なぜか春になると頭がかゆくなる…という方はいらっしゃいませんか?「なぜこの季節なの?」「どうしてかゆくなるの?」を探ってみました。
なぜ春に頭がかゆくなってしまうの?
環境の変化
春は新しい環境での生活が始まる季節です。知らず知らずのうちにストレスや疲労が溜まり、自律神経やホルモンバランスが乱れてしまうことも…。それがかゆみの原因のひとつ「ヒスタミン」の分泌を活性化させます。またイライラして無意識のうちに頭を掻きむしって傷ができてしまうのも、かゆみを悪化させる一因です。
ヘアケア製品によるかぶれ
春に心機一転!とヘアスタイルを変えてみたら、頭がかゆくなってしまった…この症状は「接触性皮膚炎」といい、ヘアカラーに含まれるアルカリ剤や酸化染毛剤が原因です。染めてから2日以上経って症状が出ることもあり、原因に気付かず重症化することもあるため注意しましょう。一度でも症状が出た人はパッチテストで反応をみる、酸化染毛剤が含まれていないヘアマ二キュアなどのカラーリング剤を使う、などの対策を。
シャンプーによるかゆみは洗い流しが不十分ということだけでなく、成分が原因のこともあります。多くの市販シャンプーに含まれている界面活性剤「ラウリル硫酸ナトリウム」「ラウレス硫酸ナトリウム」は泡立ちと洗浄力に優れていますが、タンパク質変容性という作用を持ち、皮膚の保湿成分を溶かしてしまう働きがあります。症状が出た方は肌に優しいアミノ酸系の製品に変えてみてはいかがでしょうか?
急激な気温の変化と紫外線
春は気温の割に湿度が低いため頭皮も乾燥しやすく、更に気温が上がると副交感神経が活性化して血流が良くなるため、かゆみを感じやすくなります。
また4月頃から急激に紫外線が強まるため、デリケートな頭皮は日焼けしやすくトラブルが起こりがち。炎症を起こして痒くなります。
花粉症
花粉が髪の毛から頭皮に付着してしまうと、花粉に対して身体が過剰に反応して肌荒れを引き起こす「花粉皮膚炎」が原因のことも。帰宅したら洋服だけでなく髪の毛の花粉も払うように心がけましょう。
トラブル回避のために対策を
紫外線や花粉症対策
外出時には紫外線や花粉から髪と頭皮を守るために、スプレータイプの日焼け止めや帽子を使いましょう。ただし帽子の中はどうしても高温多湿になりやすく、その状態が続くと雑菌が繁殖しやすい環境となって逆に「におい」や「かゆみ」の原因に。UVカット加工、花粉が付着しにくい素材のものや、麦わらやジュート、ラフィアなど天然素材で編み込まれた通気性の良い、少しゆったりしたサイズがおすすめです。すぐに日陰を作れる日傘も有効ですね。
シャンプー&ドライヤー
かゆいからといって洗い過ぎは禁物、1日1回を目安に。アレルギー源となる花粉などの汚れを落とし、肌再生のカギを握る「成長ホルモン」が分泌される睡眠中の頭皮環境を良くするためにも夜シャンプーをおすすめします。指の腹で毛穴の皮脂を押し出すイメージで下から上へ優しくモミモミ洗いしましょう。
頭皮の調子が悪い時には洗浄力が穏やかなアミノ酸系シャンプーを。低刺激で髪のたんぱく質を守りながら洗ってくれます。成分表示に「ココアンホプロピオン酸Na」「ココイルメチルアラニンNa」「ラウロイルグルタミン酸Na」と表記されています。保湿力を高めるには「アルギニン」「BG」「グリセリン」「グリシン」「コメヌカエキス」が含まれているものを。フケやかゆみには殺菌作用と抗酸化作用のある「ミコナゾール硝酸塩」「オクトピロックス」を配合した薬用シャンプーがおすすめです。
また自然乾燥はカビの一種である常在菌マラセチアが繁殖しやすくなるため、ドライヤーは必須。ただし熱風を頭皮に近づけすぎると髪を痛め頭皮も乾燥してしまうので、20cmほど離してドライヤーを小刻みに動かしながら、髪の根本はしっかり、毛先や中間は8割がた乾かすのがオーバードライを防ぐコツです。
頭皮のスキンケア
頭皮も顔と同じ皮膚!洗いっぱなしで保湿しないなんて乾燥が進むばかり…大事なのはシャンプーの後のスキンケアです。保湿成分「グリチルリチン酸」「セラミド」「ヒアルロン酸」などが含まれている頭皮用美容液がおすすめ。シャンプー後まだ湿り気のある髪に分け目を作りながら地肌に直接塗布し、浸透させるようゆっくり指の腹でマッサージを。固くなりがちな頭皮を揉みほぐすことで血行も良くなりきます。
規則正しい生活と食事
頭皮もお肌と同じく毎日の規則正しい生活や食事が大切。よい眠りは疲労を回復させてストレス耐性もつき、更に肌を再生させる成長ホルモンは睡眠中に分泌されるといわれているためとても重要です。
肌に必要な「たんぱく質」「ビタミンB」「必須アミノ酸」「鉄分」が多く含まれている食材は、鶏レバー、卵、野菜、牡蠣など。ただし単体で食べても意味がないので、バランスの良い献立を意識することが理想です。
酷い時には皮膚科に相談
セルフケアで症状が改善されない場合「たかがかゆみ」と放っておくと、思いもよらない原因が潜んでいることもあります。また慢性的な経過をたどると皮膚が元に戻りにくくなるので、早めに皮膚科を受診してください。
まとめ
春は頭がかゆくなる要素がこんなに沢山…この時期特有のトラブルを把握し早めに対策することで、気持ちの良い春を迎えましょう。
記事監修
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山下真理子先生
京都府立医科大学を卒業して、医師に。 大阪市内で美容医療に携わりながら、医療教育にも従事。 コラムの執筆やモデル業の傍ら、17公式ライバーとしてライブ配信も行っている。