エラボトックスとは

エラボトックスは、ボツリヌストキシンという薬剤を咬筋(噛む時に使う筋肉)に注射して、筋肉の動きを一時的に弱める美容施術です。咬筋が発達してエラが張っている方や、歯ぎしり・食いしばりによる顎の疲れに悩む方に適した治療として人気を集めています。
施術のメカニズムとしては、ボツリヌストキシンが筋肉と神経の伝達を部分的にブロックすることで、咬筋の過度な収縮を抑制します。
これにより筋肉が徐々に縮小し、フェイスラインがスッキリとした印象に変化していくのです。効果は注射後2〜3週間程度で現れ始め、個人差はありますが約3〜6ヶ月持続します。
エラボトックスについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
エラボトックスの失敗例

エラボトックスで起こりうる失敗には、頬がこけて老けた印象になる、左右非対称になってしまう、噛みにくくなったり顎に違和感が生じるといった症状があります。
また、効果が全く出ない場合や効果の持続期間が短すぎるケース、さらには咬筋の萎縮により皮膚がたるんでしまい、ほうれい線やマリオネットラインが目立つようになることもあるのです。
それぞれの失敗例について詳しく説明していきます。
頬がこけてしまった・老けた印象に
頬がこけて老けた印象になるのは、エラボトックスの失敗例として多く報告される症状の一つです。この失敗は、主に注入量が多すぎることや、注入部位を誤ることで発生します。
咬筋の過度な萎縮が起こると、本来ふっくらとした頬の丸みが失われてしまいます。特にもともと咬筋の発達が軽度な方や、頬の脂肪が少ない方にエラボトックスを施術した場合、顔全体のボリュームバランスが崩れやすくなるのです。
また、咬筋だけでなく隣接する筋肉にまでボツリヌストキシンが広がってしまった場合、表情筋の動きも制限されることがあります。これにより顔の表情が硬くなり、自然な笑顔が作りにくくなってしまうケースも報告されています。
左右非対称になった
左右の顔のバランスが崩れてしまうのは、エラボトックスの失敗例として珍しくない症状です。この非対称は、左右の注入量に差があることや、注入位置のずれが主な原因となって発生します。
咬筋の発達具合は左右で微妙に異なることが多く、均等な注入量では適切な仕上がりにならない場合があるのです。例えば、右側の咬筋がより発達している方に対して左右同量を注入すると、左側だけが過度に萎縮してしまい、顔の輪郭に明らかな差が生じてしまいます。
また、注射針を刺す深さや角度が左右で異なると、薬剤の効き方にばらつきが出て、片側だけが強く効きすぎることも珍しくありません。
噛みにくくなった・顎に違和感がある
エラボトックスは、咬筋(こうきん)と呼ばれる噛むときに使う筋肉の動きをゆるめる治療です。
そのため、注射後しばらくは「ちょっと噛みにくい」「顎が疲れる感じがする」といった軽い違和感を感じることがあります。硬いお肉やガムが噛みにくくなることもありますが、これは多くの人に見られる一時的な反応で、「薬が効き始めたサイン」と考えてOKです。
ただし、ボトックスを入れすぎてしまうと咬筋の働きが必要以上に弱まり、柔らかいものまで噛みにくくなったり、顎に強い違和感が出てしまうことも。こうした状態は過剰に効きすぎたサイン=打ちすぎによる失敗といえるため、適切な量の見極めが大切です。
効果が出なかった or 戻るのが早すぎた
エラボトックスで効果が全く実感できない、または効果が1〜2ヶ月という短期間で戻ってしまうケースは、施術の失敗例として発生しています。この失敗は、適切な注入量や注入部位を見極められていないことが主な原因となります。
効果が出ない理由として多いのは、注入量が不足していることです。咬筋の発達具合は個人差が大きく、筋肉量に対して薬剤が少なすぎると、ボツリヌストキシンが十分に作用せず、期待していた小顔効果やフェイスラインの変化を感じられません。
また、注入部位がずれている場合も、咬筋の中心部分に薬剤が届かず、効果的な筋肉の萎縮が起こらないのです。
一方で、効果の持続期間が極端に短い場合は、ボツリヌストキシンに対する抗体ができている可能性があります。
通常3〜6ヶ月ほど持続するはずの効果が1〜2ヶ月で戻ってしまう場合、体内で「中和抗体(ちゅうわこうたい)」が形成され、薬剤に反応しにくくなっているケースが考えられます。
特に、短い間隔で繰り返し施術を受けたり、高頻度で同じ製剤を使い続けたりすると、抗体ができやすくなるといわれています。
一方で、中和抗体ができにくいよう精製されたタイプの製剤もあり、代表的なものに「コアトックス」や「ゼオミン」などがあります。これらはタンパク質の不純物を極力取り除くことで、抗体ができにくい設計になっているのが特徴です。
そのため、効果が短く感じる場合は、施術間隔や使用する製剤の種類を医師に相談して見直すのがおすすめです。
皮膚がたるんだ/ほうれい線やマリオネットラインが目立つようになった
エラボトックスの施術後に皮膚のたるみやほうれい線の悪化が生じる失敗例があります。この症状は、咬筋の急激な萎縮によって顔全体のバランスが変化することで引き起こされる現象です。
この失敗が起こる主な理由として、ボツリヌストキシンの過剰な注入が挙げられます。適量を超えた薬剤により咬筋が必要以上に縮小すると、これまで筋肉によって支えられていた皮膚や脂肪組織が重力に負けて下垂してしまうのです。特に40代以降の方や、もともと皮膚の弾力が低下している方では、このリスクが高まる傾向にあります。
エラボトックスで失敗した場合の対処法

