
アルコールの関連。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)
オゼンピックやウゴービなどと呼ばれるGLP-1受容体作動薬(以下、GLP-1薬)が、糖尿病や肥満の治療に使われているが、アルコール依存に有効となる可能性がある。また、将来的は禁煙にも効果を発揮する可能性まで指摘されている。
米国立衛生研究所(NIH)などの研究チームが2025年10月、医学誌で報告している。
GLP-1薬は脳に効果

ウゴービの外観。(写真/Adobe Stock)
- GLP-1の作用 → GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)は、血糖値を下げるインスリン分泌を促進するとともに、脳の食欲中枢に作用して食欲を抑える。
- 動物実験の結果 → GLP-1薬を投与したマウスやラットではアルコール摂取量が減少し、ヘロイン・コカイン・ニコチンなどの摂取行動も抑えられた。
- 臨床試験の進展 → 人を対象とした研究でも飲酒量の減少が確認されており、依存症治療への応用が注目されている。
オゼンピックやウゴービは、元々糖尿病の薬だったが、肥満の治療にも効果を発揮することから、肥満治療薬として使用されるようになった。ダイエット目的で利用されることがあり、問題視されているものの、その効果の高さは国際的に注目されている。
そもそも「GLP-1」は、「グルカゴン様ペプチド-1」の略称で、これは腸や脳の神経から分泌されるホルモンの一種だ。食後に血糖値を下げるインスリンというホルモンの分泌を促して、血糖値を下げるだけでなく、食欲を抑える働きが大きいことが重要だ。
過去の研究によって、GLP-1は、脳の快楽に関連する「ドーパミン」という物質に関連していることが分かってきている。
これによって食べ過ぎが抑えられるが、飲み過ぎも抑制できる可能性がある。
論文によると、動物実験ではGLP-1薬を投与したマウスやラットで、アルコール摂取量が減少したことが分かった。なお、ヘロイン、コカイン、ニコチンといった薬物を使う行動も減ったという。
既に人間を対象にした試験も行われ、飲酒量が減らせたデータもある。
禁煙にも効果?

禁煙にもつながる可能性。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- GLP-1薬と飲酒抑制 → GLP-1薬が飲酒量を減らす可能性があり、「自分をコントロールする」という点で肥満とアルコール依存に共通点。
- 依存症治療への応用 → GLP-1薬はアルコールだけでなく、ニコチンやオピオイドなどの依存症に対する効果も試験で検証されており、禁煙や薬物依存治療にもつながる可能性がある。
- 将来の展望 → GLP-1薬は「痩せる薬」から「依存を治療する薬」へと発展していく可能性がある。
GLP-1薬が、飲みすぎを抑えるとすると、一層、この利用は注目される可能性がある。「自分をコントロールする」という点では、肥満とアルコール依存には共通点がある。
また、GLP-1薬の試験では、アルコールのほか、ニコチンやオピオイドなど依存症の治療効果も検証されているという。禁煙や海外で問題になっているドラッグ依存にも効果を発揮する可能性がある。
将来的には、「痩せる薬」から「依存を治療する薬」になっていくことも考えられる。
