
老化を防ぐ鍵とは。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
最近では、ビタミンB群などがミトコンドリアに関係すると紹介されることもある。これらは、細胞の中のミトコンドリアに効果を発揮し、若返り=ミトコンドリアが鍵という話が聞かれるようになった。
2025年11月、日本の東京都健康長寿医療センター研究所などのグループは、ミトコンドリアの効率を高めることで寿命延長につながることを発表した。
ミトコンドリアは細胞の「発電所」

細胞の中にあるミトコンドリア。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 背景→ミトコンドリアは細胞内でエネルギー(ATP)を産生する器官で、加齢により機能が低下すると細胞老化が進みやすくなる。
- 着目点→ミトコンドリア内でエネルギー産生装置(呼吸鎖)が集合する「スーパーコンプレックス」。その形成を促すタンパク質がCOX7RP。
- 研究内容→COX7RPを多く発現する遺伝子改変マウスを通常マウスと比較することで、ミトコンドリア効率の向上が老化の進行に与える影響を検証。
ミトコンドリアは、食事などで取り込んだ栄養からエネルギー(ATP)を作り出す細胞の中にある「発電所」のような器官といえる。
年を重ねてミトコンドリアの働きが落ちると、エネルギー不足だけでなく、活性酸素(ROS)や炎症が増えやすくなり、細胞の老化が一層進みやすいと考えられている。
研究チームは、ミトコンドリアの効率を高めるタンパク質を増やし、老化の進み方に影響するかを調べた。
ミトコンドリアの中では、エネルギーを作る装置(呼吸鎖)がまとまると効率が高まるとされる「スーパーコンプレックス」という状態がある。
このまとまりを作りやすくするタンパク質が「COX7RP」というもので、これによりミトコンドリアの効率が高まると考えられた。
研究では、COX7RPが多く作られるように遺伝子改変されたマウス(COX7RP-Tg)を用意し、通常のマウスと比較された。
寿命が延びて、老化サインも減った

若返りを実現するには?画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 寿命への影響→主にオスで寿命が延び、平均寿命で約6.6%、中央値で約5.6%の延長が確認された。
- 老化指標の変化→脂肪蓄積が抑えられ、中性脂肪や総コレステロールが低下するなど「老けにくい」変化が見られた。
- 分子レベル→脂肪組織では、老化細胞が炎症を広げるSASP関連遺伝子の活性が高齢でも抑制。
結果として、主にオスのマウスで寿命が延び、平均寿命は約6.6%、中央値でも約5.6%延びた。
寿命だけでなく、体の状態にも老けにくい方向の変化が見られた。
例えば、脂肪組織のたまり方が少なめで、血中の中性脂肪や総コレステロールが低い、糖の処理に関わる指標でも一部で良い傾向が示された。
細胞の中身を見ても、エネルギー産生(ATP)が増えたり、炎症の程度が低下するなど、炎症につながる老化シグナルが弱まった。
脂肪組織の解析では、老化した細胞が周囲に炎症性物質をまき散らして悪影響を広げる現象「SASP」に関連する遺伝子の動きが、年を取った個体でも抑えられていた。
このような基礎的な研究が将来的には、若返りの医学に貢献していくことが考えられる。