エラボトックスの施術後に思うような結果が得られなかった場合でも、適切な対処により改善が期待できます。具体的な対処法について詳しく説明していきます。
まずは時間の経過を見る
エラボトックスの失敗症状に気づいても、まずは慌てずに時間の経過を待つことが最も重要です。
エラボトックスの効果は一時的なものであり、ボツリヌストキシンの作用は約3〜6ヶ月で自然に消失していきます。そのため、顔がこけてしまった・左右非対称になった・噛みにくいといった症状が現れても、時間とともに元の状態に戻っていくのです。
注射直後から2週間程度は薬剤が筋肉に浸透していく過程にあるため、一時的に違和感やバランスの悪さを感じることがあります。この時期に「失敗した」と判断するのは早計で、実際には正常な経過である可能性も高いでしょう。
ただし、6ヶ月経過しても症状に改善が見られない場合や、日常生活に支障をきたすほどの違和感が続く場合は、医師への相談を検討しましょう。
医師に相談する(施術したクリニック or セカンドオピニオン)
エラボトックスで失敗の症状が現れた場合、まずは医師への相談が重要です
相談先としては、施術を受けたクリニックへの連絡が第一選択となります。施術を行った医師は、使用した薬剤の種類や注入量、注入部位などの詳細な情報を把握しているため、最も的確な判断と対応が期待できます。
ただし、施術したクリニックの対応に不安を感じる場合や、より客観的な意見を求めたい場合には、セカンドオピニオンを取ることをおすすめします。美容皮膚科や形成外科の専門医に相談することで、現在の状況を冷静に評価してもらえるでしょう。
状況に応じて、再注入や他の施術でバランスを取ることも可能
エラボトックスの失敗に対しては、状況に応じて再注入や他の美容施術を組み合わせることで、バランスの改善が十分に可能です。医師の適切な判断により、失敗による見た目の問題を効果的に修正できるでしょう。
再調整が有効な理由として、ボツリヌストキシンの効果は可逆的であり、追加の施術によって微調整ができることが挙げられます。
例えば、左右非対称になってしまった場合は、効果の弱い側への追加注入により左右のバランスを整えることができます。また、効果が不十分だった部位に対しては、2〜4週間後に少量の追加注入を行うことで理想的な仕上がりに近づけられるのです。
さらに、エラのボリューム減少によってマリオネットラインやほうれい線が目立ってしまった場合は、ヒアルロン酸注入やハイフ、高周波などのたるみ改善施術を組み合わせることで全体のバランスを整えることもできます。こうした総合的なアプローチにより、自然で引き締まったフェイスラインを取り戻すことが可能です。
エラボトックスで失敗しないためのポイント

