ボツリヌス療法で薬剤を注射する際、超音波によって針先を確認することで、眉間のシワを消す効果が短期的にも長期的にも高まることを、中国の研究グループが2024年5月に報告している。
針先を超音波で確認しながら注射
ボツリヌス療法は、ボツリヌス菌の毒素を皮膚に注射することで、シワを消す効果が期待できる。注射をするときに、従来は皮膚の下に針先がどう挿入されているか目で見ることができない(ブラインド注射法)。この方法では、経験に頼ることになり正確な注入が難しく、効果がばらつくという課題があった。
そこで、中国浙江大学の研究グループは、超音波によって皮膚の下の針先を確かめながらボツリヌス療法を行う方法に注目(超音波ガイド法)。この方法によってシワ改善の効果が高まるかを確かめることにした。
試験の対象としたのは、中程度から重度の眉間シワが認められる40人。研究グループは40人を、ブラインド注射法のグループと、超音波ガイド法のグループにランダムに分けた上で、シワの改善度を0~3点のシワスコア(点数が高いほどシワの重症度が高い)と3Dスキャンを使って比べた。
超音波ガイド法では35日後にも差が出た
こうして確認されたのは、超音波ガイド法によりボツリヌス療法を受けたグループの方が、より高いシワ改善の効果が現れたこと。
具体的には、超音波ガイド法のグループは、注射直後に統計学的に有意なシワスコアの減少を示していたが、ブラインド注射法のグループでは有意な変化は見られなかった。
さらに、超音波ガイド法は、注射直後(Day 0)、翌日(Day 1)、21日後(Day 21)、35日後(Day 35)のいずれの時点でも、シワスコアの減少と眉間距離の増加という点でブラインド注射法よりも優れた結果を示していた。研究グループは、超音波ガイド法が、短期的にも長期的にもシワ改善効果が高いと解釈している。
日本でも超音波(エコー)を使ったボツリヌス療法を行っている医療機関があるようだが、経験に頼らないより効果の高いボツリヌス療法のために、活用が広がる可能性もありそうだ。