ヒフコNEWS 美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイト

まつ毛の長さと量を改善、新しい育毛美容液、スペインの研究グループが報告

カレンダー2024.5.14 フォルダー最新研究
まつ毛を伸ばす。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

まつ毛を伸ばす。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 まつ毛を魅力的にする方法として、マスカラやまつ毛パーマなどの美容手法に加えて、さらにまつ毛の育毛美容液が存在しているが、スペインCantabria Labsの研究グループが2024年4月に、2つの成分を組み合わせた育毛美容液が4~12週間の使用でまつ毛の量や長さを改善し、副作用もないことを報告している。

新しい育毛美容液の効果とは?

まつ毛を育てる方法とは。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

まつ毛を育てる方法とは。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 まつ毛は、人の顔をより美しく見せる上で重要な役割を果たしている。

 研究者によると、エジプトやインドの古い文明の時代から、まつ毛をきれいに見せたり、保護するために、鉱物の粉末などの様々な材料が目の周囲に使用されてきた。

 現代では、マスカラやアイライナーなど多くの美容製品が存在しているが、問題もある。例えば、広く用いられているマスカラやエクステンションは、アレルギー性接触皮膚炎など目の合併症のリスクも伴う。まつ毛パーマはまぶたの周りの皮膚に悪影響を及ぼす恐れもある。一方、まつ毛の成育促進剤として最近増えているビマトプロスト点眼液などのプロスタグランジンの使用も目の充血などの副作用を伴う。

 そのため、リスクを伴わずにまつ毛を自然に増やして魅力的にする育毛美容液が必要とされているが、美容業界では多くの製品が科学的証拠なしに市販されている現状もある。

 こうした問題に対処するため、研究グループは、副作用のあるプロスタグランジンを含まない新しいまつ毛の育毛美容液に関して、美容上も医学的にも基準を満たすかどうかを確かめることにした。その育毛美容液は、「ペプチド」と「グリコサミノグリカン」をベースにしたもの(商品名Wharton Gel ComplexとSymPeptide XLashの組み合わせ)。ペプチドはタンパク質を構成するアミノ酸がいくつかつながったもので、グルコサミノグリカンは糖の一種。

 研究では、女性30人(25〜65歳)に新製品を使ってもらい、使用前と4週間後、8週間後、12週間後に特別なソフトウエアと高解像度の画像でまつ毛の状態を評価した。

 まつ毛を評価する6つの要素、数、幅、長さ、量、広さ(画像でまつ毛全体が占める面積をピクセル数で表したもの)、曲率(まつ毛のカールの度合い)を画像から客観的に数値化。総合的なまつ毛評価スコアを出して検討したほか、アンケートに基づいて主観的な評価も得た。

使用4週間という早期から改善

まつ毛の量や長さが改善。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

まつ毛の量や長さが改善。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 研究から明らかになったのは、使用前に比べて、まつ毛の6つの評価要素が全て統計的に有意に改善し、総合的なまつ毛評価スコアと主観的評価もよくなったこと。

 12週目で、まつ毛の長さは8.3%(4週目では6.0%)、数は5%(同4.0%)、幅は10.1%(8週目で9.8%)、量は14.1%(同14.2%)、広さは13.4%(4週目で14.4%)、曲率は28.3%(同13.8%)増加した。

 総合的なまつ毛評価スコアは使用前の1.8から12週目には2.7に上昇し、主観的評価による満足度は4週目の73.34%から12週目には84.33%に増加した。副作用の報告はなかった。

 6つの要素全てにおいて改善が見られたことから、美容面だけでなく、目の保護という観点からも有効と研究グループは説明。また、まつ毛が目に見えて改善したために、マスカラなどに頼らなくて済むようになったことも、朝の支度などの面で重要と指摘している。

 12週目という早期からの改善、及びプロスタグランジンやその誘導体を含まない処方である点を挙げて、安全かつ有効なまつ毛の育毛美容液であると結論づけている。

 新しいまつ毛の育毛美容液が注目されるかもしれない。

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

お問い合わせ

下記よりお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。