
顔にみられる白斑の状態を確認する女性。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
白斑では、色を作る細胞であるメラノサイトが失われると考えられてきた。だが実際には、完全に消えたのではなく、働きを失ったような状態で残っている可能性がある。
大阪公立大学の研究グループは、2026年4月、こうした新しい見方につながる研究成果を発表した。
白斑では、色素細胞が「消えた」のではない可能性

背中や腕にみられる皮膚の色素変化。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- 白斑の新たな見方→ メラノサイトは完全に消失したのではなく、働きが弱まった状態で残っている可能性が示された。
- 細胞環境が変化→ 白斑周辺ではラミニン332が増え、メラノサイトを支える環境や細胞のつながり方が変わっていた。
- 未熟な状態へ変化→ メラノサイトは本来の形や色素を作る能力を失い、未熟な状態に戻ったような特徴を示した。
白斑は、皮膚の一部の色が抜けて白く見える病気だ。
これまでは、主に自己免疫などによってメラノサイトが壊されることが原因と考えられてきた。今回の研究が注目したのは、その細胞が本当に完全にいなくなっているのか、という点だ。
研究では、健康な皮膚ではメラノサイトが「ラミニン211」という足場に支えられているのに対し、白斑の周辺では「ラミニン332」が増え、細胞のつながり方が変わっていることが示された。
実験では、メラノサイトが枝を伴う通常の形を失い、色を作る力が弱まり、未熟な状態に戻ったような変化を示していた。
白斑では、メラノサイトが単純に消えるだけでなく、色を作れない、眠ったような状態に移っている可能性がある。
さらに、患者の皮膚でも、色を作る力が弱く、通常の目印では見つけにくいメラノサイトの存在を示す結果が得られた。
機能を戻す治療につながる可能性も

白斑のある手と別の人の手を合わせる場面。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- 色素機能の回復可能性→ 細胞変化に関わる経路を調整すると、メラノサイトの性質や色素産生機能が戻る可能性が示された。
- 複数モデルで確認→ 3次元皮膚モデル、マウス、患者由来皮膚でも色素機能の改善が確認された。
- JAK阻害薬の新たな役割→ 炎症を抑えるだけでなく、メラノサイトを成熟した状態へ戻す方向にも働く可能性が示された。
今回の研究で重要なのは、この変化が完全に固定されたものではないかもしれない点だ。
研究グループは、細胞の変化に関わる経路を薬で調整すると、色を作る細胞としての性質が戻り、色素の回復も見られることを示した。
3次元で再現した皮膚モデル、マウス、患者由来の皮膚でも、色素を作る働きの回復が確認された。
特に注目されるのが、JAK阻害薬による作用だ。JAK阻害薬は既に白斑治療でも知られているが、今回の研究では、炎症を抑えるだけでなく、メラノサイトを再び成熟した状態へ戻す方向にも働く可能性が示された。
現時点で「白斑が治る」と言い切る段階ではないものの、今回示されたのは、白斑の新しい仕組みと機能回復の可能性。失われたと思われていた色素機能が、実は戻せる余地を持っているかもしれないという点は大きい。白斑治療の考え方を広げる可能性がある。
参考文献
Yang F, Yang L, Lai S, Yokota M, Kuroda Y, Yuki T, Takahashi Y, Sayo T, Namiki T, Goto H, Hiroyasu S, Sano S, Inoue S, Mizukami Y, Tsuruta D, Katayama I. Aberrant laminin signaling drives melanocyte dedifferentiation and unveils a tractable therapeutic target in vitiligo. Nat Commun. 2026 Apr 17;17(1):5331. doi: 10.1038/s41467-026-72064-w. PMID: 41997929.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41997929/
白斑で失われるメラノサイト機能は回復可能~基底膜接着異常と可逆的脱分化機構を新たに発見~
https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-23953.html
