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HIFUで起こった目のトラブル、角膜混濁(こんだく)とは? 目元への照射で発生、論文に実際の写真を掲載、中国の研究グループが美容皮膚科誌で発表

カレンダー2025.12.16 フォルダー最新研究
HIFUの施術は目の周囲に行うと合併症を起こすリスクがある。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

HIFUの施術は目の周囲に行うと合併症を起こすリスクがある。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 2024年、国内でHIFUのトラブルが相次いで報じられ、社会的な関心を集めた。

 その後、エステなど医師の管理下にないHIFU施術が減り、合併症も減った可能性はあるが、依然として合併症には注意が必要になる。

 2025年12月、中国の研究チームがHIFU施術後に目に起きた合併症について報告した。

目元へのHIFU照射で視力低下と角膜のにごり

角膜は目の前面にある透明な膜。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

角膜は目の前面にある透明な膜。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • HIFU後に目の異常を発症した症例 → 中国の研究チームが、32歳女性の目元HIFU治療後に目の異常を引き起こしたケースを報告。
  • 施術中から痛み・視力低下 → 顔のたるみ改善目的でMFUS照射を受け、右目周囲の照射中に痛みと視力低下が出現。
  • 治療後も角膜混濁が残存 → 炎症は改善し視力も回復したが、角膜の深い部位のにごりが後遺症として残った。

 中国の研究チームは、目元の皮膚にHIFUの一種とされるマイクロフォーカス超音波(MFUS)治療を行った後に、目の角膜に異常が発生した32歳女性のケースを報告した。

※角膜とは、目の全面にあり、光の入り口となる透明な膜。視力に大きく関わる部位。

 専門的には、角膜混濁(かくまくこんだく)や角膜白斑(かくまくはくはん)と呼ばれる。さらに、虹彩炎(こうさいえん)も発症していた。

※角膜混濁や角膜白斑は、角膜の表面がにごったり斑点ができたりする状態。虹彩炎は、黒目の模様を形作る組織に炎症が起こる状態。

 論文によると、女性は、たるみ改善を目的として美容クリニックで顔のHIFU治療を受け、その際に右目周囲にも照射を受けた。施術中から目の痛みや涙が流れ、視力も低下し、その後、眼科を受診した。

 治療により炎症は改善し、視力も回復したものの、角膜の深い場所ににごり(混濁)が残り、元に戻らない変化となった。

 論文では、HIFUの熱エネルギーが角膜や虹彩のほか、目のさらに深部にある毛様体にまで及び、組織のダメージや炎症を引き起こした可能性が指摘された。

目のリスクは理解しておく必要がある

角膜に白い斑点が残った。矢印の部分。(出典/J Cosmet Dermatol. 2025;24(12):e70601.)

角膜に白い斑点が残った。矢印の部分。(出典/J Cosmet Dermatol. 2025;24(12):e70601.)

  • 黒目に残る白い斑点→写真では、黒目の中心に白い斑点が確認される。この斑点は消えず、視界に異常が残る可能性がある。
  • 厚労省の対応→2024年6月、厚生労働省がHIFU施術には医師免許が必要と通知。エステでの施術が激減し、合併症は減った可能性がある。
  • 依然として注意は必要→施術を受ける人は、目の周囲へのHIFU照射に注意すべき。

 写真で見ると、黒目の真ん中に白い点が残っているのが見て取れる。この斑点は元に戻らないため、視界に異常が現れ続ける可能性がある。

 ヒフコNEWSでは、2024年にHIFUに関連したヤケドや神経障害の実態について継続的に伝えていた。

 2024年6月には、厚生労働省がHIFUの実施には医師免許が必要と通知を出し、エステのHIFUは激減。医師の管理下にないHIFU施術への注意喚起が進んだ結果、合併症が減少している可能性はある。

 もっとも美容施術の一つとしてHIFUは一般的に行われている。今回の論文が示すように、目の周囲の施術でリスクがあることには変わりはない。

 HIFUの施術を受ける側が、目の周囲へのHIFU照射には特に注意が必要であると認識しておくことは、合併症から身を守るためには意味があるだろう。その危険を理解する上で、今回の論文で示された目の変化の写真は参考になる。

参考文献

Liu J, Luo H, Li N. Micro-Focused Ultrasound Treatment for Periocular Skin Leading to Corneal Leukoma With Iridocyclitis: A Case Report. J Cosmet Dermatol. 2025;24(12):e70601.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41367308/

エステでのHIFUは法律違反、施術には医師免許が必要、医師の指示を受けた診療補助の看護師は問題なし、厚生労働省が健康被害の増加を受けて通知
https://biyouhifuko.com/news/japan/7796/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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