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エラボトックスの「単位」とは?どんな意味?

エラボトックス治療における「単位」とは、ボツリヌストキシンの投与量を表す医学的な計量単位のことです。これは薬液の濃さや注射器の目盛りではなく、ボツリヌス菌毒素の生物学的活性を数値化したもので、簡単に言えば「どのくらいの効き目があるか」を示す指標になります。
この単位システムが重要な理由は、ボツリヌストキシンの効果が製剤によって大きく異なるためです。同じ1単位でも製剤によって筋肉への作用の強さが違うため、医師は使用する製剤に応じて適切な単位数を調整する必要があります。
一般的なエラボトックスの単位数の目安

エラボトックスの平均的な単位数は片側20〜30単位程度で、両側合わせると40〜60単位が一般的な目安となります。これらの詳細について具体的に説明していきます。
平均的な目安:片側20〜30単位(両側で40〜60単位)
エラボトックスの平均的な注入量は、片側あたり20〜30単位が基本の目安とされています。両側を治療する場合は、合計で40〜60単位前後が一般的な範囲です。
この設定は、日本人女性の咬筋(エラの筋肉)の平均的な厚みや発達具合を考慮して導き出された数値で、過不足なく自然な効果を得やすい量といわれています。
片側20単位未満では効果を実感しづらい場合がある一方、35単位を超えると笑顔のバランスや表情の動きに影響が出ることもあるため、医師の判断のもとで調整されるのが一般的です。
なお、初回やエラの張りが軽度の方は少なめ(20単位前後)、咬筋がしっかりしている方や男性は多め(30〜35単位程度)になるケースもあります。
「男性/筋肉が発達している人」は多めになる傾向
男性や筋肉が発達している方の場合、一般的な目安よりも多めの単位数が必要になる傾向があります。 具体的には、女性の平均的な片側20〜30単位に対して、男性では片側35〜40単位程度が推奨されることが多く、筋肉の発達が顕著な方では最大50単位近くまで必要になるケースもあるのです。
この違いが生じる理由は、男性ホルモンの影響により咬筋(エラの筋肉)が女性よりも太く発達していることが主な要因です。また、男性は食べ物を噛む力が強く、日常的に筋肉をより多く使用しているため、同じ効果を得るためにはより多くのボツリヌストキシンが必要になります。
歯ぎしりや食いしばりの癖がある方、格闘技やスポーツで顎まわりの筋肉を酷使している方も同様の傾向があります。
製剤の種類でも差が出る
エラボトックスで使用する単位数は、製剤の種類によって異なります。
たとえば、アラガン社製の「ボトックスビスタ」と、韓国製の「ボツラックス」などでは、同じ効果を得るために必要な単位数が異なります。
アラガン社製は効果の持続や安定性に優れている反面、単価が高めな傾向にあります。一方、ボツラックスはコストを抑えられますが、効果の発現や持続期間に差が出る場合もあります。
このように、製剤の違いを理解して適切な単位数で治療を受けることで、満足度の高いエラボトックス治療が実現できるでしょう。
顔タイプ別・エラボトックスのおすすめ単位数の目安

エラボトックスの適切な単位数は、個人のエラの張り具合や筋肉の発達状態によって大きく変わります。具体的な症例パターン別におすすめの単位数について詳しく説明していきます。
ケース①:やや張りが気になる(軽度)→ 片側20〜25単位
エラの張りが軽度で「少し気になる程度」の方には、片側20〜25単位が適切な量となります。このレベルは、鏡を見たときに「なんとなくエラが目立つかな」「もう少し小顔になれたら」という程度の悩みを持つ方に最適な単位数です。
軽度の場合に少なめの単位数が推奨される理由は、過度な筋肉の萎縮を避けて自然な仕上がりを実現するためです。エラの咬筋がそれほど発達していない状態で多すぎる単位数を使用すると、頬のこけやたるみが生じやすくなってしまいます。また、噛む力が必要以上に弱くなってしまい、日常生活に支障をきたす可能性もあるでしょう。
ケース②:筋肉がしっかり発達している(中〜重度)→ 片側30〜35単位
エラの筋肉がしっかりと発達している中〜重度のケースでは、片側30〜35単位程度のボトックス注入が効果的な治療量として推奨されています。これは標準的な25〜30単位よりもやや多めの単位数となりますが、発達した筋肉をしっかりと弛緩させるために必要な適切な投与量なのです。
このような単位数が必要になる理由は、筋肉の厚みと活動量が通常よりも大きいためです。エラの筋肉(咬筋)が発達している方は、日常的に筋肉をよく使っている状態であり、筋繊維も太くて密度が高くなっています。そのため、筋肉の動きを効果的に抑制するには、より多くのボツリヌストキシンが必要になるというわけです。
ケース③:男性・歯ぎしりが強い人 → 片側35〜40単位
男性や、歯ぎしり・食いしばりの癖が強い人は、片側35〜40単位ほど必要になることがあります。
女性に比べておよそ1.5倍ほど多い量ですが、これは咬筋がより発達しているためです。
男性ホルモンの影響で筋肉量が多く、さらに歯ぎしりの習慣があると、日常的に咬筋が強く使われます。
その結果、筋肉が厚く硬くなりやすく、十分な効果を出すにはやや多めの投与量が必要になるというわけです。
また、夜間の歯ぎしりでは、噛む力が体重の数倍にも達することがあり、これが長期間続くと咬筋が大きく肥大してしまう傾向があります。
エラボトックスの単位数が多すぎるとどうなる?リスクと注意点

