「脳ドック」進化版、AIがあなたの本当の脳年齢を発見
ポイント
- AI(人工知能)技術を使って脳の「萎縮(いしゅく)」の状態を調べる検査が提供開始
- 米国ジョンズホプキンス大学のAI技術と約3万人のデータを使ってシステムが開発された
- 脳の異常な「萎縮(いしゅく)」を測定することで早い対策を可能にする
脳の健康状態を示す“脳年齢”をAIで検査する時代に入ってくるかもしれない。
2023年6月10日、第23回日本抗加齢医学会総会で、医療分野で世界的に著名な米国ジョンズホプキンス大学医学部放射線科教授である森進氏が、従来とは発想とは全く異なる脳の新しい検査について解説した。
年齢の割には脳が縮んでいる人がいる
森氏は2021年にエムという会社を創業し、「脳の萎縮(いしゅく)」をAIを使って調べる脳の健康状態を評価するシステムの開発に成功した。この画期的な技術は22年に第4回ヘルスケアベンチャー大賞(日本抗加齢協会主催)を受賞している。
※脳が縮むことを萎縮(いしゅく)と呼ぶ。認知症の特徴の一つとして脳の萎縮がある。
脳の検査である「脳ドック」は、一般的には血管やがんの有無に注目するが、森氏の開発した検査はそうではない。森氏は、脳の「萎縮」と「白質病変」という2つのポイントに着目した。これらの指標は、病気とは直接関係ないものの、脳の健康状態や機能に関する貴重な情報を与えてくれるのである。
※脳は表面に近い部分を灰白質と言い、より内部は白質と言う。灰白質には神経細胞が集まっており、神経細胞から伸びる線維が白質を通っている。白質病変は、検査したときに白質に見える色の異なる部分のことで、小さな血管の詰まり(脳梗塞)や炎症(免疫反応)によると考えられている。
森氏は、「通常、年齢に従って、脳の萎縮度が進むが、若い人でも萎縮が進んでいる人がいたり、逆に年を取っても脳が若々しい人もいたりする。AI解析によって脳の健康状態を数値化することで、脳の異常な萎縮を早い段階で検出して、タイムリーに対策を打つことを可能にする」と説明する。
脳の健康は健康寿命と密接に関係する
森氏は、「平均寿命が延びる中で、寿命と健康寿命の差はここ数十年で変わっておらず、健康寿命を奪う要因の中でも、認知症と脳卒中という脳の病気が全体の4割を占めている。脳の健康は健康寿命と言える。脳の健康はますます存在感を増している」と述べる。
エムでは2022年7月、脳の健康測定プログラム「MVision brain」として検査を提供開始している。今後、脳の萎縮を調べる検査が広がることで、AIによる計算からはじき出された、いわば “脳年齢”が注目されるかもしれない。
参考文献
第4回 ヘルスケアベンチャー大賞結果のご報告
http://www.ko-karei.com/healthcare-v/hcv04.html#link99
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