ヒフコNEWS 美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイト

ポリヌクレオチド注射後、左右の頬に細菌性膿瘍、施術後の腫れに見えても重い感染症の可能性 英国の医師らが報告

カレンダー2026.7.31 フォルダー最新研究

 美容医療で使われる「スキンブースター」や「バイオスティミュレーター」の一つとして、ポリヌクレオチド(PN)注射が人気を集めている。今回、その施術後に左右の頬に重い細菌感染症を起こした症例が報告された。

 英国の医師らが2026年7月に発表した。

施術後の一般的な腫れと見分けにくい可能性

  • 初期症状→施術から24時間以内に両頬の赤みとむくみが現れ、当初は一般的な皮膚感染が疑われた。
  • 症状の悪化→抗菌薬を使っても痛みと腫れが悪化し、施術6日後の超音波検査で両頬に液体のたまりが確認された。
  • 治療内容→膿からグラム陰性桿菌が見つかり、抗菌薬の点滴と切開による排膿が行われた。

 報告した医師らによると、ポリヌクレオチド注射は、「スキンブースター」「バイオスティミュレーター」などと呼ばれ、顔の若返りを目的に使われている。組織を刺激し、コラーゲンの生成を促す効果が期待されている。

 一方で、医師らは、安全性を検討した質の高い研究はまだ少ないと指摘する。これまでに報告された副作用の多くは、一時的な赤みや腫れなどの軽い症状であった。

 今回報告された女性は、2025年12月にポリヌクレオチド注射を受けた。施術を受けた場所や施設については、論文で明らかにされていない。24時間以内に左右の頬に、赤みとむくみを生じた。

 医師らによると、当初は、皮膚感染症で一般的にみられる「グラム陽性菌」による感染が疑われ、抗菌薬が処方された。

 しかし、その後5日間で痛みと腫れが悪化し、血液検査でも炎症反応が上昇した。左右の頬には、内部に液体がたまっていることを示すやわらかく波打つような腫れも生じていたという。

 施術から6日目に超音波検査を行ったところ、左頬に2.8×1.2cm、右頬に2.3×1.5cmの液体のたまりが確認された。

 医師らが注射器で内部の液体を採取し、顕微鏡で調べると、多数の白血球とグラム陰性桿菌が認められた。このため女性は入院し、抗菌薬の点滴に加えて、頬を切開して膿を排出する手術を受けた。

治療後も頬にへこみと萎縮性の傷痕

  • 原因菌→皮膚感染では一般的ではないエンテロバクター・クロアカエ複合体とクレブシエラ・バリイコラが検出された。
  • 治療後の状態→感染は改善したが、6カ月後も両頬に萎縮性の傷痕が残り、右頬には明らかなへこみが確認された。
  • 早期対応→注射後の痛みや腫れが悪化する場合は、早期の超音波検査と細菌培養を行い、グラム陰性菌も考慮する必要がある。

 報告した医師らによると、手術で採取した検体から、通常は皮膚感染の原因となることが少ないグラム陰性菌が検出された。その細菌は、エンテロバクター・クロアカエ複合体とクレブシエラ・バリイコラであった。

 女性は、切開して膿を排出する処置と、検出された細菌に合わせた抗菌薬治療によって回復した。ただし、6カ月後も左右の頬に萎縮性の傷痕が残り、特に右頬では皮下組織の減少と傷痕の引きつれによる明らかなへこみが確認された。

 医師らは、今回の1症例だけでは感染の原因や汚染経路を特定できないと説明している。製品、取り扱い、注射時の操作、施術環境などを通じて細菌が入り込んだ可能性があるが、汚染経路に関する詳しい調査は行われていない。

 その上で、注射後の赤みや腫れ、痛みが悪化する場合や、内部に液体がたまったような腫れがみられる場合には、早期に超音波検査と細菌培養を行う必要があると指摘する。一般的な抗菌薬で改善しない場合には、グラム陰性菌による感染も考慮すべきとしている。

 今回の症例は、ポリヌクレオチド注射後に、傷痕や顔の輪郭の変化を残す重い感染症が起こる可能性を示したもの。国内でも一般的に行われている施術だが、注入を受ける場所の衛生環境などには注意が必要である可能性がある。

参考文献

M. Shanshal, R. Bali, E. Moon, R. Fox, and S. Khan, “ Bilateral Gram-Negative Facial Abscesses After Polynucleotide Injections,” Journal of Cosmetic Dermatology 25, no. 7 (2026): e71060,
https://doi.org/10.1111/jocd.71060

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

お問い合わせ

下記よりお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。