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カフェインとアデノシンの力、シャンプーで抜け毛予防効果、毛髪の密度が上昇し、満足度高い、美容皮膚科の医学誌で発表

カレンダー2024.5.23 フォルダー最新研究
シャンプー。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

シャンプー。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 カフェインとアデノシンを配合したシャンプーが発毛促進に効果的であることが新たな研究で明らかになった。2024年5月に美容皮膚科の医学誌で公開されたこの研究は、18歳から60歳の77人を対象に行われたもので、シャンプーの使用が毛髪密度と抜け毛に与える影響を詳細に評価した。

カフェインとアデノシンの発毛メカニズム

毛髪への効果は?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

毛髪への効果は?写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 脱毛の原因→ホルモンバランスの乱れ、遺伝要因、環境要因、栄養不足、ストレスなど。
  • カフェイン→細胞の代謝を促進し、毛髪の成長サイクルを調整する効果がある。
  • アデノシン→線維芽細胞成長因子-7(FGF-7)を上昇させ、毛髪の成長を促進する。
  • 研究グループ→中国の天津科技大学がカフェイン+アデノシンを含むシャンプーの有効性を評価。

 今回の研究は中国の研究。同国では、生活環境や不規則な生活習慣により、脱毛が深刻な問題となっていると紹介されている。同国の国立健康委員会の調査では、約2億5000万人が脱毛に悩んでいる。脱毛は命に関わることはないものの、自己肯定感が低下したり、不安やうつ病などの心理的問題を引き起こしたりする。

 脱毛の原因には、ホルモンバランスの乱れや遺伝要因、環境要因、栄養不足、ストレスなどがある。特に、男性型脱毛症(AGA)は、頭髪の成長サイクルが短縮されることにより毛髪の密度が低下するものだ。

 現在、米国食品医薬品局(FDA)によって承認されている脱毛治療薬はミノキシジルとフィナステリドの2種類のみ。しかし、これらの薬剤には長期的な使用が必要で、副作用も報告されている。天然成分を含む頭皮ケア製品が注目されている。

 カフェインは、細胞の代謝を促進し、毛髪の成長サイクルを調整する効果があることが示されている。アデノシンは、線維芽細胞成長因子-7(FGF-7)を上昇させ、毛髪の成長を促進する。これらの成分を組み合わせたシャンプーが発毛に与える効果についてのデータは少なく、今回、中国、天津科技大学を中心とした研究グループが有効性を評価した。

 研究の対象になったのは84人。参加者はランダムにカフェイン+アデノシンを含むシャンプーを使うグループ(以下、シャンプーグループ)と比較対照のグループ(同、対照グループ)に分けられ、3カ月間にわたりシャンプーを週3回使用した。毛髪密度、抜け毛の数、毛髪の太さの変化が評価された。

カフェインとアデノシン配合シャンプーの効果

研究開始時点(T0)と3カ月後(T3)の比較。(出典/J Cosmet Dermatol
. 2024 May 19. doi: 10.1111/jocd.16347. Online ahead of print.)

研究開始時点(T0)と3カ月後(T3)の比較。(出典/J Cosmet Dermatol
. 2024 May 19. doi: 10.1111/jocd.16347. Online ahead of print.)

  • 研究結果→シャンプーグループは毛髪密度が有意に増加し、抜け毛の数が減少した。
  • 具体的なデータ→毛髪密度は118.25本/cm²から130.03本/cm²に増加し、抜け毛の数は27.19本から17.53本に減少。
  • 自己評価→シャンプーグループの71.05%がシャンプー使用後に満足度を示し、特に毛髪の再生と更新に対する満足度が高かった。

 こうして明らかになったのは、シャンプーグループでは毛髪密度が有意に増えて、抜け毛の数が減ったこと。具体的には、シャンプーグループの毛髪密度は118.25本/cm²から130.03本/cm²に増え、抜け毛の数は27.19本から17.53本に減った。一方、対照グループではこれらの指標に有意な変化は見られなかった。

 さらに、自己評価によると、シャンプーグループの71.05%がシャンプー使用後に満足度を示し、特に毛髪の再生と更新に対する満足度が高かった。一方で、毛髪の太さには有意な変化は見られなかった。

 結論として、カフェインとアデノシンを配合したシャンプーは、脱毛を減らし、毛髪密度を向上させる効果があることが示された。今後、さらなる研究を通じて、これらの成分を含む頭皮ケア製品の有効性がさらに確認される可能性がある。

参考文献

Chen D, Yu F, Wang C, Chen H, Tan J, Shi Q, He X, Liu X, Wang F, Zhao H. Anti-hair loss effect of a shampoo containing caffeine and adenosine. J Cosmet Dermatol. 2024 May 19. doi: 10.1111/jocd.16347. Epub ahead of print. PMID: 38764299.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38764299/

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https://biyouhifuko.com/news/japan/2270/

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https://biyouhifuko.com/news/research/3062/

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https://biyouhifuko.com/news/research/2831/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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