美容鍼によってシワは改善するのか。
ポーランドの研究グループが過去の研究を調べ、2026年10月、美容皮膚科学誌に論文を発表した。
約7割で眉間のシワが改善、ほうれい線にも変化

顔のさまざまな部位に細い鍼を刺して行う美容鍼。施術方法や鍼を刺す位置、本数などは、施術の目的によって異なる。(出典:Adobe Stock)
- 研究内容→ポーランドの研究グループが、2026年9月までに発表された美容鍼の効果や仕組みに関する研究を分析。
- 眉間のシワへの効果→女性36人に6週間施術した研究では、72.2%で眉間に力を入れたときのシワが改善。
- ほうれい線や輪郭への効果→25人の研究ではほうれい線の長さが平均37.34%減少。日本の研究では咬筋の体積が平均7.37%減少。
美容鍼は、顔に細い鍼を刺し、シワやほうれい線、顔の輪郭などの改善を目指す施術。手術を伴わない美容法の一つとして利用されている。
美容鍼は、皮膚の細胞や血流、筋肉などに働きかけることで、見た目の改善につながると考えられている。
ただし、実際にどの程度の効果があるのかについては、まだ分かっていない点も多い。
今回、研究グループは、美容鍼の効果や仕組みについて、2026年9月までに発表された研究を幅広く調べた。
調査の結果、美容鍼によるシワの改善を示す研究も確認された。
例えば、2025年に発表されたイランの研究では、30~59歳の女性72人を対象に、顔や体への鍼治療を受ける36人と、施術を受けない36人に無作為に分けて比較した。
6週間にわたって週2回の施術を行ったところ、写真による評価では、施術を受けた人の72.2%で、眉間に力を入れてシワを寄せたときの見た目が改善していた。力を入れていない状態でも、63.9%に改善が見られた。施術を受けなかった人では、改善は確認されなかった。
また、2025年に発表されたインドネシアの研究では、25人に2週間で6回の鍼治療を行った結果、ほうれい線の長さが平均37.34%減少したと報告された。ただし、施術を受けない人との比較は行われていない。
日本からも、美容鍼による顔の変化を調べた研究が報告されている。2024年の研究では、女性10人に週1回、8週間の美容鍼を行ったところ、顔の輪郭に関わる咬筋の体積が平均7.37%減少していた。
こうした結果からは、美容鍼がシワや顔の輪郭などに一定の変化をもたらす可能性がうかがえる。
一方で、科学的な根拠はまだ十分ではない

顔や首元に細い鍼を刺す美容鍼。シワやたるみ、ほうれい線など、顔の見た目に関する悩みに対応する美容法として利用されている。(出典:Adobe Stock)
- 科学的な根拠→対象者が少ない研究が多く、施術方法や評価方法も異なるため、効果を裏付ける根拠はまだ不十分。
- 肌への作用→美容鍼によってヒトの顔のコラーゲンやエラスチンが増えることを直接確認した研究は見つからず。
- 安全性と今後の課題→鍼治療では出血やあざ、痛み、感染などの報告も。施術方法を考慮した効果と安全性の検証が必要。
ただし、今回の総説では、個別の研究で良好な結果が示されているものの、美容鍼の効果を裏付ける科学的な根拠は、全体として不十分だと評価した。
対象者の少ない研究が多く、施術方法や評価方法も異なるため、美容鍼によってどの程度の改善が期待できるかは、まだ十分に分かっていない。
また、今回の総説では、一般的な美容鍼によってヒトの顔のコラーゲンやエラスチンが増えることを直接確認した研究は見つからなかった。
安全性についても、今回の総説で引用された鍼治療全般の研究では、出血やあざ、痛み、感染などが報告されていた。研究グループは、鍼を刺す深さや本数、施術回数なども考慮しながら、効果や安全性を客観的に検証する必要があると指摘している。
日本でも、美容皮膚科医が関わる団体による美容鍼の普及活動や、大学などによる研究が行われている。今回の総説は、国内でも美容鍼の効果や安全性を科学的に評価し、今後の研究や施術のあり方を考える上で参考になりそうだ。
参考文献
Grzonkowska M, Baumgart J, Kułakowski M, Baumgart M. Cosmetic Acupuncture for Facial Aging: Anatomy, Mechanobiology, and Clinical Evidence—A Narrative Review. Journal of Cosmetic Dermatology. 2026;25(10):e71245.
https://doi.org/10.1111/jocd.71245