エラボトックスで失敗しないための具体的なポイントについて詳しく説明していきます。
咬筋の発達具合や骨格に合った量・回数を提案してくれる医師を選ぶ
エラボトックスで失敗を避けるためには、個人の咬筋の状態や顔の骨格を正確に評価し、それに基づいた適切な施術プランを提案してくれる医師を選ぶことが重要なポイントです。
なぜなら、咬筋の発達具合は人それぞれ大きく異なり、同じ量のボトックスを注入しても効果や仕上がりに大きな差が生まれるからです。
また、顔の骨格や筋肉のつき方によって、理想的な注入部位や深さも変わってくるため、経験と知識に基づいた個別対応が不可欠になります。
具体的には、咬筋が非常に発達している方には段階的に量を調整したり、骨格が華奢な方には少量から開始したりするなど、一人ひとりに最適化された施術計画を立ててくれる医師を選ぶべきでしょう。
「小顔になりたい」だけでなく、どんな顔立ちを目指すかを伝える
医師とのカウンセリングでは、単に「小顔になりたい」と伝えるだけでなく、具体的にどのような顔立ちを目指すかを詳しく説明することが失敗予防の重要なポイントです。
漠然とした希望だけでは、医師があなたの理想とする仕上がりを正確に把握できません。その結果、思い描いていたイメージとは異なる結果になってしまい、「失敗した」と感じるリスクが高くなってしまいます。
また、咬筋の発達具合や骨格の特徴によって、実現可能な変化の範囲も個人差があるため、現実的な目標設定を医師と共有することが大切です。
安さだけでクリニックを選ばない
エラボトックスの失敗を避けるためには、料金の安さだけでクリニックを選ぶのは危険です。価格重視でクリニックを決めてしまうと、技術力不足や経験不足の医師による施術により、顔のこけや左右非対称といった深刻な失敗につながる可能性が高くなります。
安価なクリニックで起こりやすい問題として、注入量の判断ミスや注入部位の間違いが挙げられます。エラボトックスは、患者さんの咬筋の発達具合や骨格に合わせた細かい調整が必要な施術です。
経験の浅い医師では、個人差を適切に見極められず、画一的な施術になってしまうケースが少なくありません。また、コストを抑えるためにカウンセリング時間を短縮していたり、アフターケア体制が不十分だったりする場合もあるのです。
また価格だけでなく、使用する製剤の質や診察時間の長さ、丁寧な対応がされているかどうかも事前にチェックしておくと安心です。
まとめ

エラボトックスは適切な施術を受ければ、小顔効果やフェイスラインの改善が期待できる治療法です。しかし、技術力不足や経験の浅い医師による施術では、顔のこけや左右非対称、咀嚼機能の低下といった深刻な失敗リスクが存在することも事実でしょう。
失敗を防ぐためには、咬筋の発達具合や骨格を正確に診断し、個人の状態に合わせた適切な注入量を提案してくれる医師選びが重要です。「安いから」「近いから」といった理由だけでクリニックを決めるのではなく、症例実績や口コミ評価を慎重に検討してください。
また、カウンセリングでは「小顔になりたい」という漠然とした希望ではなく、具体的にどのような顔立ちを目指すのかを明確に伝えることで、医師との認識のずれを防げます。







