
ロレアルが発表。(写真/Adobe Stock)
ロレアルは2025年6月9日、英国スキンケアブランド「Medik8(メディケイト)」の過半数の株式を取得することで合意したと発表した。
このブランドは薬局発のブランドで医療的な側面もあるが、ロレアルの皮膚科学ブランドのポートフォリオである「Dermalogical Beauty」ではなく、高級ブランドポートフォリオ「Luxe」に組み入れられる。スキンケア製品では高級イメージに加え、科学的バックグラウンドも必須となっている。
薬局での開発をルーツに

ロレアルが株式を取得した「Medik8」のウェブサイト。(出典/Medik8)
- CSAフィロソフィー→ ビタミンC・日焼け止め・ビタミンA(レチノイド)を基本とする「CSAフィロソフィー」と呼ぶ考え方により製品を展開。
- 代表製品は「クリスタル・レチナール」→ 朝にビタミンCと日焼け止め、夜にビタミンAを使う設計。
- ロレアルが出資し、世界展開へ→ ロレアルがMedik8に出資し、現経営陣の継続体制の下で国際展開を進める可能性。
Medik8は、生理学や薬理学を大学で学んだエリオット・アイザックス氏によって、2009年に創出されたブランド。Medik8によれば、同氏の父親の経営する薬局での実験を経て開発された。
「CSAフォーミュラ」と呼ばれる、ビタミンC、日焼け止め、ビタミンA(レチノイド)という3つの柱となる成分を重視した製品を開発している。代表製品の一つは、「Crystal Retinal(クリスタル・レチナール)」。ビタミンCと日焼け止めを朝に、ビタミンAを夜に、という「CSAフィロソフィー」をスキンケアにおける基本哲学として位置づけている。
同社では、オンライン販売や小売店での展開も広げてきた。市販のスキンケア製品でありながら、科学的なアプローチを強調しているのが特徴と言えるだろう。
今後、ロレアルでは、Medik8のこれまでの体制を生かしながら、製品を世界に広げていくことを考えている。同社によれば、今回の出資の後も、Medik8の経営陣は関与を継続することになる。ロレアルLUXE社長のシリル・シャピュイ氏によれば、世界展開も視野に入れているとのことで、日本にも入ってくる可能性が否定できない。Medik8の完全買収の可能性も選択肢になることを説明している。
化粧品と医療との結びつき一層強まる

仏ロレアルグループが美容医療に関連が深いガルデルマの10%の株式を取得。(写真/ロレアルグループのホームページ)
- 美容医療との連携を強化→ トル・ダイアグノスティックとの提携、Dr.Gの買収、ガルデルマへの出資など、美容医療との接点が拡大。
- 科学的根拠を重視した高級ブランド戦略→ Medik8株式取得は、高級ブランド群においても科学的バックグラウンドを持つ製品に注目している表れか。
- アンチエイジングへの対応強化→ 化粧品の役割が外見の美しさから、肌の再生・老化予防へと進化。医療との連携が今後も進展すると予想される。
ロレアルの最近の動きを見ると、美容医療と関連の深い分野との連携が目立っていた。
2025年3月には、ドイツのエピジェネティクスを専門とするトル・ダイアグノスティックと連携、2024年12月には韓国の皮膚科医により創設されたスキンケアブランド「Dr.G」の買収、2024年8月にはヒアルロン酸注入やボツリヌス療法の製剤を扱う美容医療分野ガルデルマへの株式取得が発表されている。これらは、医療分野での存在感を高めるものとなる。
また日本でも2024年7月に、医療機関向けのスキンケアブランド「SkinCeuticals(スキンシューティカルズ)」を秋から日本市場で展開することを発表し、既に国内での販売活動が強化されている。
皮膚科学ブランドのポートフォリオである「Dermalogical Beauty」には、La Roche-Posayを中心に、CeraVeやSkinCeuticalsなどのブランドを保有している。このポートフォリオは同社の中でも特に成長著しい部門となっている。
こうした中で、Medik8の株式取得は、ロレアル全体で見ると、皮膚科学の部門とは異なり、高級ブランドポートフォリオの強化となる。これ自体は美容医療に直接関連しないが、同社が高級ブランド群の中でも、科学的バックグラウンドを持つ製品に着目していると見える。
また、一連の動きからは、老化を防ぐという観点から、化粧品分野における取り組みの強化がうかがわれる。アンチエイジングの関心が高まる中で、化粧品は外見を飾るというばかりではなく、より内側から若返りを実現していくという方向で進化が求められている。この点は、Medik8についても言えることだ。
日本国内の化粧品メーカーも医療機関との連携を図る動きが目立っているが、今後も、化粧品領域と医療との結びつきは一層強まっていくことが予想される。
