
HIFUの施術は目の周囲に行うと合併症を起こすリスクがある。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
2024年、国内でHIFUのトラブルが相次いで報じられ、社会的な関心を集めた。
その後、エステなど医師の管理下にないHIFU施術が減り、合併症も減った可能性はあるが、依然として合併症には注意が必要になる。
2025年12月、中国の研究チームがHIFU施術後に目に起きた合併症について報告した。
目元へのHIFU照射で視力低下と角膜のにごり

角膜は目の前面にある透明な膜。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- HIFU後に目の異常を発症した症例 → 中国の研究チームが、32歳女性の目元HIFU治療後に目の異常を引き起こしたケースを報告。
- 施術中から痛み・視力低下 → 顔のたるみ改善目的でMFUS照射を受け、右目周囲の照射中に痛みと視力低下が出現。
- 治療後も角膜混濁が残存 → 炎症は改善し視力も回復したが、角膜の深い部位のにごりが後遺症として残った。
中国の研究チームは、目元の皮膚にHIFUの一種とされるマイクロフォーカス超音波(MFUS)治療を行った後に、目の角膜に異常が発生した32歳女性のケースを報告した。
※角膜とは、目の全面にあり、光の入り口となる透明な膜。視力に大きく関わる部位。
専門的には、角膜混濁(かくまくこんだく)や角膜白斑(かくまくはくはん)と呼ばれる。さらに、虹彩炎(こうさいえん)も発症していた。
※角膜混濁や角膜白斑は、角膜の表面がにごったり斑点ができたりする状態。虹彩炎は、黒目の模様を形作る組織に炎症が起こる状態。
論文によると、女性は、たるみ改善を目的として美容クリニックで顔のHIFU治療を受け、その際に右目周囲にも照射を受けた。施術中から目の痛みや涙が流れ、視力も低下し、その後、眼科を受診した。
治療により炎症は改善し、視力も回復したものの、角膜の深い場所ににごり(混濁)が残り、元に戻らない変化となった。
論文では、HIFUの熱エネルギーが角膜や虹彩のほか、目のさらに深部にある毛様体にまで及び、組織のダメージや炎症を引き起こした可能性が指摘された。
目のリスクは理解しておく必要がある

角膜に白い斑点が残った。矢印の部分。(出典/J Cosmet Dermatol. 2025;24(12):e70601.)
- 黒目に残る白い斑点→写真では、黒目の中心に白い斑点が確認される。この斑点は消えず、視界に異常が残る可能性がある。
- 厚労省の対応→2024年6月、厚生労働省がHIFU施術には医師免許が必要と通知。エステでの施術が激減し、合併症は減った可能性がある。
- 依然として注意は必要→施術を受ける人は、目の周囲へのHIFU照射に注意すべき。
写真で見ると、黒目の真ん中に白い点が残っているのが見て取れる。この斑点は元に戻らないため、視界に異常が現れ続ける可能性がある。
ヒフコNEWSでは、2024年にHIFUに関連したヤケドや神経障害の実態について継続的に伝えていた。
2024年6月には、厚生労働省がHIFUの実施には医師免許が必要と通知を出し、エステのHIFUは激減。医師の管理下にないHIFU施術への注意喚起が進んだ結果、合併症が減少している可能性はある。
もっとも美容施術の一つとしてHIFUは一般的に行われている。今回の論文が示すように、目の周囲の施術でリスクがあることには変わりはない。
HIFUの施術を受ける側が、目の周囲へのHIFU照射には特に注意が必要であると認識しておくことは、合併症から身を守るためには意味があるだろう。その危険を理解する上で、今回の論文で示された目の変化の写真は参考になる。
