英国のフィラー治療やボツリヌス療法の人気、歯科医や一般医、看護師も手掛ける意外な実態
ポイント
- 英国では注入治療が人気だが、注入治療の施術者に対する規制がない
- 調査の結果、施術者の32%が医師、13%が看護師、24%が歯科医などだった
- 美容医療との関わりの薄い一般医など、幅広い専門性を持つ医師が手掛けていた
2023年7月、英国の研究グループが、美容医療でのフィラー治療やボツリヌス療法という注入治療を実際に行っているのが誰なのかを調べたところ、一般医や歯科医、看護師を含めた幅広い医療資格を持つ施術者により行われている意外な実態が明らかになった。英国でこのような施術者の調査が行われたのは初めてという。
誰が注入治療を行えるかの規制はない
英国では注入治療を望む人が増えており、その市場規模は毎年平均3.6%増えており、26年には117億ポンド(日本円で約2兆1000億円)に達する可能性がある。日本の美容医療の市場規模は約4000億円とされるので、その4倍という大きな規模が見込まれていることになる。
英国では、誰がこれらの注入治療を行えるかの規制がなく、トレーニングの仕組みや専門の資格、監視の仕組みなどもない。そのためどのような専門性を持った施術者が注入治療を行っているかもよく分かっていない。
そこで、英国ロンドン大学を中心とした研究グループは、英国内のクリニックで誰がどのような訓練を受けて注入治療を行っているのか調査することにした。なお、英国では「GP」と呼ばれる一般医が病気全般を最初に診療する仕組みで、GPは美容医療と関わりはあまりないと考えられる。今回の調査では、注入治療を行っている施術者のGPへの登録状況も調べた。
美容医療に関わりない医師や歯科医も手掛ける
研究グループは3000カ所のウェブサイトを調べ、1224カ所のクリニックで働く4405人の施術者を特定。そのうち注入治療に携わっていたのが3667人で、そのほかはサポートの役割を果たしていた。
注入治療の施術者のうち32%が医師、13%が看護師、24%が歯科医、8%が歯科看護師。1163人の医師のうち、41%が特定分野の専門医で、219人がGPの登録をしていた。専門医の資格として最も多かったのは形成外科の37%で、皮膚科の18%が続いた。
研究グループは、さまざまなタイプの施術者が注入治療を手掛けている実態に注意を促す。これが潜在的なリスクにつながる可能性があるからだ。免許制を導入するための法律案に考慮されるとも説明する。
ヒフコNEWSでは、米国形成外科学会の調査から、正しいトレーニングを受けずに美容医療を手掛けている人が世界中に多く存在することを伝えた。こうした状況は英国ばかりではなく、世界各国で問題二なり得る。規制やトレーニングの問題など、海外の状況は日本にも影響を与えるかもしれない。
参考文献
David Zargaran, Alexander Zargaran, Tom Terranova, Helia Khaledi, Alexandra Robinson, Julie Davies, Tim Weyrich and Afshin Mosahebi, Profiling UK injectable aesthetic practitioners: a national cohort analysis, Journal of Plastic, Reconstructive &Aesthetic Surgery, (2023) doi:https://doi.org/10.1016/j.bjps.2023.06.057
https://www.jprasurg.com/article/S1748-6815(23)00376-5/fulltext
美容医療のリスク増大?世界22か国でのトレーニング不足・無資格施術者の問題を米国形成外科学会が調査
https://biyouhifuko.com/news/world/3006/
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