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PRPとPRF、どちらが目元の若返りに有効?PRPは色素沈着の改善により効果、米国の研究グループが報告

カレンダー2025.11.6 フォルダー最新研究
目元への効果とは。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

目元への効果とは。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 多血小板血漿(PRP)や多血小板フィブリン(PRF)といった自分の血液を使った美容医療が盛んに行われている。

 PRPとPRFが目元の美容にどのように効果を示すかという分析が報告された。

 米国の研究グループが2025年11月に美容皮膚科誌で発表した。

PRFは肌質改善、PRPは色ムラ改善

自身を血液を遠心分離器で分離。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

自身を血液を遠心分離器で分離。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 研究対象 → 2015~2025年に発表された14件の臨床研究を分析。PRPおよびPRFの施術法・効果・持続期間・副作用・満足度を比較。
  • PRFの特徴 → 肌のキメや弾力、目元の小ジワなど、肌質の改善に優れていると確認。
  • PRPの特徴 → メラニン量の減少や色素沈着の改善効果が報告され、黒クマ治療に有効とされた。

 若返りのための注入療法は、ヒアルロン酸注入をはじめさまざまな方法が登場している。

 その中で、自身の血液を用いた自己血由来注入療法も、注目される治療法の一つになっている。

 その代表格として国内ではPRPが知られている。それよりも実施件数は少ないと見られるが、PRFを導入しているクリニックも存在する。

 血液の中の成長因子などの効果により、目の下のシワやくすみを改善できると考えられている。

 今回、米国の研究チームは、過去の論文を対象にまとめて分析し、論文報告した。

 研究チームは2015~2025年に発表された文献を対象に14件の臨床研究を抽出して、施術法や効果、持続期間、副作用、満足度を比べた。

 結果として、PRFはキメや肌の弾力、目元の細かいシワといった肌質の改善に優れていることが確認された。

 一方で、PRPはメラニン量の減少や色素沈着の改善で効果が示され、黒クマ治療に適しているとされた。

PRFの長期の効果は裏付け不十分

PRPやPRFの効果の検討は続く。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

PRPやPRFの効果の検討は続く。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 安全性 → 両者とも重篤な副作用は報告されず、一時的な赤み・腫れ・軽度の内出血にとどまった。
  • 持続期間 → PRFはおおむね6カ月以内で効果が薄れる傾向があり、長期的な持続効果は限定的。
  • PRPの特徴 → 6カ月後も色素改善効果が持続する研究が複数あり、長期的には安定している可能性。

 安全性については、両者ともに重い副作用は報告されなかった。赤み、腫れ、軽い内出血などの一時的な症状にとどまった。

 痛みや腫れは数日以内に消え、満足度はほぼすべての研究で高い水準を示した。

 ただし、PRFの改善効果は6カ月以内に消える傾向が報告され、期待されるほどの長期的な持続効果は現時点では裏付けが不十分だとされた。

 一方で、PRPは6カ月後も色素改善効果が保たれたという研究が複数あり、こちらの方が長期的には安定している可能性が示された。

 PRPやPRFの施術を目元の若返りを目的に検討する場合には、この分析結果は参考になる。

 また、国内では、厚生労働省が10月に、PRPやPRFを含む再生医療の実施に当たって、汚染防止ルールが示された。医療機関の安全への取組について情報収集することも重要になる。

参考文献

Sollitto CF, Narduzzi M, Wolinsky C. A Systematic Review of Platelet-Rich Plasma Versus Platelet-Rich Fibrin for Periorbital Rejuvenation. J Cosmet Dermatol. 2025 Nov;24(11):e70524. doi: 10.1111/jocd.70524. PMID: 41190633.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41190633/

PRPや脂肪由来間質細胞も、厚労省が再生医療の汚染防止ルール、改正安確法に伴い新指針を通知、「特定細胞加工物」の衛生管理や手順など厳格化
https://biyouhifuko.com/news/japan/14928/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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