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顔と身体の部位ごとに違う皮膚の弾力の差の背景に遺伝子レベルの違い、コラーゲンやエラスチン産生のカギ、藤田医科大学とメナード化粧品が連携、医療と化粧品の分野から研究成果

カレンダー2025.6.21 フォルダー最新研究
顔の弾力を保つには?画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

顔の弾力を保つには?画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 顔と身体の各部位ごとに肌の弾力には差がある。その背景には遺伝子の違いがあることが、研究によって明らかになった。

 藤田医科大学とメナード化粧品の研究グループが2025年4月に論文報告した。

身体の弾力が保たれている理由

HOXA9の働きが腹部、臀部、大腿部で見られるが、顔ではほとんど見られない。(出典/藤田医科大学)

HOXA9の働きが腹部、臀部、大腿部で見られるが、顔ではほとんど見られない。(出典/藤田医科大学)

  • 身体部位による弾力差に着目→
    研究グループは、顔と腹部・臀部・大腿部などで皮膚の弾力に違いがある点に注目した。
  • 遺伝子解析の実施→
    20〜60代の男女から顔と身体各部の皮膚細胞を採取し、部位ごとの遺伝子の働きを解析した。
  • HOXA9遺伝子の発見→
    身体の構造を決定する「HOXA9」という遺伝子が、腹部・臀部・大腿部で活発に働いており、弾力の高さと関係していることが分かった。

 研究グループは、身体の部位による弾力の違いが存在することに注目した。顔の美容においては、コラーゲンやエラスチンの産生を促す施術が行われているが、そもそも腹部、臀部、大腿部などの身体部位では、もともと弾力が保たれている。こうした違いの理由を応用できれば、顔の美容にも活かせる可能性がある。

 こうした違いの背景については、いまだによく分かっていない。これが分かれば今後の美容施術に活かせる可能性が考えられる。

 今回の研究では、20〜60代の男女の顔および身体各部から皮膚細胞を採り、部位ごとの遺伝子の働き(発現)について解析した。

 同研究グループは、身体の構造を決める働きを持つ遺伝子である「HOXA9」という遺伝子の差があると分かった。腹部、臀部、大腿部で、この遺伝子が活発に働くことで、弾力が高まると分かった。顔にはほとんどこの遺伝子の働きが見られなかった。

 研究グループはHOXA9の働きにより細胞の増殖に差が出ることも確認し、弾力との関連を推定している。

医科大学と化粧品企業の連携が成果

  • HOXA9の応用可能性→
    HOXA9遺伝子の働きをすぐに化粧品に応用するのは難しいが、将来的にコラーゲンやエラスチンの産生促進に役立つ可能性がある。
  • 美容製剤の現状と課題→
    現在の美容医療では、安全性や有効性が十分に検証されていない製剤も存在するが、科学的研究の進展によって信頼性の高い製品が普及することが期待される。
  • 今後の展望→
    化粧品や医療機器が科学的根拠に基づいて開発され、市場に出る製品が今後さらに増えていくと見られる。
胎児期に身体の部位ごとにHOXAを含むHOX遺伝子の働きに差がある。(出典/藤田医科大学)

胎児期に身体の部位ごとにHOXAを含むHOX遺伝子の働きに差がある。(出典/藤田医科大学)

 HOXA9という遺伝子に差があると分かっても、すぐに化粧品へ応用できるとは限らないが、今後、この遺伝子の働きをコントロールすることができれば、コラーゲンやエラスチンの充実に役立てられる可能性もある。

 今回のように、日本の医科大学と化粧品企業が連携し、基礎的な成果を上げているのは、美容医療のこれからを考える上でも、参考になる。日本の美容医療で使用されている製剤の中には、安全性や有効性の検証が十分でないものもあるが、このような研究が進化すれば、確かな効果のあるものを利用できるようになる。

 化粧品や美容医療で使われる製剤、医療機器が、科学的に効果が実証された上で市場に出る製品が増えていくだろう。

参考文献

Okuno R, Hasegawa S, Hasebe Y, Kawagishi-Hotta M, Yamada T, Ishii Y, Arima M, Iwata Y, Sugiura K, Akamatsu H. Site-Specific Expression of HOXA Genes in Skin and its Effect on Skin Elasticity. J Invest Dermatol. 2025 Apr 21:S0022-202X(25)00417-8. doi: 10.1016/j.jid.2025.04.005. Epub ahead of print. PMID: 40268230.
https://doi.org/10.1016/j.jid.2025.04.005

顔と身体では皮膚の弾力が異なる理由を解明 ~皮膚弾力の部位差を生み出す遺伝子を発見~(日本メナード化粧品、藤田医科大学)
https://www.fujita-hu.ac.jp/news/vsfo8q00000034jv-att/vsfo8q00000034m0.pdf

シミやシワのできやすさに個人差があるのはなぜ?背景に遺伝子の違い、日本メナード化粧品が発表
https://biyouhifuko.com/news/research/3087/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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