ヒフコNEWS 美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイト

米国ニューヨークで違法疑いメディスパ調査、全店で法律違反など明らかに、「無資格」横行で免許取消も、規制強化の波は米国にも

カレンダー2026.1.8 フォルダー 海外
メディカルスパを対象に調査を実施。(出典/ニューヨーク市議会)

メディカルスパを対象に調査を実施。(出典/ニューヨーク市議会)

 米国ニューヨーク市は2025年12月、メディカルスパ15店舗を調査した結果を公表し、全店舗で違法状態や安全面の不備が確認されたことを発表した。

 中には無資格者による美容施術や医師不在などの問題が指摘されている。かねて米国ではメディカルスパ、略してメディスパの問題が指摘されていたが、調査結果も踏まえた対策が打たれることが予想される。

 美容医療に必要な資格の問題は、世界中で課題になっているが、米国でも重要な課題として認識されている。

医療行為を無資格で提供

2025年12月に調査結果を公表。(出典/ニューヨーク市議会)

2025年12月に調査結果を公表。(出典/ニューヨーク市議会)

  • 調査の概要→ニューヨーク市議会が当局と連携し、2024年6~9月にメディカルスパ15店舗を立ち入り調査。
  • 判明した問題→全店舗で無免許や無監督のまま注入や点滴などの医療行為が行われるなど問題発覚。
  • 具体的な危険例→使用済み針があふれる廃棄状況、食品と同じ冷蔵庫での製剤保管などが確認された。

 調査は、ニューヨーク市議会の監督・調査部門が中心となり、州保健当局(捜査部門や麻薬取締部門)、州教育当局、州務当局などと連携して実施された。

 対象は5つの行政区(ブロンクス、ブルックリン、マンハッタン、クイーンズ、スタテン島)にある、SNSの情報や口コミなどから違反状況を疑った計15店舗で、2024年6〜9月に立ち入り調査が行われた。

 報告書によると、全店舗で、必要な免許や監督体制がないまま注入や点滴などの医療行為が提供されていた。無資格による美容医療行為が横行していた状況といえる。

 このほかには、調査項目のみからは具体的な中身を推し量りづらいところもあるが、免許の掲示不備93%、安全関連の記録不備86%、施術時に医療従事者が現場で監督していないケース73%と、問題だらけの状況だ。

 加えて、化学物質や火気の安全違反66%、賠償責任保険の提示がない店舗60%、衛生、清潔面の不備は53%。

 また、使用製品のラベル表示などの不備46%。これは正規品なのかどうか分からない、中身が入れ替えられているなどの状況と想像される。

 さらに、無資格者または資格期限切れの従事者への依存26%となっていた。

 具体的に確認された状況は、使用済みの針が容器にあふれていたこと、昼食と同じ冷蔵庫に製剤が保管されていたこと、期限切れや海外由来に見える製剤が手書きラベルの容器に入れられていたことなど、安全性に懸念が出る状況だ。「週7日勤務」といった労働時間の問題も指摘されていた。

見た目からは区別付きづらい

米国で広がるメディカルスパ。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

米国で広がるメディカルスパ。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 調査結果と処分→調査対象15店舗のうち4店舗が、外見改善ビジネス(AEB)の免許を2025年8月までに取消処分となった。
  • 制度と実態の乖離→ニューヨーク州ではボツリヌス療法やフィラー、点滴などは医療行為と位置付けられているにもかかわらず、無資格店舗で堂々と提供されていた実態。
  • 市議会の提言→①医療行為ができないことの明確な掲示と禁止施術の明示、②定期検査、③無資格施設の見分け方など啓発を州に求めている。

 調査の結果、2025年8月までに4店舗は、外見を改善するビジネスを行う資格である「AEB(Appearance enhancement business)」の免許取消となった。

 「Beauty Forever NY」「Faces NYC Spa」「Bellisima Hair」「Downtown Citi Spa」という店舗名も公表されている。それぞれのウェブサイトを検索してみると、それらしい店舗が見つかる。それらの見た目からは無資格だと区別が付きにくいのが確認できる。

 4店舗はいずれも、衛生管理の不備などの問題が指摘され、同意命令という形で免許が取り消された。

 残りの11店舗も係争中で、何らかの処分が下される可能性がある。

 市議会は、美容系の店舗と医療行為の線引きが利用者に伝わりにくいと指摘しているが、ウェブサイトからはその状況が理解しやすい。同州でも、ボツリヌス療法やフィラー注入、点滴などは医療専門職による医療行為とされているが、違反店舗では堂々とそれらが提供されていたと見られる。

 市議会は州に対し、対策を3本柱で求めている

 第一に、外見改善ビジネスには「医療行為はできない」ことを目立つ形で掲示し、ボツリヌス療法やフィラー、PRP(多血小板血漿)、点滴、ボディコントゥアリング(例えば、リキッドリポと表現されている、脂肪溶解注射と考えられる)など、提供できない施術を明記する制度を検討すること。

 第二に、免許、衛生、保険、医療要件について確認できる定期検査の実施。

 第三に、無資格施設を見分けるポイントや医療面のリスク、利用者の権利などを伝える多言語での啓発キャンペーンの展開。

 これらは日本で進められている美容医療の対策に近い部分もある。

 今後、米国でのメディカルスパへの対策が強化される可能性が考えられる。

参考文献

Moving The Needle A Joint Enforcement Operation Against Improperly Licensed Medspas in NYC
https://council.nyc.gov/press/wp-content/uploads/sites/56/2025/12/OID_Medical_Spas-REPORT_120125-v847.pdf

Joint NYC Council, State Investigation into Growing Industry of Medical Spas Finds Violations of State Law, Threatening New Yorkers’ Health and Safety
https://council.nyc.gov/press/2025/12/11/3027/

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

お問い合わせ

下記よりお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。