
肌の老化のメカニズムとは。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
皮膚の老化の背景には、免疫細胞の異常が関与している可能性がある。
日本メナード化粧品は、藤田医科大学との共同研究により、ノーベル生理学・医学賞につながった研究でも知られる免疫細胞の一種、制御性T細胞(Treg)の変化が、皮膚での老化細胞の蓄積を促す新しいメカニズムを明らかにしたと発表した。
Tregの異常が慢性炎症を引き起こす

慢性炎症が老化を促す。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 老化細胞が炎症を起こす→ 年齢とともに老化細胞が増え、炎症物質を出して皮膚の老化を進める。
- 免疫細胞の変化→ 年を取るとTregという免疫細胞が変化し、炎症を起こす物質を出すようになる。
- 炎症の連鎖→ 老化細胞と異常なTregが影響し合い、皮膚の慢性的な炎症が続く可能性。
研究報告によれば、老化細胞が組織内に増えてくると、炎症性物質を分泌し、細胞にダメージを与える慢性炎症を引き起こして老化を早めることが知られている。
老化細胞から出てくる物質は「SASP(サスプ、Senescence-Associated Secretory Phenotype)因子」と呼ばれ、組織の機能を下げたりコラーゲンの分解につながったりするとされる。
通常、こうした老化細胞は免疫細胞の一種であるマクロファージによって除去されるものの、年を取ると皮膚では老化細胞がたまってくることが分かっている。
今回の研究では、皮膚の真皮に存在するTregに着目した。この細胞が年を取るにつれてどのように変化し、老化細胞の蓄積にどのように関わるのかを確かめた。
すると、年を取るにつれて、慢性的な炎症を引き起こす「IL-17」を分泌する異常なTregの割合が増えることが確認された。
その上、老化細胞から分泌されるSASP因子の一部である「IL-1β」や「IL-6」が、Tregをこの異常なIL-17を分泌するタイプに変化させることも確認した。
研究ではさらに、異常なTregから分泌されるIL-17が、マクロファージによる老化細胞除去機能に影響することも確認された。
老化細胞除去の新たな標的に

Tregが関与する肌老化のメカニズム。(出典/藤田医科大学)
- 老化細胞が残りやすい→ 異常なTregの影響で、老化細胞が免疫によって除去されにくくなる。
- 老化がさらに進む→ 老化細胞がたまることで炎症が続き、皮膚の老化が進行する。
- 新しい対策の可能性→ 老化細胞の除去機能を回復できれば、新しいアンチエイジングにつながる可能性。
皮膚ではマクロファージが老化細胞を死滅させて除去しているが、これは細胞死を促す因子を分泌することによると考えられている。ところが、IL-17にさらされた老化細胞は、この細胞死を促す仕組みに抵抗性を持つようになることも分かった。
結果として、老化細胞が皮膚に蓄積し、慢性的な炎症状態が保たれ、組織の老化がさらに進むと考えられた。
今回の研究から、Tregの異常により老化細胞の除去がうまくいかなくなる新たな老化メカニズムが示された。
逆に言えば、この老化細胞の除去機能を正常化できれば、慢性炎症の抑制や皮膚の老化予防につながる可能性がある。
老化細胞を標的とした研究は「セノリティクス」と呼ばれる分野として注目されている。今回のような研究が、老化予防の手段の誕生につながる可能性もある。
参考文献
免疫系細胞の異常が皮膚の老化を促進する新たなメカニズムを解明
https://www.fujita-hu.ac.jp/news/vsfo8q0000015vzi.html
「老化細胞・老化細胞除去ワクチン」「SASP」「ANGPTL2」、最先端のキーワード3つ、細胞はなぜ老化する?第24回日本抗加齢医学会総会の尾池雄一会長講演
https://biyouhifuko.com/news/japan/7696/
