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男性専門医療脱毛ウルフクリニック閉鎖で、救済の動きが広がる

カレンダー2023.5.10 フォルダー 国内

ポイント

  • 男性専門医療脱毛クリニックが突然閉鎖され多くの男性客に迷惑をかけた
  • 医療脱毛クリニックを中心に被害を受けた利用者に安価に施術を提供する動きが増えた
  • クリニックの突然の閉鎖は医療脱毛も課題を抱える現状を浮き彫りにしている
安堵の男性。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

安堵の男性。写真はイメージ。(写真/Adobe Stock)

 ヒフコNEWSでも伝えたが、男性専門の医療脱毛クリニックであるウルフクリニックが突然閉鎖して、路頭に迷う男性が多く発生している。そうした中で、被害を受けた人を救済する動きが医療脱毛クリニックなどの間に広がっている。

救済の申出がTwitterなどで増える

安すぎて怪しい?と不安に応えようとしていたが閉院の事態に陥った。出典/ウルフクリニックホームページ

安すぎて怪しい?と不安に応えようとしていたが閉院の事態に陥った。出典/ウルフクリニックホームページ

 ウルフクリニックは、全国に5院を展開する男性専門の医療脱毛クリニックだった。同クリニックでは、割安のコースを用意することで、男性の利用者を増やしていたが、4月25日のテレビ朝日で報道された通り、それが突然閉院になった。SNSでは同クリニックの利用者と見られる人のツイートが目立ち、「やられた」などの嘆きの声が漏れていた。

 ヒフコNEWSでも同医院のホームページの営業時間内に電話をかけてみたが、電話が通じず、異変が起きていることがうかがわれた。実際に何が起きたかははっきりとしないが、弁護士事務所が緊急の相談窓口を開設する事態になっていた。

 冒頭で紹介したように、ウルフクリニック閉鎖の影響を受けて、支払った分の脱毛施術を完了できず、しかも返金も受けられなくなった人を救済する動きが出ている。

 その一つが、緊急相談窓口を開設していたアディーレ法律事務所の関連クリニックであるクリニックゼロプラスである。同事務所の代表である石丸幸人氏は、弁護士兼美容医師であると説明し、ダブルライセンスだからこそできることがあるとウルフクリニック閉鎖を受けて表明していた。4月25日に緊急相談窓口の開設を発表したのだが、そのときに同時にクリニックゼロプラスで1施術について100円で施術を提供することも発表していた。5月9日現在までに受け入れは終了しているが、合計で約400人を受け入れたと報告している。

 同様な救済の動きにはほかにも増えている。例えば、コロナ検査関連で広告を盛んに出していたことで知られる、にしたんクリニックも同様にウルフクリニックの利用者を救済すると主にツイッターで呼びかけ予約を受け付けている。さらに、関西のクリニックなどが割引での施術を受け付けると報告しているほか、東京でもエステサロンが無料で施術を受けられるよう対応すると報告している。

 全体で何人がウルフクリニック閉鎖の影響を受けて、利用困難になり、返金を受けられない状況になっているかは不明だが、救済される人数は数百人に上るようだ。クリニックの突然閉鎖はあってはならない事態だが、利用者にとっては不幸中の幸いとなった。

Win-Winの関係を築く

美容医療の市場が回復。出典/矢野経済研究所

美容医療の市場。男性など医療脱毛は急成長している。出典/矢野経済研究所

 ヒフコNEWSで何度も見てきたように、脱毛の利用者も店舗も増える中で、それに対応するスタッフ不足や宣伝費用の増大などで、脱毛を提供するエステなどは収益が圧迫されやすい状況にある。そうした中で、ウルフクリニックの突然の閉鎖はエステ脱毛だけではなく、医療脱毛でさえも課題を抱えている現状を浮き彫りにした。

 もっともヒフコNEWSで伝えたように医療脱毛は急成長している。今回、救済を受けた利用者は安価に代替となる施術を受けられ、一方で、クリニックは利用者から感謝され、しかも脱毛の業界において注目される男性利用者の認知度を高めることにつながるという、Win-Winの関係を築けたことになる。また、脱毛のコースが終わってからも、脱毛を含めた関連の施術を継続的に利用してもらう可能性もある。男性の美容意識の高まり、男性市場が拡大する中で、男性利用者の囲い込みにつなげられたのは意味があるだろう。

 今後、ウルフクリニックのようなトラブルがあるかもしれないので、利用を考えるときのクリニック選びには注意をするのが重要だろう。

参考文献

医療脱毛クリニック突然閉院、SNSで嘆きの声、相談窓口の設置も
https://biyouhifuko.com/news/japan/1123/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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