毛髪の成長にとって、紫外線によって頭皮に発生する「過酸化脂質」という“アブラ”が悪影響を与える可能性がある。
大正製薬が2024年7月11日に、過酸化脂質が多い皮膚での毛髪の成長についての研究結果を報告した。
紫外線を受けた頭皮で増える「過酸化脂質」
大正製薬によると、夏場の強い紫外線は、頭皮にとって好ましくない過酸化脂質を作り出し、毛髪の成長に悪影響を与える恐れがある。この過酸化脂質はフケやかゆみの原因になることが分かっている。
特に毛髪の量が少ない場合、頭皮の皮脂が多くなりやすく、紫外線の影響を受けやすいとされている。紫外線による頭皮へのダメージが秋の抜け毛増加の原因となる。
そこで大正製薬の研究グループは、過酸化脂質が毛髪の成長にどのような影響を及ぼすかを確認するため、マウスを使った動物実験を行った。研究では、皮脂に含まれるスクワレンなどを用いて人工的に過酸化脂質を作り、それをマウスに塗ることで毛の成長への影響を検証した。この条件は5月のくもりの日に紫外線を受けた状態に近いことが分かっている。
さらに研究では男性型脱毛症(AGA)の治療に使われるミノキシジル5%の塗り薬により、過酸化脂質の塗られた条件の下でどのような効果が現れるかも確認した。
過酸化脂質があってもミノキシジルは効果示す
これより確認されたのは、過酸化脂質が塗られた状態だと、マウスの毛の成長が途中で止まることだ。過酸化脂質が毛髪の成長に悪影響を与えることが分かった。
一方で。ミノキシジル5%の塗り薬を使った場合、過酸化脂質が塗られた状態のマウスの毛の成長が改善された。この結果から、ミノキシジルは過酸化脂質によって悪化した頭皮の状態でも発毛効果を示すことが確認された。
ミノキシジルは男性型脱毛症の治療薬だが、男女ともに薄毛の治療に使われている。紫外線が強くなる夏場の治療を考えるときの参考になりそうだ。