シミに効くって本当?トラネキサム酸とは
トラネキサム酸は人工的に合成されたアミノ酸の一種で、風邪薬や化粧品、歯磨き粉にも含まれており、主に3つの作用があります。
①抗炎症作用…炎症を抑える(のどの炎症、口内炎、ニキビ跡の炎症、湿疹など)
②止血作用…出血を止める(歯槽膿漏など)
③美白作用…メラニン生成を抑制する(肝斑、シミ)
元々は風邪薬としてのどの痛みや腫れなどに処方されてきましたが、新たに美容目的でも用いられるようになり、2002年には厚生労働省から美白有効成分としての承認を取得。
シミやそばかす、色素沈着などの肌の色ムラに効果的で、なかでも特に肝斑の改善が期待できる成分です。
また、トラネキサム酸配合の美白化粧品は炎症を抑える作用に優れているため、肌荒れや敏感肌の方にもおすすめできます。
トラネキサム酸がシミや肝斑、肌荒れに効くメカニズム
シミとは、肌にメラニンが過剰に蓄積されて地肌よりも濃く見える部位のこと。
通常は肌のターンオーバーによってメラニンは垢と共に体外へ排出されますが、メラニンの生成と排出のバランスが乱れると、徐々に肌内部に蓄積して色素沈着しシミになります。
シミをブロック
肌が紫外線などの外部からの刺激によってダメージを受けると「プロスタグランジン」が分泌されます。
この伝達物質がメラニンを作るメラノサイトへ働きかけて、メラニンが増生されるのです。
トラネキサム酸はこの「プロスタグランジン」をブロック。
指令がメラノサイトへ届かなくなるため、メラニンが作られなくなることで、シミやそばかすを未然に防ぐ作用があります。
肝斑をブロック
肝斑もシミの一種で、30代以降の女性に多くみられます。
シミは外側からの紫外線が原因ですが、肝斑の場合は、ストレスやホルモンバランスの乱れなどによって「プラスミン」が活性化することが原因とされているのです。
このプラスミンは炎症や肌荒れを引き起こし、更にメラノサイトを活性化させメラニン生成を促進します。
トラネキサム酸がもつ「抗プラスミン作用」がプラスミンの活性化をブロックすることで肌荒れを防ぎ、メラニンも生成されにくくなるため、肝斑やシミができるのを防ぐと考えられているのです。
(引用元:https://www.tunemakers.net/cp/1415/)
これまで肝斑は治療が難しく、レーザー治療も避けた方が良いといわれてきました
しかし、肝斑に効果的なレーザーが開発され、トラネキサム酸の内服と併用しながら効率的に治療を行うことも増えてきたようです。
トラネキサム酸の副作用やデメリットはあるの?
トラネキサム酸は「止血剤」としても使用されているため、使用する際にはいくつか注意が必要です。
- ごく稀に食欲不振、吐き気、下痢、かゆみ、発疹など
- 脳梗塞などの血栓症の恐れがある人は、血液が固まりやすくなるため内服不可
- すでにトラネキサム酸が含まれている他の薬(風邪薬、止血剤)を飲んでいる方は、医師に相談すること
- ピルは血栓症のリスクを増加させるため、併用しないこと
- 即効性は期待できないため、効果を得られるまで継続的な治療が必要
- 病院によっては2~3か月服用後、1か月休薬をすすめられるところもある
トラネキサム酸の効果的な摂取方法とは?
トラネキサム酸が配合されているものは、ドラッグストアで購入できるプチプラアイテムから、病院で処方される薬まで多種多様にあります。
無理なく続けられる、自分に合った取り入れ方を探してみましょう。
美白化粧品
有効成分をチェック
まずは化粧品の成分表をチェック。
「トラネキサム酸」「m-トラネキサム酸(資生堂)」「ホワイトトラネキサム酸(ロート)」「t-AMCHA(資生堂)」などと表示されていますが、どれも同じトラネキサム酸です。
さらにパッケージに「医薬部外品」「薬用」と記載されているかもポイント。
一般的なスキンケア製品は厚労省により「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」の3つに分類され、肌への効果は高い順に、医薬品>医薬部外品(薬用)>化粧品とされています。
「医薬部外品」は厚労省が許可した有効成分の配合率や効果だけでなく、安全性もクリアしているため、選ぶときのひとつの目安になりますね。
継続して使えるものを
美白化粧品は、効果が出るまでかなり時間がかかります。
肌の細胞が生まれて垢となって剥がれ落ちるまでが約6週間…。
短期間で中止せずに、まずは使い続けることで美白成分の力を実感することができます。
そのため「使い続けやすい価格帯か?」「香りや質感が好みのテクスチャーか?」がとても大切。
テスターなどで、毎日使うのが楽しくなるような、自分好みのものを探してみましょう。
そしてまずは1本、使い切るまでチャレンジです!
