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オーストラリアでフェイスリフト失敗の美容外科医が医師免許剥奪、無認可クリニックでの初手術で大量出血事故、規制強化進む同国だが、日本でも他人事ではない

カレンダー2025.7.15 フォルダー 海外
オーストラリアのブリズベン。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

オーストラリアのブリズベン。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 オーストラリアで、フェイスリフトの手術に失敗した医師が免許を剥奪され、注目を集めた。

 オーストラリア医療従事者規制庁(Ahpra)が2025年6月に経緯を報告している。

 同国では、美容医療の規制強化が進んでおり、美容医療に従事する医師の資格要件も議論されており、今回の事例も受けて規制強化が進む可能性がある。

未経験の医師が無認可施設で手術

医療事故を伝える報告。(出典/オーストラリア医療従事者規制庁)

医療事故を伝える報告。(出典/オーストラリア医療従事者規制庁)

  • 医師免許取消の経緯→
    クイーンズランド州の美容外科医がフェイスリフト手術で動脈を損傷し、患者が救急搬送。その結果、医師免許が取り消された。
  • 手術経験の欠如→
    当該医師はフェイスリフト手術の経験がほとんどなく、今回が初めての執刀だった。
  • 医療施設の問題→
    手術が行われたクリニックは必要な医療認可を得ておらず、安全対策も不十分だった。

 同庁によると、医療免許取消となったのは、クイーンズランド州の美容外科医で、氏名も公表された。この医師は2019年5月、自身が運営するクリニックでA氏にフェイスリフト手術を行ったが、首の脇の動脈を損傷し、A氏は救急搬送された。A氏は2日間入院し、幸い3週間で回復に至った。

 その後、執刀した医師は手術経験がほとんどなく、フェイスリフト手術は今回が初めてだったことが判明した。加えて、手術が行われたクリニックは適切な医療認可を得ておらず、緊急時の安全対策も不十分であった。

 施術前のA氏への説明も不適切で、自身の技術や資格について誤解を招く説明をしていた。

 こうした経緯を受け、州民事行政裁判所は「医療教育の根幹を揺るがし、国民の信頼を損なう行為」として、医師免許の取り消しと戒告処分を決定した。

 同庁によると、この事故は整形手術の失敗「ボッチド(Botched)」と表現された。この言葉は、整形手術の失敗をテーマにした米国のテレビ番組「Botched」に由来している。同庁は、「安全が最優先で、誠実かつ倫理的な説明が不可欠」と声明を発表した。

規制強化が進むオーストラリア

オーストラリアでは美容医療のトラブルが問題視されている。(写真/Adobe Stock)

オーストラリアでは美容医療のトラブルが問題視されている。(写真/Adobe Stock)

  • オーストラリアでの規制強化→
    美容医療に関する規制が厳格化されており、専門医資格を持たない医師の「美容外科医」名乗り禁止や、非外科的治療の広告規制などが進んでいる。
  • 日本での未経験医師による施術問題→
    厚労省の調査で、未経験の医師が脂肪吸引などを担当していた事例が判明している。
  • 制度的対策の必要性→
    日本でもトラブルを防ぐため安全性確保に向けた制度整備が進む可能性もある。

 オーストラリアでは、美容医療に関する規制強化が進んでおり、専門医資格を持たない医師が「美容外科医」を名乗ることができなくなる制度の導入や、非外科的治療の広告を禁止するような新たなルールが整備されつつある。医師の資格や経験についての明確な説明義務や、認可を受けた施設での施術実施義務なども、今後より厳格に問われる可能性がある。

 こうした流れの中で、今回のクイーンズランド州における医師免許取消処分の事例は、日本にとっても無関係とは言えない。厚生労働省が2024年に実施した調査では、未経験の医師が美容医療を行うケースが決して珍しくないことが明らかになっている。例えば、脂肪吸引のような手術において、全く経験のない医師が施術を担当していた例も確認されている。

 このような状況では、事故の発生が懸念される。実際に、今回のオーストラリアの事例では、動脈を損傷して大量出血を引き起こしたことで、患者は緊急搬送され、医師は免許を剥奪された。日本でも、美容医療に関するトラブルが注目される中で、安全性を確保するための制度的対策が求められる可能性がある。

【補足】
・後頭部の動脈と記載していましたが、後頭部よりもやや首の脇に近い後頭動脈なので首の脇の動脈と改めました。(2025/7/15)

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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