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肝斑治療「フラクショナルレーザー+トラネキサム酸」短期改善効果、治療後は再発進み長期効果は限定的、テヘラン大学が試験の結果を報告

カレンダー2025.8.27 フォルダー最新研究

ポイント

  • 肝斑治療でフラクショナルレーザー+トラネキサム酸で治療終了時に改善効果が見られた。
  • 治療終了後の1〜3カ月で再発が進み、トラネキサム酸のみの治療との差がなくなった。
  • 満足度は全体的に高かったが、治療終了後の効果は低下傾向。今後効果の持続など課題に。
悩ましい肝斑の問題。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

悩ましい肝斑の問題。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 再発を繰り返しやすく治療の難しい、顔にシミを作る「肝斑(かんぱん)」に対して、短期的に有効な治療の効果が報告された。

 イラン、テヘラン大学の研究チームが、ノンアブレイティブ(非焼灼)フラクショナルレーザー(NAFL)とトラネキサム酸の塗り薬を組み合わせることで、治療期間中のシミ改善に有効であることを確認した。

 一方で、治療終了後には再発が多く見られ、長期的な効果には課題もあった。

繰り返す肝斑、治療が難しい

さまざまな要因で起こる肝斑。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

さまざまな要因で起こる肝斑。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 併用療法→効果を高めるためにレーザーと組み合わせ。特にNAFL(ノンアブレイティブ・フラクショナルレーザー)が注目。
  • 研究概要→テヘラン大学で27人対象のスプリットフェイス試験。両頬にトラネキサム酸、片側のみNAFL追加で効果を比較。
  • 評価指標→m-MASIスコア、専門医評価(PGA)、本人の満足度で治療効果を追跡。

 肝斑は、頬や額などに左右対称の茶色いシミが現れる皮膚の変化で、紫外線やホルモンバランス、遺伝的要因などが複雑に関与する。

 これは特に女性に多く、妊娠などをきっかけに悪化することもある。

 肝斑の厄介な点は、治療をしても再発を繰り返しやすく、長期間にわたって治療に取り組む必要があることだ。皮膚科ではハイドロキノンやトレチノインなどの外用薬が使われてきたが、刺激感や副作用のリスクもある。

 そうした中で注目されているのが「トラネキサム酸」による治療。

 これはもともと止血薬として使われてきたが、シミ改善作用が報告され、塗り薬、飲み薬の両面から活用されている。

 一方で、塗るだけでは浸透が不十分なケースもあり、効果の持続性や再発防止には限界があった。

 そこで、より確実な治療効果を目指して、レーザー治療との併用が検討されるようになっている。

 中でも注目されているのが、肌表面を傷つけずに真皮に熱を加える「ノンアブレイティブ・フラクショナルレーザー(NAFL)」との組み合わせ。

 今回の研究は、イランのテヘラン大学の皮膚科で実施された「ランダム化スプリットフェイス試験」によるものだ。

 対象となったのは、左右対称に肝斑がある18〜65歳の27人。いずれも顔全体に5%トラネキサム酸クリームを1日2回使用し、その上で顔の片側だけにノンアブレイティブ・フラクショナルレーザー(NAFL、1540nm)を3回、4週間おきに照射した。もう片側はトラネキサム酸のみの治療を行った。どちらの治療を行うかはランダムに選ばれ、同一人物の顔で効果を比較する設計となっている。

 効果の評価には、肝斑の重症度を数値化する「改良メラズマ面積重症度指数(m-MASI)」、専門医による総合評価(PGA)、さらに治療を受ける本人の満足度が用いられた。治療終了時とその後1カ月、3カ月の時点で追跡調査が行われた。

再発は避けられず、維持療法が課題

青(レーザー+トラネキサム酸)とオレンジ(トラネキサム酸単独)の肝斑重症度の推移を示す。治療開始時(左端)から終了時(2番目)、終了1か月後(3番目)、終了3か月後(右端)にかけて、いずれの群も重症度は低下した。ただし、差は終了後の1、3カ月時点には消失した。(出典:J Cosmet Dermatol. First published: 08 August 2025. doi:10.1111/jocd.70384)

青(レーザー+トラネキサム酸)とオレンジ(トラネキサム酸単独)の肝斑重症度の推移を示す。治療開始時(左端)から終了時(2番目)、終了1か月後(3番目)、終了3か月後(右端)にかけて、いずれの群も重症度は低下した。ただし、差は終了後の1、3カ月時点には消失した。(出典:J Cosmet Dermatol. First published: 08 August 2025. doi:10.1111/jocd.70384)

  • 研究結果→治療終了直後は両群で改善、特にレーザー+トラネキサム酸併用側で効果が大きかった。
  • 結論→レーザーでTXAの浸透が高まり一時的効果は大きいが、持続性や再発予防には課題。
  • 今後の課題→再発防止の維持療法や、長期的に効果を保つ薬剤投与法の開発が必要。

 研究の結果、治療終了直後にはどちらの治療でも肝斑の改善が見られ、特にフラクショナルレーザーとトラネキサム酸を組み合わせた側でより大きな効果が確認された。

 なお、フラクショナルレーザー治療を行った側は、治療開始時に肝斑の程度が重かったが、治療終了時での改善幅はより大きかった。

 一方、治療を終えてから1カ月、3カ月と時間が経つにつれて再発が進み、治療による差はなくなった。

 また、皮膚科医による評価は、治療終了時はレーザーを組み合わせた方が高かったが、その後は差がなくなっていった。

 本人の満足度は全般的に高かったものの、低下傾向があった。

 レーザーを組み合わせても、肝斑の再発を防ぐ効果は認められなかったという結果だ。

 研究チームは、「レーザー照射がTXAの浸透を高めた可能性があり、治療中は改善を後押しするものの、効果は一時的にとどまる」と結論づけている。今後は、再発を抑えるための維持療法や、より持続性のある薬剤を送り込む方法の開発が求められている。

 肝斑の有効な治療を巡って、研究の進歩は引き続き注目される。

参考文献

Rahimnia A, Hosnian M, Ehsani A, Nourmohammadpour P, Shadlou Z, Mohammadabadi MK, Ehsani A. Efficacy of Non-Ablative Fractional Laser Combined With Tranexamic Acid in Melasma Treatment: A Randomized Split-Face Trial. J Cosmet Dermatol. First published: 08 August 2025. doi:10.1111/jocd.70384
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40776769/

トラネキサム酸とビタミンCによる肝斑メソセラピー治療の成果、美容皮膚科の医学誌で報告、最新の海外研究
https://biyouhifuko.com/news/research/7150/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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