
目に老化が現れる?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)
目の周りのシワに老化が現れるといわれることがある。それだけではなく、目の奥に広がる細かな血管の形が、体全体の老化や心臓病のリスクを映し出している可能性がある──。
カナダのマクマスター大学を中心とした研究チームが、7万人以上のデータから、老化の程度を知る意外な手掛かりになることを報告した。
この研究は2025年10月に米国の科学誌に掲載された。
「枝分かれ」少ない人ほど早めの老化傾向

目の奥に老化の兆候が?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 研究対象 → カナダや英国などの大規模研究データから、7万4000人超の網膜スキャン画像を解析。
- 解析内容 → 網膜の血管の「枝分かれの複雑さ」を定量化し、遺伝子情報や血液成分データと比較。
- 結論 → 網膜の血管構造は生物学的老化の指標となる可能性があり、枝分かれの少なさは寿命の短縮と関連していた。
美容の領域では、老化や若返りの関心は高い。老化がどれくらい進んでいるかを知るための方法の開発も進んでいる。有名なのは「エピジェネティッククロック」という、遺伝子のメチル化と呼ばれる変化を見る方法だ。このほかにも、最近では、血液検査から老化を知る可能性が報告された。
今回、カナダの研究チームは「目」の特徴に着目した。
研究チームは、カナダや英国などの大規模な研究から集まった7万4000人を超える網膜スキャンの画像を解析した。
そこから網膜の細かい血管の「枝分かれの複雑さ」を測り、遺伝子情報や血液の各種成分と比較した。
結果として明らかになったのは、血管の枝分かれが単純なほど、心臓病や動脈硬化などのリスクが高く、炎症レベルも上昇していたこと。
さらに、そうした人々では生物学的な老化が早く、寿命が短くなる傾向も確認された。
炎症関連の2つのタンパク質に注目

身体の炎症と目との間に関連の可能性。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 分析手法 → 遺伝子情報を用いた「メンデルランダム化解析」により、網膜の血管と老化の因果関係を検証。
- 注目タンパク質 → 「MMP12」と「IgG-Fc受容体IIb(FCGR2B)」の2種類が、慢性炎症や血管老化と強く関連していた。
- 意義 → これらのタンパク質を抑制できれば、血管や全身の老化を防ぐ可能性が示された。
その上で、研究チームは「メンデルランダム化解析」と呼ばれる方法により、因果関係についても分析した。
特に注目されたのは、「MMP12」と「IgG-Fc受容体IIb(FCGR2B)」という2つのタンパク質で、いずれも慢性炎症と血管老化に関係していた。
逆に言えば、こうしたタンパク質を減らすことができれば、老化を防ぐことにつながる可能性もある。
老化が進むと、肌の調子が悪くなり、シワやたるみの原因となる。美容を追求する上では、いかに老化を遅らせるかが重要になる。
ヒフコNEWSでこれまで伝えているが、老化は時間が経過すると、単純に進むというものではない可能性がある。その人の置かれた環境などで老化の進みやすさも変わり得る。それを変えることで、老化を遅らせることができる可能性もある。今回のような研究から、新しい美容医療が誕生する可能性もある。
