
クリーム状のスキンケア製品を手に取る様子。肌に使用する製品にはさまざまな成分が含まれており、成分表示や使用方法を確認することが重要になる。画像はイメージです。(出典:Adobe Stock)
美白クリームや美容液などの皮膚用製品から、表示されていない強力な医薬品成分が見つかった。
米国ハーバード大学医学部などの研究グループが2026年10月、医学誌に発表した。
最も強力なランクのステロイドを検出

クリームや美容液などのスキンケア製品。化粧品にはさまざまな種類があり、配合成分や使用目的も製品によって異なる。画像はイメージです。(出典:Adobe Stock)
- 調査結果→米国で通販の皮膚用製品18製品を分析。6製品から表示のない強力なステロイドを検出。
- 検出された成分→最も強力なランクのクロベタゾールプロピオン酸エステルを検出。最高濃度は米国の承認医薬品の9.2倍。
- 健康へのリスク→長期間の使用で皮膚が薄くなる、ニキビや色素異常などの恐れ。顔への使用では特に注意が必要。
インターネット上には、美白効果や、湿疹、乾癬などの皮膚症状の改善をうたうクリームや美容液などが数多く並ぶ。ところが、こうした製品の中には、医薬品成分を含みながら、その成分を表示していないものもあり、安全性が問題になってきた。
今回、研究グループは、皮膚症状への効果をうたいながら、その効果を裏付ける成分を表示していない製品や、過去に問題を指摘された製品など、医薬品成分の混入が疑われる18製品を選び、成分を分析した。
その結果、18製品中6製品から、米国では処方箋が必要な「クロベタゾールプロピオン酸エステル」というステロイドを検出。これは外用ステロイドの中でも最も強力なランクに当たる成分だ。
具体的には、美白を目的とする「Neoprosone(ネオプロソン)」のクリーム、ジェル、美容液のほか、湿疹や乾癬などへの効果をうたう製品からも検出した。検出した成分の濃度は約0.01~0.46%。最も高い濃度は、米国で承認されている医療用外用剤の0.05%と比べて9.2倍だった。さらに、研究グループは6製品のうち2製品から、表示のない抗真菌薬の成分も検出した。
医薬品成分が検出された6製品はいずれも、こうした医薬品成分をラベルに表示していなかった。また、6製品には通販サイト上で合計1万件を超えるレビューが寄せられており、多くの消費者に利用されている可能性がうかがえる。
ステロイドは皮膚の炎症を抑える医薬品として使われるが、強力な製剤を適切な管理なしに長期間使用すると、皮膚が薄くなる、ニキビのような症状が出る、色素異常が起きるなどの副作用につながる可能性がある。
特に顔はステロイドが吸収されやすく、目の周囲への使用では緑内障などのリスクも懸念される。
なお、今回の研究は問題が疑われる製品を選んで調べたもので、市販されている化粧品全体の3分の1に強力なステロイドが含まれているという意味ではない。また、製品の使用者に実際に健康被害が起きたかどうかまでは調べていない。ただ、研究グループは、消費者が医薬品成分の存在を知らずに製品を使い続けることの危険性を指摘している。
日本向け通販サイトにも掲載、成分表示の信頼性が課題に

手の甲にクリームを塗る様子。肌に使用するクリームなどの製品にはさまざまな成分が含まれており、成分表示や使用方法を確認することが重要になる。画像はイメージです。(出典:Adobe Stock)
- 日本向け通販での販売→「Neoprosone」や「Zudaifu」などが日本向け通販サイトにも掲載。ただし、研究対象と同じ処方かどうかは不明。
- 過去の注意喚起→2023年にはカナダ保健省が「Neoprosone Cream」に強力なステロイドが含まれると警告。日本の関連サイトでも紹介。
- 成分表示の問題→表示されていない医薬品成分が含まれる場合があり、海外製品の購入時には安全性や成分表示の信頼性に注意が必要。
今回の研究で問題の成分が見つかった製品の一部については、日本向けの通販サイトにも販売ページが設けられている。
2026年11月時点で、海外商品を取り扱う日本向け通販サイトは、「Neoprosone」や「Zudaifu(ズダイフ)」などを掲載し、在庫があると案内していた。これらの製品が日本国内で正規に流通しているかは不明だ。また、通販サイトが扱う製品と、研究グループが分析した製品が同じ処方や製造ロットであるかどうかも分かっていない。
日本でも、厚生労働省関連の情報サイトを通じて、海外で問題となった皮膚用製品について注意を促してきた。
厚生労働省関連の「あやしいヤクブツ連絡ネット」は2023年9月のカナダ保健省による警告を紹介している。その中には「Neoprosone Cream」も含まれており、クロベタゾールプロピオン酸エステルを含む製品として注意を呼びかけていた。
今回の結果は、一部の皮膚用製品について、成分表示だけでは実際に何が含まれているかを判断できないという問題を示している。インターネットを通じて海外の化粧品や皮膚用製品を容易に購入できるようになる中で、製品の安全性や成分表示の信頼性に注意する必要がある。
参考文献
Abilov Z, James MJ, Porter ML, Popov YV. Undeclared Pharmacologically Active Ingredients in Over-the-Counter Skin Products. JAMA Network Open. 2026;9(10):e2638654.
https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2026.38654
個人輸入において注意すべき医薬品等について・2023年(あやしいヤクブツ連絡ネット)
https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/individualimport/health_damage/overseas_report/2023.html
