ポイント
- 更年期や生理周期が肌のバリア機能に与える影響が詳しく報告された。
- 排卵期は保湿状態が良好だった一方で、黄体期は水分が失われやすくなる傾向。
- 閉経後は肌の保湿力が低下し、乾燥やかゆみが増し、保湿ケアが重要に。

ホルモンの変化と肌バリアの状態が関連。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
更年期や生理周期が肌に影響を及ぼすことは、これまでも言われてきた。今回、セルビアの研究チームが、肌のバリア機能の変化を丁寧に調べ、その関係を裏づけた。
この報告は2025年7月、皮膚科学の専門誌に掲載された。
肌バリア機能の変化、その一因はホルモンの変化

肌バリアの状態が良くない時期も。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 研究対象→18〜65歳女性81人を「生理がある女性」と「閉経後の女性」に分けて調査。
- 評価指標→①経表皮水分蒸散量(TEWL:水分が失われる量)②角層水分量(SH:角層に残る水分量)。
- 測定タイミング→生理がある女性では排卵期と黄体期の2つの時期で測定。
肌のバリア機能は、肌の水分を保つ能力と外部からの刺激から守る機能を意味する。肌のバリア機能は、年齢や季節、生活環境に加えて、体の内側からの影響、中でもホルモンの動きにも左右されるとされる。
特に、女性では、生理周期や更年期が肌の変化と関わるとの指摘がなされている。例えば、一般的に生理前の肌荒れが指摘されることがよくある。しかし、それを裏づける科学的データは決して多くなかった。
今回の研究では、18歳から65歳の女性81人を対象とし、生理がある時期の女性と、閉経を迎えた女性の2つのグループに分けて調査が行われた。
注目されたのは、肌の表面から失われる水分の量(経表皮水分蒸散量、TEWL)と、角層にとどまる水分の量(角層水分量、SH)という2つの指標。これらの数字から、肌のバリア機能を評価した。
生理がある女性では、排卵期と黄体期の2つのタイミングで測定が行われた。排卵期とは、おおむね生理開始から2週間ほど経った時期で、黄体期はその後に続く時期。
肌のバリア機能低下はかゆみや乾燥感につながる

肌バリアを意識してスキンケアを行うことも意味を持つ。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 排卵期の肌→角層水分量(SH)が増加し、うるおいが保たれていた。
- 黄体期の肌→経表皮水分蒸散量(TEWL)が上昇し、水分が逃げやすくバリア機能が低下傾向。
- 閉経後の肌→SHが有意に低下し乾燥しやすい。かゆみや敏感さも強く表れやすい。
分析の結果、排卵期のほうがSHが増加して、角層にとどまる水分量が高く、うるおいが保たれていた。
一方、黄体期では水分が逃げやすく、TEWLの値が上昇していた。これは、肌のバリア機能がやや弱まる傾向を示していると考えられる。
さらに、閉経後の女性では、SHの値が排卵期の女性よりも統計学的に有意に低くなっており、乾燥を感じやすい状態にあることが分かった。ただし、TEWLについては閉経前後で大きな差は見られなかった。
さらに今回の研究では、肌の水分量などの客観的なデータだけでなく、かゆみや乾燥感といった主観的な感覚の違いも調べられた。
生理周期においては黄体期にかゆみや乾燥を訴える傾向が見られ、閉経後の女性では、いずれの時期に比べても、かゆみを感じる度合いが高くなっていた。
閉経後の女性では、「肌がかさつく」「かゆい」といった自覚症状が、排卵期や黄体期に比べて明らかに強く表れていた。
また、肌の敏感さを示すスコアにも差があり、閉経後は肌が刺激に反応しやすくなる傾向が示された。
さらに、乾燥を感じている人ほど、SHの値が低くなるという明確な関連も確認された。
こうしたデータは、客観的な肌のバリア機能の状態と、本人が感じる感覚とが密接に結びついていることを示している。日常のスキンケアや医療を利用するときにも見逃せない視点となる可能性がある。
肌のバリア機能の状態は、体の内側のリズムにも左右される。こうした変化を踏まえたケアを行うことが、健やかな肌を保つうえで重要といえそうだ。
参考文献
Nikoletić ĐC, Ivanov D, Levakov O, Bulajić J, Lukač S, Rakić VK, Ivkov-Simić M. Menopause, Menstrual Cycle, and Skin Barrier Function. Skin Res Technol. 2025;31(7):e70203. doi:10.1111/srt.70203
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40583043/
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https://biyouhifuko.com/news/research/12853/
