
肌のバリア機能やコンディションへの関心を表す美容イメージ。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
運動や食事は、体重や健康だけでなく、肌にも影響する可能性がある。
今回、脂肪を燃やす「ベージュ脂肪細胞」が、肌を守るバリア機能を高める可能性が示された。
コーセーは、フランスのDIVA Expertise社との共同研究について発表した。成果の一部は、2026年6月の第26回日本抗加齢医学会総会で報告された。
肌の深部にある脂肪細胞に着目

肌の状態を確認する女性。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- 研究対象→肌の奥にある皮下組織の「白色脂肪細胞」と「ベージュ脂肪細胞」に着目した。
- 生活習慣との関係→運動や食習慣によって、脂肪細胞は白色とベージュの状態に変化する可能性がある。
- 検証方法→ヒトの皮膚組織と脂肪細胞を一緒に培養し、表皮や遺伝子への影響を比較した。
肌は、外側から表皮、真皮、皮下組織という層で構成されている。今回の研究では、奥にある皮下組織の脂肪細胞に着目した。
脂肪細胞には、余ったエネルギーを蓄える「白色脂肪細胞」と、エネルギーを燃焼させる「ベージュ脂肪細胞」がある。同社によると、適度な運動や健康的な食事によって白色脂肪細胞のベージュ化が進む一方、運動不足や過剰なカロリー摂取によって、ベージュ脂肪細胞が白色脂肪細胞へ戻るという。
このように脂肪細胞は生活習慣によって変化するが、それぞれが肌にどのような影響を与えるのかは、十分に分かっていなかった。
そこで研究グループは、ヒトの皮膚組織と白色脂肪細胞、またはベージュ脂肪細胞を一緒に培養し、表皮への影響を比較した。さらに、それぞれの脂肪細胞から放出される成分を表皮細胞に加え、肌のバリア機能や細胞内のストレスに関わる遺伝子の変化を調べた。
コーセーの研究所リヨン分室とDIVA Expertise社は、それぞれの培養・評価技術を組み合わせ、肌の深部にある脂肪細胞が表皮の働きに与える影響を検証した。
肌を守る「フィラグリン」が増加

鏡を見ながら肌の状態を確認する女性。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)
- バリア機能→ベージュ脂肪細胞と一緒に培養した皮膚では、肌を守る「フィラグリン」が増加した。
- 細胞への負担→ベージュ脂肪細胞は、細胞に負担がかかる「小胞体ストレス」を軽減する可能性が示された。
- 研究上の注意→培養した組織や細胞による結果であり、運動や食事による人の肌への効果を直接確認したものではない。
では、ベージュ脂肪細胞は、肌にどのような変化をもたらしたのか。
コーセーによると、ヒトの皮膚組織とベージュ脂肪細胞を一緒に培養したところ、白色脂肪細胞の場合と比べて、「フィラグリン」が増加した。
フィラグリンは、肌の水分を保ち、外からの刺激を防ぐために重要なタンパク質。いわば、肌のバリア機能を支える重要な要素。今回の結果から、ベージュ脂肪細胞が、この働きを助ける可能性が示された。
さらに、細胞に負担がかかった状態を示す「小胞体ストレス」が軽減される可能性が示された。小胞体ストレスとは、細胞の中でタンパク質をうまく処理できず、細胞に負担がかかっている状態を指す。
遺伝子を調べた実験でも、細胞のストレスに関わる遺伝子の働きが弱まり、肌のバリア機能に関わる遺伝子の働きが強まった。ベージュ脂肪細胞は、肌を守る働きを高めるとともに、細胞への負担を減らす可能性がある。
これらの結果から、脂肪細胞がベージュ化すると、表皮の状態が整い、肌のバリア機能が保たれやすくなると考えられる。
ただし、今回は培養した皮膚組織や細胞を使った研究だ。運動や食事によって、実際の人の肌がどの程度変化するかを直接確かめたものではない。
今後、脂肪細胞と肌の関係がさらに明らかになれば、スキンケアだけでなく、運動や食生活を組み合わせた美容への応用も期待される。
参考文献
エネルギーを燃やす「ベージュ脂肪細胞」が 肌のバリア機能を高めることを発見
https://koseholdings.co.jp/ja/media/2026/07/20260702.pdf
