そのタトゥー、今も満足してますか? タトゥー除去術の最前線をチェック!
ポイント
- タトゥー除去手術に伴う痛みは、高度なペインマネージメントによりコントロールできる
- レーザー技術の進化に伴い安全性が上がり、治療時間の短縮とコストの削減が実現
- レーザーの組み合わせにより、多色使いや繊細に描かれたタトゥーの除去も可能に
どうやらタトゥー除去手術は進化しているようだ。米国形成外科学会(ASPS)が、2023年10月に専門医の声としてそのような変化を伝えている。
レーザー技術の進化でタトゥー除去術の精度がUP
米国形成外科学会によると、レーザーの精度がこの10年で飛躍的に進化し、タトゥーをより正確に、効率よく除去できるようになったという。この技術の最前線にいる、南カリフォルニア大学の教授であり、ロサンゼルス形成外科学会の次期会長でもある、形成外科専門医のアンドリュー・オードン氏の見解を紹介しよう。
学会が注目している5つの点を順次挙げていく。以下、特に断りがなければ、オードン氏の説明による。
痛みへの懸念
除去に強い痛みが伴うのは、いずれ過去の話になるのかもしれない。現在は最新の麻酔クリームを使うことで、処置中の不快感を最小化できるという。さらに、「長時間作用するエクスパレルなどの麻酔薬を使うことで、手術後の回復期の痛みの心配も不要になる」とオードン氏は語る。
より痛みを伴いやすい、皮膚が薄く脂肪が少ない場所(腕や脚など)のタトゥーについても、高度なペインマネージメントにより対処が可能に。
痛みの感じ方は人によって異なるが、快適さを重視したパーソナルな処置を希望することで、もはや痛みはコントロール下にあるのかもしれない。
レーザー技術の進化
タトゥー除去術の基本は、レーザーにより色素をごく小さな粒子に分解することにあるという。分解された色素は、体の免疫システムによって自然に洗い流される。革命的とオードン氏が表現する「ピコレーザー」「Qスイッチレーザー」の登場により、色素の分解が速くなり、治療時間の短縮とコスト削減が可能になった。さらに、様々な色みのタトゥーにも対応ができるという。
最新レーザーの優れた精度により、まわりの皮膚への影響を最小限に抑え、安全性が向上し、副作用を起こす可能性も減っていると学会は伝えている。
タトゥーの色と肌タイプの見分け
レーザーによる除去術は、単一の色み、かつ深すぎないタトゥーに対して、より効果的だという。したがって、多色使いや繊細に描かれたタトゥーの除去は難易度が上がるが、レーザーを組み合わせることで、その処置が可能になるそうだ。
オードン氏によると、除去には個人の肌タイプも重要な要素になるという。青白い皮膚を表すタイプ1から濃い褐色または黒色の皮膚を表すタイプ6までに肌を分類した「フィッツパトリック分類」を用いた場合、タイプ6に近い人はより注意して処置する必要があるのだそうだ。
レーザーによる施術は色素細胞に影響を与えるので、失敗すると肌の色が不均一になったり、永久的な変色が起こったりする可能性が考えられる。
最先端のレーザー治療により高い費用対効果の期待
治療後のケア
「除去手術と同じくらい重要なのが、治療後のケアである」とオードン氏は指摘している。術後の肌はヤケドした状態に似ていて、乾燥やかさぶたに悩まされたり、感染症を引き起こしやすくなったりする。この対応として、ワセリンや専用のクリームを塗ると、かゆみや腫れが軽減し、炎症を抑えられるという。
現代は情報が豊富に取得できる時代であるため、自分でタトゥー除去を行う人が増えているといわれているが、「医師が奨励するものではない」とオードン氏は警鐘を鳴らしている。
瘢痕化したり、不完全な除去となったりする可能性はもちろん、心配なのが感染のリスクだ。クリニックの管理された環境と医師の専門知識がなければ、皮膚を傷つけ、治癒時間が長くなり、永久的な損傷を引き起こす恐れがあるだろう。
先端技術の費用対効果
高度なレーザー治療はコストがかかるが、それは効率の良さによって相殺されるのかもしれない。つまり、施術回数の削減、回復時間の短縮、優れた結果など、長期的なメリットと照らし合わせることで、その価値が明らかになるという。
「より早い結果を得るためには、1000ドル以上の準備を。長期的には費用対効果が高いと言える」(オードン氏)
※日本円で1000ドルは15万円ほどだが、日本では除去の範囲に従って値段が設定されていることが多い。
高額な費用をかけてまで高度なレーザー治療を受ける必要があるか。その判断は個人に委ねられているが、この分野の進歩は加速するばかりで、将来的にはさらに手頃な価格になるだろうと学会は伝えている。
過去の判断を“除去”し、新しいスタートを切ろうとしている人にとって、明るい未来が期待できると良いのだろう。
日本国内でもレーザーによるタトゥー除去手術は一般的に行われている。もうタトゥーをなくしたいと考えている人は、検討して良いかもしれない。
参考文献
Ink regret: Navigating the world of tattoo removal
https://www.plasticsurgery.org/news/articles/ink-regret-navigating-the-world-of-tattoo-removal
タトゥーとアートメイク、注目される線引きや残る課題とは?日本タトゥーイスト協会がタトゥーの定義を発表
https://biyouhifuko.com/news/japan/2430/
厚労省がアートメイクは医療行為と通知、タトゥーとの違いを最高裁判決などから判断
https://biyouhifuko.com/news/japan/2417/
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