標準的な治療でも治りづらい酒さに、自己免疫病の薬として使われている「JAK阻害薬」の飲み薬が選択肢になり得ることが、中国、北京中医薬大学の研究グループの解析研究から示された。
2026年3月に美容皮膚科誌「Journal of Cosmetic Dermatology」に掲載された論文で、既存の11研究、57人分のデータを統合して解析したところ、全体の有効率は89.9%だった。
小規模な研究ではあるものの、将来の治療の可能性を考える上では参考になり得る。
治りにくいケースでも高い改善率

赤ら顔は治りにくいケースも。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 難治性の酒さが対象→ 標準治療で改善しにくい患者を中心に研究が行われた。
- JAK阻害薬の内服を検討→ トファシチニブやウパダシチニブなど自己免疫病の薬を使用。
- 既存研究を統合→ 11研究・57人のデータをまとめて効果を解析した。
酒さは顔の赤み、ほてり、毛細血管拡張、丘疹や膿疱などを特徴とする慢性的に炎症を起こす皮膚の病気。美容医療の分野でも、赤ら顔の原因の一つとして問題になることがよくある。
従来、塗り薬のほか、抗菌薬の飲み薬が標準治療として使われている。
一方で、再発を繰り返したり、治療が効きにくかったりするケースも少なくない。
今回の解析では、JAK阻害薬の飲み薬(トファシチニブ、アブロシチニブ、ウパダシチニブなど)を酒さに対して用いた11の研究が対象となった。
多くは患者に薬を投与した症例を集積した研究で、標準的な治療の効果が現れにくい酒さ患者が中心だった。
改善の立ち上がりが早い

赤ら顔は美容の課題にも。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 改善が早い→ 多くの症例で1~2週間以内に赤みやかゆみの軽減が見られた。
- 高い有効率→ 全体の有効率は約90%と高い数値だった。
- 薬剤ごとに差→ ウパダシチニブやアブロシチニブは高い改善率が報告された。
解析の結果、全体の有効率は89.9%で、研究間のばらつきは比較的小さかった。
改善の立ち上がりが早いことが特徴の一つだった。多くの研究で1~2週間以内に赤みやかゆみの軽減が見られた。中には開始48時間で症状の改善が見られたケースも報告されている。
薬剤別では、ウパダシチニブ97.1%、アブロシチニブ95.5%、トファシチニブ76.0%という数値が示された。ただし、いずれも症例数が極めて少なく、優劣を結論づける段階ではない。
症例数少なく安全性も課題

顔の赤みは気になる症状の一つ。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- 症例数は少ない→ 対象は57人と小規模で根拠の確実性は低い。
- 副作用も確認→ 消化器症状や肝機能異常などで中止した例もあった。
- 今後の研究が必要→ 大規模試験や長期的な安全性の検証が求められる。
安全性については、有害事象は57人中6人、10.5%に見られた。主なものは食欲低下、吐き気、嘔吐などの消化器症状だった。肝機能の異常やB型肝炎ウイルス再活性化による中止例も報告された。顔面の赤み(紅斑)の悪化などで中止した例もあった。
研究グループは、今回のエビデンスがランダムにグループ分けして、薬の効果を比較する無作為化比較試験が行われておらず、症例数も少ないため、根拠の確実性は「非常に低い」と評価している。
対象も中国人患者に偏り、長期的な安全性や中止後の再発についても十分なデータはない。
その上で、JAK阻害薬が治りづらい酒さに対する有望な候補と位置づけている。既存の治療で改善しないケースや、強い炎症を伴うケースでさらに検討される可能性があるとしている。
赤ら顔治療としての研究の広がりも予想される。
参考文献
Peng Y, Sun M, Chen J, Huang X, Zhang F. Oral JAK Inhibitors as a Promising Therapeutic Strategy for Refractory Rosacea: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Cosmet Dermatol. 2026 Mar;25(3):e70791. doi: 10.1111/jocd.70791. PMID: 41796703.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41796703/
酒さの治療、メトロニダゾールとミノサイクリンとの併用効果とは?
https://biyouhifuko.com/news/research/831/
