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PRPとヒアルロン酸の組み合わせが、女性の脱毛症(FAGA)を救う?

カレンダー2023.8.25 フォルダー最新研究

ポイント

  • PRP+非架橋ヒアルロン酸が女性型脱毛症(FAGA)に有効であるかを検証
  • 男性型脱毛症とFAGAは異なるが、FAGAは50歳以上の女性の40%に見られる
  • 併用療法は、毛髪密度などに改善を示し、将来のFAGA治療の可能性を示した
女性の脱毛症も問題に。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

女性の脱毛症も問題に。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 2023年6月、中国の研究グループが女性の脱毛症治療に関する新しい発見を報告した。それはPRP(多血小板血漿)+非架橋ヒアルロン酸を組み合わせた注入治療が、FAGAとして知られる女性の男性型脱毛症に効果を発揮することが認められたことだ。

女性でも少なくない男性型脱毛症

注射による治療が効果?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

注射による治療が効果?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 男性ホルモンによる男性の抜け毛は、男性型脱毛症(AGA)として聞いたことがあるかもしれない。しかし、同じようなことが女性でも起こることをご存じだろうか。それは、女性AGA(FAGA)と呼ばれるタイプで、50歳以上の女性の40%に認められるとされる。

 男性ホルモンが関連しているとはいえ、男性と女性の間では症状の現れ方や治療法は同じではない。男性では、前頭部の両側と頭頂部から髪が抜けていくのに大して、女性の場合にもそうした症状はあるものの、生え際や頭頂部から髪が細くなっていることで気が付くことが多い。

 これを治療するには、薬を飲んだり、あるいは薬を塗ったり、植毛などがあるが、これらの治療には課題もある。そうした中で、ある研究によって、血液に含まれる血小板を取り出して作るPRP(多血小板血漿)を使う方法が男性に効果であると分かった。また、PRPと非架橋ヒアルロン酸を組み合わせて使うと皮膚の治癒を助けることも分かり、女性の脱毛に対する効果も注目されることになった。

 中国の研究グループは、FAGAの悩みを持つ9人の女性に、PRPと非架橋ヒアルロン酸(商品名Hearty、 Imeik Technology Development)を抜け毛のある場所に注射した。これを毎月、4回行った。注射の後、1カ月後、3カ月後、6カ月後に女性の髪がどうなっているか医師の主観的な評価、また毛髪の密度、有害事象などを調べた。

毛髪密度などに改善の兆候

治療の効果が認められた。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

治療の効果が認められた。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 こうして判明したのは、毛髪の改善につながりそうだということだ。

 具体的には、PRPと非架橋ヒアルロン酸の組み合わせによって、有害事象を起こすことなく、医師の評価では、1カ月後は88.89%の改善、3カ月後は100%の改善が確認された。さらに、毛髪密度は1カ月後に54.51%、3カ月後に77.25%の改善が認められた。

 この発見は、今後の女性の脱毛症の治療を前進させるかもしれない。

参考文献

Wang S, Li D, Zou M, Wu J, Wang X, Yang Y, Li X, Yang W. Efficacy of autologous platelet-rich plasma combined with a non-cross-linked hyaluronic acid compound in the treatment of female androgenetic alopecia: A retrospective, case-series study. J Cosmet Dermatol. 2023 Jun 19. doi: 10.1111/jocd.15861. Epub ahead of print. PMID: 37337401.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37337401/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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