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旅行が老化を防ぐ、免疫や代謝、自己修復、ストレス、4つの体内システムに着目、「エントロピー」の理論から見た納得の効果、オーストラリアのエディスコーワン大学の研究が示す視点

カレンダー2024.9.10 フォルダー最新研究
旅行は理論的に老化防止につながるという研究結果。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

旅行は理論的に老化防止につながるという研究結果。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 旅行が老化防止に効果的であることが示された。

 オーストラリアのエディスコーワン大学(ECU)の研究チームが2024年8月に研究結果を発表した。

旅行が老化防止に役立つ理由

旅行は体内システムに影響。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

旅行は体内システムに影響。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 今回、エディスコーワン大学は「エントロピーの増加」という自然現象に基づいて、旅行が人間の健康にどう影響するかを理論的に調べた。

 エントロピーとは、秩序が保たれた状態が次第に無秩序に向かう現象で、人間の老化とともにシステムが乱れ、健康が損なわれるプロセスにたとえられる。美容の視点から見ると、肌や体の状態が整っていたものが、加齢とともに乱れていく変化はまさにこの自然現象と関連する。老化はエントロピー増加につながる現象と考えられる。

 「ウェルネスツーリズム」という言葉もあり、旅行と健康については関心が高まっているが、ここに新たにエントロピー増加という視点を加えて影響を調べるという一風変わった研究を進めたのが今回の研究グループだ。

 研究グループは、旅行が、人間の4つの主要なシステムにどう影響するかに注目した。4つのシステムとは、「代謝」「免疫」「自己修復」「ストレス」。それぞれ機能が低下すると、健康状態が悪化し、ひいては老化につながると考えられる。

健康的な老化防止のための「旅行習慣」

文化や自然に触れることが「エントロピー」増加を抑える。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

文化や自然に触れることが「エントロピー」増加を抑える。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 研究の結果、ポジティブな旅行体験が健康維持に効果的であることが確認された。

 新しい文化や自然に触れるなどのポジティブな旅行体験が、ストレスを軽減し、免疫機能を向上させる。旅行中の身体活動によって、代謝や自己修復機能が向上し、外部のリスクに強くなることも確認された。また、旅行のリラックス効果によってストレスが軽減する。

 一方、旅行中には感染症や事故などのリスクが伴うことも指摘された。ネガティブな体験はエントロピーを増加させ、健康に悪影響を与える可能性があるため、注意が必要である。

 理論的な分析から確認された旅行の効果は次の通り。

要素 効果
エントロピー理論の適用 旅行によって体内システムの秩序が保たれ、エントロピーの増加(老化や健康の悪化)を抑制する可能性がある。
新しい環境による刺激 未知の環境や新しい体験がストレスを軽減し、免疫機能を向上させる。
身体活動による健康促進 旅行中のハイキングやサイクリングなどの運動が代謝を活性化し、自己修復機能を高める。
リラクゼーション効果 リラックスできる環境で過ごすことで、心身の緊張がほぐれ、ストレスが軽減される。
リスクとその管理 旅行中に感染症や事故に遭遇するリスクがあり、ネガティブな体験は健康を損なう可能性がある。

 この研究は、旅行がレジャー以上に、老化防止に役立つ重要な手段となり得ることを示す。美容面にも旅行が貢献する可能性があるということで、改めて旅行の価値は見直されそうだ。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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