
IMCAS World Congress 2026で講演した米ボストンコンサルティンググループのロッシ氏。(写真/編集部)
美容医療への関心は世界的に高まっている。一方で、施術価格の下落も進み、単なる値下げではなく「どのように価値を高めるか」が問われている。
フランス・パリで開催されたIMCAS World Congress 2026で、米国ボストン コンサルティング グループ(BCG)の美容医療分野グローバルリーダー、セルジオ・ロッシ氏が講演。世界市場の構造変化と今後の方向性を示した。
消費者が選ぶ時代に

IMCASでの講演。(写真/編集部)
- 市場構造の変化→ 施術数は増加する一方で単価は下落し、市場成長は緩やかに。
- 伸びる領域→ フィラー×スキンブースター、高周波、ボツリヌスなど複合・低侵襲治療が拡大。
- 消費者主導→ 価格だけでなく体験や納得感を重視する「選ぶ時代」へ移行。
ロッシ氏によれば、世界の医療美容関連製品市場は約240億ドル(約3兆6000億円)。2030年まで年率5〜7%の成長が見込まれている。
ただし内訳を見ると、施術を受ける人の数や回数は年7〜9%増えている一方で、施術単価は低下傾向にある。そのため市場全体の成長率は約5%にとどまっているという。
比較的伸びているのは、ヒアルロン酸フィラーとスキンブースターやバイオスティミュレーターを組み合わせた治療、ボツリヌス療法、高周波などのデバイス施術、フェイシャル施術、メディカルコスメ。一方、ヒアルロン酸フィラー単独や乳房インプラントは伸びが落ち着いている。
特にボツリヌス療法とヒアルロン酸フィラーでは価格低下が進んでいる。
ロッシ氏が強調したのは「消費者が選ぶ時代」への移行だ。アジアだけでなく、米国でも消費者の影響力が拡大。スキンクリニックやメドスパの拡大が続き、企業や医療機関は消費者視点をより重視する必要があるとした。
新しいカテゴリーで価値を作る

IMCAS World 2026が開催されたパレ・デ・コングレ・ド・パリ。(写真/編集部)
- 地域別の入口→ 米国はボツリヌス、欧州は脱毛、中国はフェイシャルと入り口が異なる。
- 個別化と可視化→ 複数施術の組み合わせや成果の見える化が今後の鍵。
- 次世代分野→ 栄養プラニング、ロンジェビティ、GLP-1関連など新カテゴリーに発展の可能性。
地域別では、美容医療への入り口が異なる。米国ではボツリヌス療法、欧州ではレーザー脱毛、中国ではフェイシャル施術が多い傾向にある。
コラーゲン生成を促すスキンブースターやバイオスティミュレーターは、欧州や中国で拡大傾向。一方で、ヒアルロン酸フィラーやボディーコントゥアリングから入る層は各地域とも少数派にとどまる。
今後は、複数施術の組み合わせや個別化された提案、成果の可視化が重要になると指摘。若年層が試しやすい設計や、過度に不自然な仕上がりを避ける「ナチュラル志向」も鍵になるとした。
さらにロッシ氏は、次世代カテゴリーとして、栄養プラニング、ロンジェビティ(健康寿命)、ウェルネス、頭髪回復、GLP-1関連、ホルモン補充療法などを挙げた。現在は米国での関心が高いが、今後は欧州や中国にも広がる可能性があるという。
単なる価格競争ではなく、新しい価値や分野を設計することが今後の成長につながる――。その指摘は、日本市場にとっても示唆に富む内容といえそうだ。
