞼下垂のある人で、不安症のあるなしの偏りは1.92倍、うつ病は1.90倍だった。
眼瞼下垂による外見の社会的評価が精神状態に影響している可能性が考えられる。
