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GLP-1時代、美容医療はどう変わるか 顔の構造変化に対応へ 外科・栄養・診断を組み合わせた治療設計が課題に IMCASで米国形成外科医が指摘

カレンダー2026.3.21 フォルダー 海外
米国の形成外科医マイケル・ソメネク(Michael Somenek)氏。(写真/編集部)

米国の形成外科医マイケル・ソメネク(Michael Somenek)氏。(写真/編集部)

 抗肥満薬が美容医療に影響しているとされるが、その現状について医師が語った。

 米国の形成外科医マイケル・ソメネク(Michael Somenek)氏がIMCAS World Congress 2026で講演した。

GLP-1が変えた顔の構造

GLP-1薬が国内外で注目される。(写真/Adobe Stock)

GLP-1薬が国内外で注目される。(写真/Adobe Stock)

  • 単なる脂肪減少ではない→ 浅層・深層の脂肪が減り、骨格や靱帯が目立つ構造変化が起きる。
  • 従来と違う老化パターン→ コラーゲン低下や皮膚のしぼみなど、「GLP-1フェイス」と呼ばれる変化が出現。
  • 治療設計も変化→ リフトだけでなく脂肪移植や再配置など、より複合的なアプローチが必要に。

 GLP-1受容体作動薬(GLP-1薬)などのGLP-1関連薬の登場により、医療的な面で、手術しなくても大幅に体重を減らせるようになった。薬を使った体重の減少は人によっては20~25%に達することもある。

 ソメネク氏によれば、これまでとは異なる背景を持つ人たちが来院するようになっているという。

 変化としては顔に表れるが、単なる「ボリュームロス」と呼ばれる変化にとどまらないという。同氏によると、顔の浅い部分から深い部分の脂肪が減少し、骨格や靱帯の構造が強調されて輪郭のバランスが崩れる。さらに、皮膚の弾力が低下し、コラーゲンの構造にも変化が生じ、「GLP-1フェイス」と呼ばれるくぼみやしぼみが出現する。

 ソメネク氏はこのような変化について従来、年を取ったときに起こる変化と一致していないと説明する。

 このため外科的な施術も見直しが必要になっている。同氏によれば、単に皮膚を引き上げる方法では十分な結果が得られず、皮膚の深部組織を扱ったり、脂肪の再配置を行ったり、脂肪移植や再生医療的な処置を行ったりすることを検討する場面が増えているという。

 一方で、GLP-1関連薬を使用している本人は体型の変化には満足していても、顔を元に戻すことを必ずしも望んでいるわけではない。「過剰な補正を避けつつ自然な輪郭を再建するバランスが、これまで以上に難しくなっている」という。手術のタイミングも薬を、薬を使っている間は、ボリュームロスが続く可能性があるため、体重の安定を待つことが重要になる。

栄養や診断技術も駆使

栄養は重要な課題。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

栄養は重要な課題。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

  • 栄養不足が新たな課題→ 食事量減少でタンパク質やビタミン不足が起こりやすい。
  • 治療前後の管理が重要→ 栄養状態は手術リスクや回復に影響し、継続的な管理が必要。
  • AI・画像診断の活用→ 体や皮膚の状態を客観的に評価し、治療の精度を高める流れ。

 「GLP-1時代」のもう一つの重要な特徴は、栄養状態の変化だという。食欲の抑制によって食事の量が減るために、タンパク質や鉄、亜鉛、ビタミンB群などの不足が生じやすくなる。筋肉量が低下するサルコペニアや傷の治りが遅くなるといった悪影響も考えられる。これは見た目の問題にとどまらず、手術リスクそのものに関わり、手術を受ける前からの栄養の評価と最適化が不可欠となる。手術後も、体の変化への影響が出やすく、フォローや栄養管理が重要だという。

 このほか脂肪移植後に薬を中止して体重が再増加した場合、移植された脂肪がどう変化するかといった長期的課題もある。

 講演では、複雑な変化を把握するために、体を傷つけずに状態を評価できるイメージングやAIの役割も拡大していると語られた。皮膚の構造を見たり、注入した製剤を見えるようにしたり、治療の反応を調べたりすることで、経験に頼らずに客観的な評価を行えるようにすることが可能になっている。

 美容医療はこのような薬の利用も踏まえて、美容施術ばかりではなく、栄養状態や診断の技術なども含めて進化している。

 GLP-1薬を使用している人にとっても、体重だけではない変化について理解しておくのは重要だろう。

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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