ヒフコNEWS 美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイト

自然に薄くなったシミでは「DNA修復」が活発に 20週間の調査で見えたシミ改善の仕組み ポーラ化成工業が報告

カレンダー2026.9.26 フォルダー最新研究
頬の茶色いシミや色素斑を指で確認している顔のアップ。

シミやそばかすなどの色素斑は、レーザー治療の前に皮膚科医が診断し、治療の適応を判断する必要がある。画像はイメージ。(出典:Adobe Stock)

 シミが自然に薄くなるとき、肌の中では何が起きているのか。

 シミのある皮膚を20週間にわたって調べたところ、自然に薄くなった部分では、DNAの傷を修復する遺伝子の働きが活発になっていた。

 ポーラ化成工業の研究グループが2026年9月に報告した。

20週間で自然に薄くなったシミを調べる

マイクロバイオプシーの極小針のサイズと、皮膚から微量組織を採取する方法を示した図。

直径約250µmの極小針を用いるマイクロバイオプシーの概要。低侵襲で皮膚内部の解析に用いられる。(出典:ポーラ化成工業)

  • 同じシミを20週間調べる→ 特別な処置をしなくても自然に薄くなるシミがあり、その過程を継続して調べた。
  • マイクロバイオプシーで変化を確認→ ごく細い針で少量の細胞を採取し、シミの色と遺伝子の働きを同じ部位で繰り返し評価した。
  • メラニンだけでは説明できず→ シミが薄くなった部分では、メラニン産生に関わる遺伝子に目立った変化は見られなかった。

 シミには、紫外線によって作られるメラニンが深く関係している。メラニンは紫外線から細胞を守る役割を持つ一方、過剰に作られると皮膚の色が濃く見える原因になる。

 そのため、これまでのシミ対策では、メラニンを作らせない、あるいはできたメラニンを取り除くという考え方が中心だった。

 一方、ポーラ化成工業は、長年シミを観察する中で、特別な処置をしなくても自然に薄くなるケースがあることに着目した。そこで今回は、同じシミを継続して調べられる方法を使い、20週間にわたって皮膚の変化を調べた。

 使ったのは「マイクロバイオプシー」という方法だ。直径約250μmという非常に細い針を使い、皮膚からごく少量の細胞を採取する。傷が小さく回復も早いため、同じ場所で、シミの色の変化と遺伝子の変化を繰り返し調べることができる。

DNAの傷が残ると、メラニンを取り込みやすくなる可能性

20週間でシミが薄くなった人では、メラニン産生遺伝子に変化はなく、DNA修復遺伝子の発現が増加したことを示す図。

自然にシミが薄くなった皮膚では、DNA修復に関わる遺伝子の働きが活発になっていた。(出典:ポーラ化成工業)

  • DNA修復遺伝子が活性化→ 自然に薄くなったシミでは、紫外線などで傷ついたDNAを修復する遺伝子の働きが高まっていた。
  • NEIL3に注目→ NEIL3の働きを弱めた細胞ではDNA修復が遅れ、取り込むメラニン量も増えた。
  • シミ対策に新たな視点→ メラニンを減らすだけでなく、DNAダメージと修復の仕組みに働きかける方法につながる可能性がある。

 こうして調べたところ、20週間でシミが自然に薄くなったケースがあった。

 ところが、シミが薄くなった皮膚を調べても、メラニンを作ることに関係する遺伝子には目立った変化が見られなかった。

 代わりに確認されたのが、DNAの傷を修復する遺伝子の活性化だった。発表では、シミのある部分はシミのない部分と比べて、紫外線などによるDNAダメージを示す指標も高かったとしている。

 シミが薄くなる過程では、単純にメラニンを作る働きが弱くなるだけでなく、その背景でDNA修復が関わっている可能性が浮かび上がった。

 研究グループによると、自然にシミが薄くなった皮膚では、DNA修復に関わる遺伝子の働きが活発になっており、中でも「NEIL3」という遺伝子が注目された。さらに細胞を用いた実験では、NEIL3の働きを弱めるとDNA修復が遅れ、細胞が取り込むメラニンの量も増えた。

 シミを「メラニンが多い状態」としてだけ見るのではなく、その背景にあるDNAダメージと修復に目を向けた点が今回の研究の特徴だ。シミが自然に薄くなる仕組みをさらに調べることで、新たなシミ対策につながる可能性がある。

参考文献

シミが自然に薄くなるメカニズムを解明 シミ再発を予防する新たなアプローチにつながる可能性
https://www.pola-rm.co.jp/pdf/release_20260924_1.pdf

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

お問い合わせ

下記よりお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。