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韓国で「白玉点滴」で知られるグルタチオン注射などの違法販売を摘発 筋トレ、ボディメイク流行も背景か? 韓国政府機関が発表

カレンダー2025.12.13 フォルダー 海外
薬が違法に横流しされていた。(出典/韓国食品医薬品安全処)

薬が違法に横流しされていた。(出典/韓国食品医薬品安全処)

 美容医療を目的に韓国を訪れる日本人が増える一方で、筋トレやボディメイクの流行も背景にあると見られる「薬」の問題が起きている。

 韓国政府の機関である韓国食品医薬品安全処(MFDS)は2025年11月に、グルタチオン製剤などの薬品を違法に販売していた卸売会社や薬剤師を摘発したと発表した。

グルタチオンの注射剤をSNSで違法販売

使用目的は不明。無許可ステロイドの使用が背景にあり、筋肉増強等の可能性も想定される。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

使用目的は不明。無許可ステロイドの使用が背景にあり、筋肉増強等の可能性も想定される。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 韓国MFDSが医薬品の不正流通を摘発 → 卸売業者社員と薬剤師が共謀し、処方箋が必要な薬49種類・約3000万円分を違法販売。
  • 対象薬には美容関連のグルタチオン注射剤も → 日本では「白玉点滴」として知られ、美白・抗酸化効果をうたう施術に使われることがある。
  • 無許可ステロイド使用者が副作用対策として購入か → ステロイドによる副作用緩和目的で利用されていた可能性。

 MFDSの発表によると、卸売会社の社員と薬剤師が共謀して、処方箋が必要な薬品を不正に流通させていた。

 販売されていたのは、美容クリニックでもおなじみのグルタチオン注射剤や、乳がんの治療に使われるタモキシフェンなど、49種類、約3000万円相当の医薬品で、SNSを通じて無許可のステロイド販売の企業や一般購入者向けに売られていたという。

 グルタチオン注射剤は、日本国内では「白玉点滴」と呼ばれて、美容クリニックなどで使用されていることで知られる。抗酸化作用や美白効果などがいわれることがある。

 MFDSは、こうした薬が無許可ステロイドの副作用を抑える目的などで使われていた可能性があると指摘している。

 卸売会社の社員は、病院に納品した薬を「返品処理」したように装って横流しをしていた。薬剤師からは処方箋なしで医薬品を購入していた。

 医療用医薬品は、医師の診断に基づいて使用されることを前提としている。自己判断で使用することは、合併症の恐れなどもある。

 この違法販売が何のために行われたかは不明だ。しかし、ステロイドは筋肉増強の目的で使われることがある。無許可の販売というところから、そうした医療外の目的に用いられた可能性も想定される。だとしたら、これはある意味で筋トレ、ボディメイクのブームが背景があることも想定される。韓国では、違法な筋肉増強目的でのステロイド使用を伝える「薬物汚染」報道もある。

GLP-1薬の違法販売と「動機」は重なる?

不正な薬の使用は危険。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

不正な薬の使用は危険。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 違法薬流通はGLP-1薬問題と共通構造 → 韓国では2024年、GLP-1受容体作動薬の不正オンライン販売359件を摘発。
  • 誇張広告が拡散 → SNSを介して「簡単に手に入る」と誤認させ、本来処方が必要な薬を個人が安易に使用するケース。
  • 訪韓美容医療ブームの裏に薬のリスク → 施術そのものよりも、使用薬剤の正規ルート・品質管理に問題が潜む可能性がある。

 この問題は、ヒフコNEWSがこれまで伝えてきたGLP-1受容体作動薬の違法オンライン販売とも共通点が多い。

 韓国では2024年、GLP-1薬を中心とした違法なオンライン販売が359件摘発され、偽造品や汚染品の可能性があると警告された。

 いずれのケースも、SNSやオンラインを介して「簡単に手に入る」「美容やダイエットに効く」といった形で医薬品が流通している点が特徴だ。

 ポイントとしては、何らかの薬の効果が誇張され、それに影響されて本来入手できない薬を安易に使用するケースが増えている点がある。

 訪韓美容医療の人気が高まる中で、治療そのものだけでなく、使われる薬が正規ルートのものか、適切な管理下にあるかを理解しておくことは重要だろう。中には、いわゆる「トンデモ治療」がまぎれている可能性もある。

 海外で美容医療を受ける際には、価格や流行だけでなく、その裏側にある医薬品の扱われ方にも注意を払う必要がありそうだ。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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