エラボトックスは、適切な量で行えば安全にフェイスラインを整えられる施術です。
ただし、必要以上に多い量を一度に注入すると、想定していなかった見た目の変化が出ることがあります。
ここでは、筋肉の働きが弱まりすぎたときに起こりやすい現象を紹介します。
起こりやすい見た目や感覚の変化
・頬がこけて見える
咬筋の張りが急に弱まることで、皮下脂肪や皮膚の支えが減り、フェイスラインが内側に寄って見えることがあります。脂肪が減るわけではなく、支え方が変わることで生じる印象の変化です。
・フェイスラインのたるみ感
筋肉の収縮力が低下すると、下顔面の軟部組織がわずかに下方向へ移動し、もたつきが出やすくなります。これは筋肉の“支え”が減ることで起こる自然な見え方の変化です。
・表情の違和感
笑ったときや口を動かしたときに、下顔面の動きがいつもより鈍く感じられることがあります。特に口角付近や頬の動きに力が入りにくくなり、表情がぎこちなく見えるケースもあります。これは筋肉全体の働きが一時的に弱まるためで、時間の経過とともに改善していきます。
・噛みにくさ・咀嚼の疲れやすさ
咬筋が一時的に働きにくくなるため、硬いものを噛んだときに疲れやすくなることがあります。数週間から数か月で徐々に回復します。
知っておきたいポイント
・多すぎる量で起きるのは、筋肉の支えが急に減ることで起こる構造的な変化で、厳密には副作用というよりデザインや投与量の調整範囲に属する現象。
・一度出た見え方の変化は、ボツリヌストキシンの効果が薄れるにつれて(おおよそ3〜6か月)自然に落ち着いていきます。即時に元に戻す方法はないため、初回は控えめの量から始めるのが安心です。
対策のポイント
・初回は控えめに、再診で段階的に調整する(例:片側20〜25単位→必要に応じて追加)。
・外側の張りを完全に消さず、顔の支えを少し残す設計にする。
・施術後2〜4週間のフォローを行い、効き具合や表情の動きを確認して微調整する。
エラボトックスは、効かせすぎないことが自然な仕上がりの鍵です。
控えめに始めて経過を見ながら調整する方が、フェイスラインも表情もきれいに保てます。
カウンセリングで「エラボトックスが何単位必要か」判断されるポイント

カウンセリングでエラボトックスの適切な単位数を決める際は、筋肉の状態を詳しくチェックして判断します。
まず咬筋の発達具合が最も重要なポイントになります。奥歯を噛み締めてもらって実際に筋肉の厚みや硬さを触診し、エラの張り具合を確認していきます。筋肉が厚く発達している方ほど多くの単位数が必要になりますし、軽度の張りの場合は少ない単位数で十分な効果が期待できるでしょう。
次に骨格の特徴も大きく影響します。エラ部分の骨自体が張っている場合と筋肉による張りでは、ボトックスの効果の出方が異なります。骨自体が貼っている場合はボトックスでの適応外となるため、骨切り手術など別の治療の選択が必要となります。医師は触診や視診を通じて、骨格性の要因と筋肉性の要因の割合を見極めて最適な単位数を提案してくれるのです。
また歯ぎしりや食いしばりの習慣についても詳しく聞かれるでしょう。これらの習慣がある方は咬筋が常に鍛えられている状態のため、通常よりも多めの単位数が必要になることがあります。
エラボトックスと料金との関係

エラボトックスの料金を調べると、クリニックによって「両側◯円」「1回◯円」など、さまざまな表記方法があります。
中には「1単位あたり○円」と細かく表示しているところもありますが、実際には単位数ベースの表記を採用しているクリニックは多くありません。
注入量は筋肉の発達具合や顔の形によって変わるため、最初から「何単位打つ」と一律に決められるものではないからです。
そのため、医師が診察で単位数を見極めたうえで、総額として提示する料金体系が一般的です。
料金を比較するときに大切なのは、使う製剤・施術範囲・そしてその料金に何が含まれているかを確認することです。
例えば、アラガン社のボトックスビスタは薬剤コストが高く、効果も安定していますが、韓国製のボツラックスやナボタは比較的安価で持続期間が短めです。
単価の安さだけで判断すると、結果的に効果が長持ちせず、再施術までの間隔が短くなることもあります。
また、クリニックによっては製剤費とは別に「医師の技術料」を設定している場合もあります。
咬筋の形や顔全体のバランスを見ながらデザイン注入を行う場合や、経験豊富な医師が担当するケースでは、この技術料が加算されることがあります。
こうした料金は一見高く感じても、仕上がりの自然さや安全性を重視する人にとっては妥当な費用といえるでしょう。
さらに、相場から大きく外れた低価格設定には注意が必要です。
薬剤の品質や保管状態、注入技術に差があることもあるため、安さだけで選ぶのはおすすめできません。
価格よりも、「どの製剤をどのくらい使って、どんな目的で注入するのか」をきちんと説明してくれるクリニックを選ぶことが、満足度の高い仕上がりにつながります。
まとめ|エラボトックスの単位数は個人差が大きい。自己判断せずプロに相談を

エラボトックスに必要な単位数は、一人ひとりの筋肉の発達具合や骨格、治療の目標によって大きく異なります。同じようなエラの張りに見えても、実際には筋肉の厚みや強さが違うため、適切な単位数も個別に判断する必要があるのです。
この記事でお伝えした単位数の目安は、あくまで参考程度に留めておいてください。
特に注意したいのは、単位数が多すぎる場合のリスクです。頬のこけやたるみ、噛みにくさといった副作用は、一度起こってしまうと回復まで数ヶ月かかることもあります。また、単位数が少なすぎても治療費が無駄になってしまうため、適切なバランスを見極めることが重要です。







