タイで無資格で美容施術を行っていた偽医師が6人逮捕された。タイ警察中央捜査局(CIB)が2024年7月12日に発表した。
日本国内を含めて、世界的に偽医師や偽製剤がまん延しており、信頼できない施設での施術には十分注意する必要がある。
広告で手広く人を集め苦情寄せられる
タイ警察によると、偽医師はオンライン広告で人を集め、ボツリヌス療法やフィラー治療などを行っていた。これまでにバンコク郊外のパトゥムタニ県とノンタブリー県の5つの施設で違法な美容施術を行っていた。施設の周囲からは市民の苦情が保健当局に寄せられており、もともと問題視されていた。
6人の偽医師のうち、3人は大学卒業者で、そのほかは中学卒業、高校卒業などで、誰も医師の資格を持っていなかった。警察は保健当局と協力して捜査を行い、偽医師6人を逮捕し、29種類の医薬品や医療機器を押収した。
タイでは昨年1月に無免許のベトナム人による美容医療が摘発され、さらに今年2月にも無免許で美容医療を提供していた施設が摘発された。美容院で違法な施術を行っており、医師を含む複数人が逮捕された。今回タイで逮捕された偽医師は堂々と広告を出して人を集めており、危険な無資格の美容医療を知らずに受けていた人もいた可能性がある。
タイ警察がフェイスブック上で情報を投稿しており、これに対する返信のコメントには「違法の施設かどうかどうやったら分かる?多くの場合、専門資格の証明書が掲げられている」と書かれている。偽医師も自分が無資格だと分からないようにしている可能性があり悪質だ。
偽医師や偽製剤は健康被害の恐れ
日本でもこの6月に千葉県市原市で無免許の中国籍の女がエステサロンで違法な美容施術を行ったことで摘発されたばかりだ。この人物は20代女性に大けがを負わせ、医師法違反の疑いで逮捕された。このほかにも国内では、中国籍のほか、ベトナム国籍、フィリピン国籍の外国人が無免許の美容施術を行っていたとして、相次いで逮捕されている。偽医師ばかりではなく、7月には偽のボツリヌス製剤が発見されたことも報告されている。
偽製剤の問題は米国でも問題になっている。米国では違法な施設で美容医療が行われ、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染も報告されている。また、英国でも不正な製剤が押収される事件が起きている。なお、英国では、規制が日本とは異なり、医師でなくても美容施術を行えるが、特別な資格を設ける制度が検討されている。
偽医師、偽製剤のいずれも健康被害につながる可能性がある。美容施術をどこで受けるかは慎重に検討することが欠かせない。