
英国で進む規制強化の動き。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
英国では、医療関係者でなくても、美容医療の非外科的施術が行えることなどで、トラブル発生が問題になってきた。
現在は、こうした問題を受け、非外科的施術を行うためのライセンス制度作りが進行している。
そうした中で、英国の専門団体である英国美容医療学会(British College of Aesthetic Medicine、BCAM)が、「Vet It Before You Get It(受ける前に確かめよう)」と題した全国キャンペーンを2025年10月から開始している。
この中で、英国で発生した美容施術関連の合併症の実態が示されている。
対処された合併症が3000件を超える

美容施術によるトラブルを防止するキャンペーン。(出典/BCAM)
- 合併症の多さ→ 2024年にBCAM所属の医師・歯科医が対応した美容施術の合併症は3002件。
- 非医療従事者の関与→ 合併症の67%は、後から対応した医師とは異なる施術者による治療後に発生。
- 若年層への広がり→ BCAM会員の21%が18歳未満から美容施術の相談を受けた経験があると回答。
BCAMによると、2024年に、BCAMに所属する医師や歯科医が対応した美容施術の合併症は3002件に上った。
そのうち67%は、後から対応した医師や歯科医とは異なる施術者による治療後に生じた合併症だった。医師以外の施術者が関与していたケースが多数を占めた。
特に多かったのがフィラーに関連するトラブルで、全体の87%がフィラー施術に関係していた。
具体的には、1239件のフィラー症例と668件のボツリヌストキシン症例が、美容師などの非医療従事者による施術と関連していた。
このほかにも、レーザー施術によるやけどが264件、スレッドリフト(糸治療)に関する合併症が85件報告された。
非外科的施術であっても健康被害につながり得ることが示された。
また、BCAM会員の21%が、18歳未満の未成年者から美容施術の相談を受けた経験があると回答し、若年層への影響も懸念されている。
「受ける前に確かめる」チェックリスト

不正な製剤を防ぐために、製剤のパッケージを詳しく確認するよう求めている。(出典/BCAM)
- キャンペーンの狙い→ BCAMは利用者自身が安全性を見極めるためのキャンペーンを打ち出した。
- 事前チェックの内容→ 施術者の医療資格や登録状況、医師の監督、賠償責任保険、使用製剤、緊急時対応体制などを確認するチェックリスト用意。
- 利用者への警鐘→ BCAMは、質問に明確な説明や根拠を示せない施術者・施設では施術を受けるべきでないと強調。
こうした状況を受け、BCAMが打ち出したのが「Vet It Before You Get It」キャンペーン。
キャンペーンの中心となるのは、施術前に確認すべき事項を整理した「事前安全確認チェックリスト」で、注入治療やアンチエイジング施術を検討する人が、自ら施術者や施設を見極めるためのツールとして位置付けられている。
チェックリストでは、施術者が正式な医療資格を持ち登録されているか、医師による監督体制があるか、賠償責任保険に加入しているかといった基本事項に加え、使用する製剤が正規に承認されたものであるか、緊急時の対応体制が整っているかなどを確認するよう促している。
ボツリヌストキシンやフィラーに特化した確認用資料も用意されており、「何を、誰が、どの体制で行うのか」を事前に知ることが重要だと強調されている。
BCAMは、これらの質問に対して明確な説明や根拠を示せない場合は施術を受けるべきではないとし、美容施術の「気軽さ」の裏にある医療リスクへの注意を呼びかけている。
英国では18歳未満の施術を制限するなどの規制強化の方針を既に示している。安全な美容医療の実現に向けた動きが英国を始め欧州で進んでおり、これからの動向も注目される。
参考文献
BCAM Launches “Vet It Before You Get It” Campaign as New Clinical Review Reveals Urgent Need for Aesthetic Regulation
https://bcam.ac.uk/media/news/53/bcam_launches_vet_it_before_you_get_it_campaign_as_new_clinical_review_reveals_urgent_need_for_aesthetic_regulation
英国政府が美容医療の安全強化、無資格施術の排除へ動く、リスクの高い施術は医療従事者のみ、未成年者への施術は厳しく制限
https://biyouhifuko.com/news/world/14051/
