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ケロイド治療の新しい選択肢、フラクショナルCO2レーザーで肌を美しく

カレンダー2024.1.27 フォルダー最新研究

ポイント

  • フラクショナルCO2レーザーによりケロイドの厚み、色素沈着、硬さが改善。
  • 副作用はあるものの、全体的に発生率は低い。
  • ケロイド治療の有効な選択肢として注目されている。
レーザーの活用が進む。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

レーザーの活用が進む。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 ケロイドと呼ばれるニキビ跡や傷跡などにできる盛り上がりは、美容医療で治療されるが、フラクショナルCO2レーザーで治療されることがある。その実力はどうなのだろうか。

 このたび中国の研究グループは2024年1月22日、美容皮膚科の医学誌である「ジャーナル・オブ・コスメティック・ダーマトロジー」でその有効性について発表している。研究によると、ケロイドの盛り上がり、色素沈着、硬さの改善に役立つようだ。

肌の再生を促してケロイド改善

レーザーの用途は多い。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

レーザーの用途は多い。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 フラクショナルCO2レーザーは、皮膚にレーザーにより小さな穴を開けて、肌を自然に再生させる治療。今回の研究の概要をまとめると次の通り。

  • 研究チーム → 中国の温州中西医統合病院、上海大学中西医統合付属病院などの研究グループ。

  • 研究の目的 → 研究の目的は、フラクショナルCO2レーザーを使ったケロイド治療の有効性と安全性を評価すること。

  • 研究手法 → 彼らは「メタアナリシス」という手法を使って、ケロイド治療に関する過去の研究を集めて分析した。

ケロイドの厚みや色素沈着が改善

レーザーで改善。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

レーザーで改善。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 この研究で、フラクショナルCO2レーザーがケロイドの厚み、色素沈着、硬さを改善することが分かった。

  • ケロイドの厚み → フラクショナルCO2レーザー治療によって厚みの「改善」が示された。

  • 色素沈着 → ケロイドに関連する色素沈着も「改善」の結果が出た。

  • 硬さ → ケロイドの硬さが改善し、柔軟性が増す結果が得られた。

 ただし、血管による赤みには顕著な改善は見られなかった。Vancouver Scar Scale(VSS)というケロイドの全体的な状態を示す尺度でも改善が確認された。

 副作用の発生率については、色素沈着、逆に色素の減少、疼痛、毛細血管拡張、萎縮などの副作用が発生する可能性はあったものの、全体的には副作用の発生率は「低い」と報告された。

 ヒフコNEWSでは、最近、レーザーを使った傷跡治療の可能性についての研究を紹介したが、フラクショナルCO2レーザーについてもケロイド治療の選択肢の一つとして注目される。

参考文献

Wang J, Yu Q, Zhou Q, Tao M, Cao Y, Yang X. Application of fractional carbon dioxide laser monotherapy in keloids: A meta-analysis. J Cosmet Dermatol. 2024 Jan 22. doi: 10.1111/jocd.16106. Epub ahead of print. PMID: 38251806.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38251806/

Thompson CM, Sood RF, Honari S, Carrougher GJ, Gibran NS. What score on the Vancouver Scar Scale constitutes a hypertrophic scar? Results from a survey of North American burn-care providers. Burns. 2015 Nov;41(7):1442-8. doi: 10.1016/j.burns.2015.04.018. Epub 2015 Jul 2. PMID: 26141527; PMCID: PMC4644737.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4644737/

手術後の傷跡の不安にさよなら、レーザー光の力と効果
https://biyouhifuko.com/news/research/5299/

「異物肉芽腫、しこり形成」が美容治療の合併症では最多、厚労省研究班報告
https://biyouhifuko.com/news/japan/1248/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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