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無資格美容施術、米国で女性が逮捕、潜伏する偽医師、脂肪を減らす施術を違法に実施、日本国内でも違法な無資格施術が厚労省調査で明らかに

カレンダー2025.2.1 フォルダー 海外
逮捕。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

逮捕。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 米国で、女性が無資格で美容施術を行った容疑で逮捕されたと報じられた。

 日本でも、診察や施術がカウンセラーや受付担当者によって行われていたことが表面化している。無資格の美容施術が世界的に問題視されており、今後も注目を集めそうだ。

スペインで医師と主張するも根拠なし

米国コネティカット州ニューロンドン。(写真/Adobe Stock)

米国コネティカット州ニューロンドン。(写真/Adobe Stock)

  • 無資格での美容施術→ 米国コネティカット州で、無資格の女性が美容施術を行った疑いで逮捕された。施術は自宅で行われ、警察が苦情を受け捜査を進めていた。
  • 虚偽の経歴→ 逮捕された女性は「スペインで医師として働いていた」と主張するも、証拠はなく、米国での医師免許も未取得だった。
  • 施術の実態→ レーザーや注射を用いた脂肪減少施術を違法に実施。1日2~3人を対象に施術し、換気が不十分な環境で感染リスクが懸念された。

 米国のNBCなどの報道によれば、米国コネティカット州ニューロンドンで、無資格で美容施術を行っていた疑いにより、45歳の女性が逮捕された。警察は24年7月に自宅で行われた美容施術についての苦情を受け取っており、これに基づいた捜査の結果、逮捕に至った。

 報道によれば、この女性は、自身がスペインで医師として働いていると主張しているというが、その根拠となるものはなく、米国での医師免許も保有していなかった。

 女性は、レーザーや冷却のための医療機器、注射などを用いた脂肪減少の施術を行っていたという。注射針やシリンジなどが押収された。

 1日に2~3人を対象に施術していたとされ、違法施術であるにもかかわらず、大々的に行っていた。換気が不十分で、感染の恐れがある部屋で施術が行われていたとみられる。

  • 米国で無資格施術が問題に→ 24年9月、フロリダ州で偽医師が脂肪吸引や豊尻術、豊胸術を行い、健康被害が発生。違法施術が社会問題化している。
  • メディカルスパの実態→ 非外科的治療(ボツリヌス療法、フィラー治療、点滴、レーザーなど)を行う施設だが、運営が杜撰なケースも多く、医師不在のまま施術が行われる問題が指摘されている。
  • 無資格施術の拡大→ 比較的簡単な美容医療が普及する中、無資格者による施術が散発し、無届けの施設が違法に外科的治療を行うケースも増加している。

 米国では、無資格の施術はかねて問題になっていた。

 24年9月、米国フロリダ州で偽医師が脂肪吸引や豊尻術、豊胸術などを行い、健康被害が発生し、大きな問題となった。

 問題の舞台となったのは「メディカルスパ」と呼ばれる施設だ。

 タフツ大学の医師による解説をヒフコNEWSで紹介したが、簡単にいえば、美容医療の中でも、いわゆる非外科的治療を行う施設である。具体的には、ボツリヌス療法やフィラー治療、点滴、レーザー治療などが挙げられる。

 フロリダ州の施設は脂肪吸引などの外科治療も行っていたとみられ、メディカルスパとはいえないかもしれない。しかし、そもそも運営が杜撰な施設が多く、医師が不在のケースもあり、問題視されている。メディカルスパは、無資格施術が横行する温床の一つといえる。

 非外科的治療のように比較的簡単な手技で行える美容医療が普及する中、無資格者による施術が散発している。

非外科的治療に必要な資格創設を進める英国

英国では医師以外も美容施術を手掛けている。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

英国では医師以外も美容施術を手掛けている。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 日本での無資格施術→ 中国、ベトナム、フィリピンなどの外国籍の人物による無資格美容施術が摘発されており、健康被害の報告もある。
  • 美容クリニックの違法施術→ カウンセラーや受付担当者が診察・施術を行うケースが厚生労働省の調査で判明し、違法行為として問題視されている。
  • 国際的な無資格施術の課題→ タイでは違法施術の摘発が頻発し、英国では非外科的治療のための新たなライセンス制度が検討されるなど、各国で対応が分かれている。

 日本でも、中国、ベトナム、フィリピンなどの外国籍の人物による無資格の美容施術が摘発されるケースが報告されている。ヒフコNEWSでも取り上げているが、無資格者は非外科的治療を中心に、主に同郷者を対象に施術を行っているとみられる。無資格施術による健康被害も報告されている。

 これとは別に、美容クリニックでは、カウンセラーや受付担当者が診察や施術を行うケースが厚生労働省の調査で明らかになっている。これは違法であり、外国籍の人物による無資格施術の問題とは異なる課題として、対策が求められている。

 さらに、無資格施術はアジア各国でも報告されており、逮捕者も頻繁に出ている。タイでは、違法な無資格美容施術を行う人物が警察に摘発されるケースが相次ぎ、ヒフコNEWSでも何度も報じた。

 一方、美容医療の無資格施術には、難しい課題もある。例えば、英国では、非外科的治療を行うための特別な医療資格がこれまで必要とされてこなかった。そのためトラブルが発生し、新たにライセンスを創設する動きが出ている。このライセンスは、医師免許などとは異なるものとなる。英国は、他国とは異なるアプローチを取ることになる。このような英国のアプローチは、無資格施術が単純に摘発される状況とはやや異なる。

 世界の動きを見ながら、美容医療と資格の問題については、継続的に考えていくべき問題といえるだろう。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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