美容やダイエットを目的としたGLP-1関連薬の使用によって、深刻な健康被害が報告されている。20代女性が激しい嘔吐などで救急搬送され、入院した事例も確認された。
厚生労働省は2026年10月30日、医薬品医療機器総合機構(PMDA)がまとめた副作用報告を示し、医薬品の適正使用を改めて求めた。
20代女性が激しい嘔吐、緊急入院した事例も

救急搬送される事態に。画像はイメージ。(写真/Adobe Stock)
- GLP-1関連薬の使用→糖尿病や肥満症の治療薬が、美容やダイエット目的でも使用され、健康被害が問題に。
- 20代女性の重症例→オンラインで薬を入手した女性が激しい嘔吐で緊急入院。BMIは約18から約16に低下し、飢餓性ケトーシスと診断。
- ほかの入院事例→20代女性2人が嘔吐などで救急受診後に入院。いずれも飢餓性ケトアシドーシスと診断された。
GLP-1関連薬は、2型糖尿病や肥満症の治療に使われる医薬品だ。製品としては、チルゼパチド(2型糖尿病治療薬マンジャロ、肥満症治療薬ゼップバウンド)やセマグルチド(2型糖尿病治療薬オゼンピック、肥満症治療薬ウゴービ)などが知られている。
一方、こうした薬が、本来の治療目的とは異なる美容やダイエット目的でも使用されていることはかねて問題視されている。
PMDAによると、美容や痩身を目的とした使用による副作用報告が複数寄せられており、中には救急搬送や入院が必要になった事例もあった。
例えば、20代女性がオンライン医療サービスを通じて薬を入手し、自己注射を開始した事例では、投与開始から約2カ月後に激しい吐き気が発生。BMIは約18から約16まで低下し、嘔吐を繰り返して立っていられなくなり、緊急入院した。体内でケトン体が増える「飢餓性ケトーシス」と診断された。この女性には、神経性やせ症の既往歴があった。
このほかにも20代女性2人が、投与後に嘔吐などの症状を起こし、救急要請や救急外来の受診を経て入院した。いずれも「飢餓性ケトアシドーシス」と診断された。
ケトーシスが悪化するとケトアシドーシスに至ることがあり、意識障害などを引き起こす生命に関わる危険な状態になる可能性がある。
ケトーシス17件、消化器症状28件など報告

GLP-1薬の体重減少の効果。画像はイメージ。(写真:Adobe Stock)
- 主な副作用報告→吐き気や嘔吐などの消化器症状28件、ケトーシス関連17件、低血糖14件、膵炎11件。
- 重症化のリスク→過度な食事制限や繰り返す嘔吐によって、ケトアシドーシスなどの重い健康被害につながる恐れ。
- 厚労省とPMDAの注意喚起→承認された用法・用量の遵守を求め、嘔吐が続く場合や飲食できない場合は、直ちに投与を中止して医療機関を受診するよう呼びかけ。
PMDAが美容や痩身を目的とした使用に関連する副作用報告を集計したところ、主な報告件数は、吐き気や嘔吐などの消化器症状が28件、ケトーシス関連が17件、低血糖が14件、膵炎が11件だった。
これらは2004年4月から2026年5月までに収集された報告の集計で、副作用が起きる頻度を示すものではない。
PMDAは、過度な食事制限をしながらGLP-1関連薬を使用すると、頻回の嘔吐などによって重い健康被害につながる可能性があると注意を促している。
美容やダイエットなど、承認された効能や効果の範囲外で使用した場合の安全性や有効性は確認されていない。
厚生労働省とPMDAは、承認された用法・用量を守るよう求めるとともに、使用中に嘔吐が続く、食事や水分が取れないといった症状が出た場合は、直ちに投与を中止して医療機関を受診するよう注意喚起している。
参考文献
厚生労働省医薬局医薬安全対策課長「GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用の徹底について(周知依頼)」(医薬安発1030第1号、2026年10月30日)
医薬品医療機器総合機構(PMDA)「PMDAからの医薬品適正使用のお願い No.18 GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用のお願い」(2026年10月)
