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ミノキシジルの毛髪内部の発毛プロセスを見える化、男性型脱毛症や女性型脱毛症の治療効果の証拠、大正製薬が世界初の発見と報告

カレンダー2024.8.12 フォルダー最新研究
毛髪の成長が促された証拠が確認された。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

毛髪の成長が促された証拠が確認された。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 美容医療でも薄毛治療が盛んに行われているが、そうした治療が実際に効いているのか、効果が目に見えるようになれば理想的だろう。

 そうした中で、発毛に使用されている薬であるミノキシジルが発毛を促した痕跡が毛髪の内部に残っていることが明らかになった。発毛の痕跡が目に見えるようになったのは世界で初めてだという。

 大正製薬が2024年8月8日に報告している。

発毛効果の「見える化」を実現

毛髪のデータを集めて分析。(写真/大正製薬)

毛髪のデータを集めて分析。(写真/大正製薬)

 ヒフコNEWSでも伝えている通り、抜け毛は、男性型脱毛症(AGA)や女性型脱毛症(FAGA)などにより起こり、男女ともに共通の問題になっている。そうした脱毛症の治療の代表的な薬にミノキシジルがある。これは血圧を低下させる薬と同じ種類の薬で、血管を広げる作用があることから、それを発毛に応用したものとなる。

 今回、研究を報告した大正製薬は、これまでにミノキシジルが毛細血管の数を増やすことによって、発毛を促すメカニズムを報告している。今回、研究グループは、毛髪は毛母細胞から作られるため、毛髪内部に発毛の痕跡が残っている可能性を想定した。

 そこでAGAの男性を対象として1日2回5%ミノキシジルを使ってもらった上で、ミノキシジルが使用された前後の髪の変化を最先端の分析技術を用いて研究した。この技術により髪の内部の約6万5000のデータを取得。発毛に寄与する要素がどのように変動したかを解析した。

BMP7など毛髪を成長させた証拠

右のグラフのようにBMP7などの要素が増えていた。(写真/大正製薬)

右のグラフのようにBMP7などの要素が増えていた。(写真/大正製薬)

 結果として、ミノコシジルが効果を発揮した証拠が確認された。

 具体的にはミノキシジル使用前後の髪を比較することで、毛髪内部でBMP7といった発毛に関与するタンパク質の量が変動していることが確認された。この変動は、ミノキシジルが毛髪の成長を促進した証拠として捉えられ、ミノキシジルの効果を「見える化」することに成功したといえる。研究グループは、BMP7などを変動させることで、薄毛改善効果を発揮する可能性があると説明している。

 ミノキシジルの作用メカニズムを明確にすることで、より有効で安全性の高い治療が可能になる。美容皮膚科においても一般的に使われる薬の一つであり、より良い美容医療にもつながる研究成果となる。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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