女性のデリケートゾーンの形や大きさを整える婦人科形成。その代表的な手術である小陰唇縮小術を検討する際、気になるのが術後の痛みや出血、腫れがどの程度続くのかという問題だ。婦人科形成の手術はどのように行われ、術後にはどのような経過をたどるのか。スワンクリニック銀座(東京都中央区)院長の福澤見菜子氏に聞いた。(聞き手/ヒフコNEWS編集長 星良孝)

スワンクリニック銀座院長の福澤見菜子氏。婦人科形成を専門とし、小陰唇縮小術などを手掛ける。(写真:編集部)
福澤見菜子(ふくざわ・みなこ)氏
スワンクリニック銀座院長
- 手術時間と麻酔→小陰唇縮小術は平均40分ほど。静脈麻酔と局所麻酔を組み合わせて実施。
- 術後の経過→725件のアンケートでは、痛み止めの使用が平均2.75日、出血が4.67日、強い腫れが5.22日。
- ダウンタイムの考え方→痛みや出血、腫れが続く期間には個人差があり、それぞれの症状が落ち着く時期も異なる。
──小陰唇縮小術はどのように行われる?
福澤氏:手術時間は平均40分ほどです。内容によって違いますが、早ければ30分くらいで終わりますし、経験豊富な術者であれば、通常は1時間もかからないと思います。
麻酔は、静脈麻酔と局所麻酔を組み合わせています。静脈麻酔で意識がぼんやりした状態にした上で、局所麻酔を行います。局所麻酔の効果が現れれば、その後の手術中は痛みを感じにくくなります。
手術が終わる頃には意識がはっきりして、会話ができる方も多いです。
──手術後には出血や腫れが起こる?
福澤氏:そうですね。小陰唇は血流がよい部位ですから、術後に出血することがあります。
そこで当院では、術後の経過についてデータを取っています。手術から1カ月ほど経過した時点で、出血が何日続いたか、痛み止めを何日飲んだか、腫れが強いと感じたのは何日間だったかをアンケートで尋ねています。
任意回答のアンケートですが、725件の回答が集まっています。回答を集計すると、痛み止めを使用した日数は平均2.75日、出血が続いた日数は平均4.67日、腫れが強かった日数は平均5.22日でした。
一般には、術後2週間程度は出血してもおかしくないと説明している医療機関もあります。ただ、実際にどのくらいの期間、出血が続くのかを調べたデータは、あまり多くないと思います。
当院では実際に手術を受けた方々の経過を調べて、その結果を示すようにしています。
術後の経過には個人差がありますが、こうして数字で示すことには意味があると思います。
──すべての医療機関で同じ経過になるという意味ではない?
福澤氏:当院では症例を多く手掛けていますし、手術を担当する医師は全員、形成外科専門医です。そうしたことも関係しているかもしれません。
ただ、ほかの医療機関と比較した正確なデータがあるわけではありません。まずは自分たちの施設で、実際にどういう経過になっているのかを把握することが大切だと思っています。
──出血や腫れが強かった日数は平均5日前後だが、これをダウンタイムと考えてよい?
福澤氏:手術後の出血や痛み、腫れなどが、手術を受けた方自身が感じるダウンタイムに当たると思います。出血した日数、痛み止めを服用した日数、腫れが強かった日数などはそれぞれ違う指標です。出血が止まったからといって、腫れも完全になくなっているとは限りません。
一方で、術後2週間ほどで婦人科検診を受けた方から、産婦人科の先生に手術をしたことを気付かれなかったと聞いたこともあります。
その時点では、まだ多少の腫れが残っていることもあります。ただ、もともと小陰唇は個人差の大きい部位ですから、周囲からは手術を受けたことが分かりにくい程度まで落ち着いていることもあります。
もちろん、これは個別の経験であって、誰もが同じ経過になるということではありません。
──痛みに対しては、どのような対応をしている?
福澤氏:手術中は局所麻酔を使用しますが、術後は麻酔が切れることで痛みが出てきます。
術後の痛みをどう抑えるかは手術を受けた方の負担を減らす上で重要な問題です。
当院では術後の痛み止めの使用日数も調べています。痛みが何日続くのかということだけでなく、どの程度の期間、鎮痛薬が必要になるのかを把握するためです。
- 術後の痛み対策→手術後は麻酔が切れることで痛みが生じるため、鎮痛薬による管理が重要。
- 長時間作用型の麻酔薬→国内未承認のエクスパレルは、術後最大72時間程度の鎮痛効果を目指した薬。
- 痛みの評価→手術当日の痛みは10点満点で平均1.9点と報告。手術技術だけでなく、麻酔や術後管理も重要に。
──長時間作用型の局所麻酔薬Exparel(エクスパレル)を使った疼痛管理についても紹介している。
福澤氏:これは、リポソームブピバカインという長時間作用型の局所麻酔薬です。薬剤が徐々に放出される仕組みで、術後最大72時間程度にわたる鎮痛効果を目指した薬です。
手術中だけでなく、手術が終わった後の痛みを抑えることを目的として使うものです。
国内では未承認ですが、小陰唇縮小術では、手術そのものが短時間で終わっても、その後の痛みが手術を受けた方の負担になります。そこを減らせないかということです。
──痛みの評価結果も示されている。
福澤氏:痛みの強さを数値で評価するNRSという指標を使っています。これは、痛みがない状態を0、最も強い痛みを10として、本人に痛みの程度を答えてもらうものです。
手術当日の痛みのスコアが平均1.9となっており、比較的低い数値だったという結果です。
手術中の痛みを抑えることはもちろんですが、術後の痛みを少なくすることも大切です。皆さん手術を受けた後に普段の生活へ戻っていきます。そのときに痛みが強ければ、生活にも影響します。
ですから、手術の技術だけではなく、麻酔や術後の管理も含めて考える必要があります。
──手術が短時間で終わることだけでなく、術後の痛みや出血、腫れがどの程度続くのかを知ることも、医療機関を選ぶ上で重要になる。
福澤氏:婦人科形成は特殊な部位の手術ですから、手術の方法だけではなく、その後の経過も含めて考えなければいけません。データを積み重ねることで、説明をより具体的にできますし、医師自身の技術を見直すことにもつながります。(続く)

スワンクリニック銀座院長の福澤見菜子氏。婦人科形成を専門とし、小陰唇縮小術などを手掛ける。(写真:編集部)
プロフィール
福澤見菜子(ふくざわ・みなこ)氏
スワンクリニック銀座院長。形成外科専門医、医学博士。2006年に慶應義塾大学医学部卒業。2008年に東京大学形成外科に入局し、関連病院で形成外科診療に従事。2012年に大塚美容形成外科千葉院院長、2017年に湘南美容クリニック松戸院院長、2019年に同赤坂見附院院長を歴任。2020年に医学博士を取得。婦人科形成手術、顔のアンチエイジング治療を専門とし、小陰唇縮小術や糸リフトなどを手掛ける。日本美容外科学会(JSAPS)および日本美容外科学会(JSAS)の正会員。日本形成外科学会、日本美容外科学会、日本抗加齢医学会などで婦人科形成や美容医療に関する研究発表・講演を行い、医師向けの技術指導にも携わる。2018年には米国形成外科学会(ASPS)の年次総会でOutstanding Presentation、Best Abstractを受賞。婦人科形成や美容医療に関する医学雑誌への寄稿も行っている。スワンクリニック銀座(https://fujinka.jp/)。
