
IMCAS World Congress 2026で行われたディスカッション。(写真/編集部)
美容の非外科的治療は、フィラー、デバイス、スキンケアを組み合わせる併用治療がますます重要になる──そうした方向性が国際学会の場で明確に示された。
IMCAS World Congress 2026で開催されたラウンドテーブルでは、美容医療のこれからの併用について話し合われていた。
モデレーターを務めたのはIMCAS創設者のベンジャミン・アッシャー医師と、米国の皮膚科医カヴィタ・マリワラ医師。
パネリストにはクローマ・ファーマ(Croma Pharma)の最高経営責任者(CEO)であるアンドレアス・プリンツ氏、アラガン・エステティックス(Allergan Aesthetics)のアナ・コストバ氏、ネウヴィア(Neauvia)の社長兼創業者ガブリエレ・ドリゴ氏、ガルデルマ(Galderma)CEOのゲルハルト・ミューレ氏が登壇した。
GLP-1で変わる美容医療ここでも言及

司会を務めたのは、IMCAS創設者のベンジャミン・アッシャー医師。(写真/編集部)
- GLP-1の影響→ 医療ダイエットの普及で、顔のボリューム減少など新しい悩みが出ている。
- 頬のボリュームロス→ 減量後は頬の脂肪減少や肌質変化が課題として認識されている。
- 女性医療との関係→ 更年期によるコラーゲン減少など、健康やライフステージも美容医療に影響。
議題は「併用治療をどのように位置づけるのか」。
登壇者から挙がったのは「併用のための併用にしない」という考え方で、施術を希望する人の状態やニーズから逆算して治療を設計するのが重要とされた。「結果として必要な場合」に治療を追加することが重要とされた。
ここでもGLP-1受容体作動薬(GLP-1)は注目された。登壇者によれば、GLP-1を使用する人は確実に増え、GLP-1処方医の中には美容注入を行う医師も一定数含まれているとのデータが紹介された。
ヒフコNEWSでは、IMCASなどの報告で伝えているが、今回の登壇者からも頬のボリュームロスが新たな課題として認識されているとの発言があった。
さらに気になるのは、単に皮下脂肪が減るだけでなく、真皮白色脂肪組織の減少が肌質に影響する可能性も指摘されたことだ。GLP-1薬を使うことで肌質が悪くなるのは避けたいところ。減量で自信を得たのに、顔の印象は悪くなったという落とし穴にはまらないことは重要だろう。
更年期についての意見も出た。閉経後最初の5年間でコラーゲンが約30%減少するとされるデータに言及があった。美容医療は、女性医療や健康の問題を合わせて考える必要があるという考え方が出てきているようだ。
併用治療は、さまざまな原因で起こる水分量の低下や肌質の変化などに対して統合的に進めるアプローチと考えられる。スキンケアやスキンブースター、エネルギーデバイスなど組み合わせて解決していく場面が一層増えるという見方が強まっている。ただし、登壇者からは、併用を売るために行うのではなく、臨床試験やガイドライン整備を通じて科学的根拠を明確にすべきだとの意見も出た。逆に言えば、むやみに併用治療が横行する恐れもある点には注意が必要だろう。
「スキン・ロンジェビティ」で肌質を高めていく

IMCAS。(写真/編集部)
- 新しい考え方→ 「スキン・ロンジェビティ」という長期的な肌の健康の視点が注目。
- 多角的な評価→ 紫外線や生活習慣、細胞レベルの変化まで含めて肌を評価する。
- 統合治療へ→ 注入、デバイス、スキンケアを組み合わせて肌質改善を目指す。
議論では、肌質(スキン・クオリティー)の考え方を変えていく必要性についても語られた。水分量や毛穴、色調といった従来の評価指標だけでは十分ではないという考え方からだ。
そこで出てくるのが、「スキン・ロンジェビティ(Skin Longevity)」のアプローチ。これは、紫外線などの外的要因、喫煙や急速減量といった生活習慣、更年期などの生物学的要因を整理し皮膚やその細胞の変化を統合的に捉えていくもの。さらに、テロメア、ミトコンドリア、細胞外基質などにも注目し、従来の評価項目にとどまらない観点から、肌の質を高めていく方向性が示された。
こうした複数の観点を持ちつつ、治療を組み合わせるという方向性が考えられる。
長期的な信頼関係の中で医師が治療を設計するモデルが再評価されているという。短期的なトレンドに左右されないクリニックが求められる可能性がある。
