
SNS発信と美容は切っても切れない関係に。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
SNSは美容医療と切っても切れない存在になりつつある。
トルコの皮膚科医を対象とした調査研究が行われ、SNSにおける発信実態とその課題についての論文が2025年7月に美容皮膚科誌に発表された。
誤まった情報を正していくにはどうしたらよいか、専門医の役割などが注目された。
皮膚科医の声はSNSにある?

医療関連のインフルエンサーの中に医師の割合はごく少数という報告。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- SNS上の美容・皮膚科情報の多くが非専門家→過去の調査では、SNSで皮膚科情報を発信するインフルエンサーのうち、専門医はわずか4%だった。
- 専門医による正しい情報発信が求められる→信頼性を確保するためには、皮膚科医自身による発信が不可欠だが、適切に行われているかが課題視されている。
- トルコで皮膚科専門医を対象に実態調査→2024年5〜8月に、トルコの皮膚科専門医137人を対象としたSNS活用に関するアンケート調査が実施された。
インターネットとSNSの普及により、美容や健康に関する情報は誰もが自由に発信できる時代となった。
一方で、皮膚科や美容医療の分野では、誤った情報が広がっていると問題視されるようにもなっている。
過去の調査によると、SNS上で皮膚科に関する投稿を行うインフルエンサーのうち、皮膚科専門医はわずか4%に過ぎないという結果もある。資格のない「スキンケア専門家」を名乗る個人が多いとされる。
皮膚科医自身が信頼できる情報を発信することが求められているが、実態はどうなのだろうか。また、たとえ医師でも適切に発信できているかという点も関心を持たれている。
今回、研究グループは、トルコ国内の皮膚科専門医137人を対象に調査をした。
SNS上での情報発信の実態と課題を明らかにするため、2024年5月から8月にかけて、WhatsAppやFacebookのグループ、メールなどを通じてオンライン質問票が配布され、36項目に及ぶ内容が回収・分析されました。
皮膚科医全体の34%が発信

SNS情報発信には課題もある。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 発信は美容領域に偏り、科学的根拠は乏しい→皮膚科医のSNS発信は34%にとどまり、内容はニキビや美容施術が中心で、皮膚がんや希少疾患の情報は少なかった。文献を添えるなど科学的根拠の提示は限定的だった。
- 症例画像の使用に倫理的課題→多くの医師が症例写真を適切な配慮なく使用しており、法的・倫理的理解が不十分な実態が明らかになった。
- SNSは来院行動に影響も、運用には注意→投稿が患者の受診行動に影響を与える一方、医師の心理的負担や燃え尽きへの懸念も指摘され、慎重な活用が求められている。
その結果、皮膚科に関する情報をSNS上で積極的に発信している医師は全体の34%にとどまった。主にInstagramとWhatsAppが利用されていた。
発信内容としては、ニキビ(87%)やボツリヌス療法(80%)、スキンケアに関する情報(53%)が多く、美容領域への関心が特に高かった。
一方で、皮膚がんに関連する情報を共有していたのは全体の約29%、希少な病気では17%と、全体に美容のテーマに偏っていると見られた。
科学的根拠が明示されることは限定的で、すべての投稿に文献を添えていた医師は5人だった。
課題になりそうなのは、症例の画像の使用に関する法的、倫理的理解だった。多くが適切な配慮を欠いた状態で発信を行っている実態が浮かび上がった。
参加医師の79%が、「自身の投稿が、来院者の受診行動にプジティブに影響した」と感じており、SNSが医療の入り口として一定の機能を果たしていることも分かった。
回答者の約半数がSNSの個別メッセージで治療に関する質問を受けており、投稿内容に活用していたと答えていた。
研究によれば、SNS発信は便利な一方で、心理的な負担、燃え尽き症候群との関連を指摘する研究もあり、慎重な運用が求められます。
日本でも、SNSで症例の発信が許可されているかどうかなど、倫理的な問題が話題になることがある。美容とSNS発信は国際的な課題といえそうだ。