どのアイテムを選ぶ?
美白化粧品といえば、まずは有効成分が高濃度に配合されている物が多い「美容液」。
美容液はみずみずしいタイプからしっとりコクのあるクリームタイプまであるので、自分好みの使用感を探してみましょう。
忙しくてスキンケアにかける時間が無い方には、化粧水、美容液、クリームのスキンケアアイテムがひとつになったオールインワン化粧品もおすすめです。
短時間で複数のケアが同時にでき、アイテム数も少なくなるためコスパが良いところが好評です。
病院で購入できる医療機関専売スキンケアとは?
市販品に加えてもうひとつ、基本的に皮膚科や美容皮膚科などの医療機関のみで販売されている「医療機関専売品」の化粧品にもトラネキサム酸配合のものがあります。
市販品に比べて有効成分の種類や配合量が多いといわれ、信頼性や安全性も高いようです。
また購入する際には、医師の診療やカウンセリングを受ける必要があることが多いため、自分の肌や症状にあったものを相談しながら購入できることもメリットですね。
内服薬
化粧品と併用して、内服薬で体の内部からもトラネキサム酸を取り入れるとより効果的。
有効成分が血液によって運ばれ、表皮の深層にあるメラノサイトまで届けてくれます。
特に肝斑の改善には内服薬が有効だといわれていますが、3か月程度服用し続ける必要があります。
市販薬では「トランシーノⅡ」が有名です。
市販薬と処方薬の違い
市販薬の場合、トラネキサム酸の1日の最大摂取量が750㎎と決められているため、他の有効成分であるL-システイン、ビタミンCなどを一緒に含むことで、シミに対しての効果を謳っています。
1日2回の服用で、8週間が効果の目安。1か月分(120錠)で3,740円。
一方、医薬品では「トランサミン」という医薬品名で使われることが多く、処方箋が必要ですが、1日の最大摂取量が2000㎎と市販品よりも2倍以上多く、より高い効果が期待できます。
医師による診察を受ける際に、肝斑の症状や肌質に合わせて他の薬や治療方法を追加することができるため、最適な治療を受けることができるといったメリットも。
1日2~3回に分けて服用し、2~8週間が効果の目安。
1か月分で2,400~3,000円前後のようです。
イオン導入や点滴で直接アプローチ
イオン導入
化粧品はごく上層の角質層までしか浸透しませんが、イオン導入は微弱な電流を皮膚に流し、電子の反発する力を利用してイオン化したトラネキサム酸を肌の深部までしっかり浸透させることができます。
イオン導入の施術時間は15~30分、費用は4,000~10,000円が相場だと言われています。
美容点滴・注射
点滴や注射の場合は、高濃度の成分を直接血液に投与するため体内への吸収がされやすく、口から飲むよりも効率的に栄養素を補給することができます。
即効性に優れているといわれ、高い効果を求める方に向いているといえるでしょう。
注射・点滴をする場合、施術時間は10~30分程度で、費用は約1,600~3,500円が相場ですが、点滴の場合は一緒に入れる成分によっても価格が変わるので注意が必要です。
このイオン導入や点滴では、トラネキサム酸だけでなく、ビタミンCやグルタチオンなど他の美容成分も一緒に取り入れることができるのも嬉しいメリット。
ただしどちらも1回だけでは十分な効果を得られないため、継続した治療が必要となります。
もっと早く効果が欲しい方は?
これまでレーザー治療は向かないとされていた、肝斑を含むシミの治療が可能になった新しい方法が「レーザートーニング」です。
レーザートーニングでは、非常に弱いパワーで均一にレーザーを照射することで、肌への刺激を抑えながらメラニンを徐々に破壊していきます。
刺激が大敵といわれている肝斑にも効果のある唯一のレーザー治療法として高い人気があるのです。
レーザートーニングに使われるレーザー機器には、次のようなものがあります。
レーザーが低出力のため、照射回数が1~4週間おきに5~10回程度と多く必要になりますが、少しずつ症状が改善されていきます。
シミや肝斑の他にも、そばかすやくすみの改善、開いた毛穴が目立たなくなり肌のキメが整う、産毛が減るなどの嬉しい効果も。
このレーザートーニングの治療期間中も肝斑の悪化を抑えるために、トラネキサム酸の服用が推奨されています。
レーザートーニングの治療が受けられる東京都内の美容クリニック一覧
まとめ
今話題の美白有効成分であるトラネキサム酸。
様々な商品に含まれているので、化粧品の成分表にもちょっとご注目を。
「美白は1日にしてならず」。
継続こそが美肌のカギとなるので、からだの内側と外側から、少しずつ取り入れてみてはいかがでしょうか。