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痩せた後の「顔のこけ」「皮膚のたるみ」に美容医療が対応 米国で顔への脂肪移植39%増、GLP-1薬に関する相談を形成外科医の82%が経験 米国形成外科学会が報告

カレンダー2026.11.4 フォルダー 海外
あごの輪郭に指先を添えている女性の顔の下半分を写した写真。

あごの輪郭に手を添える女性。顔の輪郭や皮膚の状態は、加齢や体重の変化などによって変わることがある。画像はイメージです。(出典:Adobe Stock)

 GLP-1関連薬などによって大幅に体重を減らした後、今度は顔のこけや皮膚のたるみが気になる。米国では、こうした減量後の外見の変化が、美容医療の新たな関心事になっている。

 米国形成外科学会(ASPS)が2026年9月、2025年の美容外科統計を発表。顔への脂肪移植や皮膚を引き上げるリフト施術が増え、形成外科医がGLP-1関連薬に関する相談を受けている状況が明らかになった。

顔への脂肪移植39%増、リフト施術も増加

鏡を見ながら、両手を顔の側面に当てて肌の状態を確認する女性。

鏡を見ながら、両手を顔の側面に当てて肌の状態を確認する女性。

  • 美容外科手術の増加→米国の2025年の美容外科手術は前年比7%増。顔への脂肪移植は39%増と大きく伸びた。
  • リフト施術の動向→額や眉のリフトは29%増、首のリフトは21%増、フェイスリフトは13%増。
  • GLP-1関連薬との関係→形成外科医の82%が薬の使用に関する相談を経験。ただし、施術増加との直接的な因果関係は不明。

 米国では、GLP-1関連薬を使った肥満症治療が広がり、大幅な減量を経験する人が増えているとされる。一方、体重を減らした後に、顔の脂肪が減少したり、皮膚がたるんだりすることも新たな課題となっている。

 今回、米国形成外科学会は2025年の美容外科手術の動向をまとめ、前年と比較した。

 その結果、美容外科手術全体の件数は前年比7%増加。中でも顔への脂肪移植は39%増加し、学会が集計した施術の中で最も大きな伸びを示した。

 また、皮膚を引き上げるリフト施術も増えていた。額や眉のリフトは29%増、首のリフトは21%増、フェイスリフトは13%増だった。

 さらに、ASPSの調査に回答した会員外科医の82%が、2025年にGLP-1関連薬の使用に関係する相談を受けたと回答した。

 ASPSは、妊娠や加齢、減量などによって変化した体の外見を元に戻したいという希望が、美容外科手術を受ける主な動機になっていると説明している。

 年齢別では、66歳以上の人が受けた美容施術の件数が前年比24%増と最も大きく伸びた。一方、18~25歳では9%減少した。

 こうした結果からは、加齢や体重の変化に伴う外見の悩みが、美容外科手術を受ける動機になっていることがうかがえる。ただし、今回の統計では、GLP-1関連薬の使用が顔への脂肪移植やリフト施術の増加を直接引き起こしたかどうかまでは確認していない。

GLP-1時代、減量後の変化への対応も課題に

頬に人差し指を当てている女性の顔のクローズアップ。

頬に指を当てる女性。体重の減少に伴い、顔の脂肪が減ったり、頬の輪郭が変化したりすることがある。画像はイメージです。(出典:Adobe Stock)

  • 減量後の顔の変化→顔の脂肪が浅い部分から深い部分まで減少し、骨格や靱帯が目立ち、皮膚のたるみなどが生じる場合も。
  • 美容医療での対応→皮膚を引き上げるだけでなく、脂肪移植や組織の再配置などを組み合わせる必要がある場合も。栄養状態や体重の安定も重要。
  • 日本での課題→美容目的でのGLP-1関連薬の適応外使用による健康被害も報告。減量の安全性に加え、その後の外見や体の変化への対応も課題に。

 GLP-1関連薬の普及が美容医療に与える影響については、これまでも専門家が指摘してきた。

 ヒフコNEWSでは2026年3月、国際美容医療学会「IMCAS World Congress 2026」で、米国の形成外科医マイケル・ソメネク氏が講演した内容を紹介した。

 ソメネク氏によると、GLP-1関連薬などによって大幅に体重が減った人では、顔の浅い部分から深い部分まで脂肪が減少し、骨格や靱帯が目立つようになるなど、顔の外見に変化が生じるという。

 そのため、単に皮膚を引き上げるだけでなく、脂肪移植や組織の再配置などを組み合わせる必要がある場合もあると説明した。

 また、食事量の減少に伴う栄養不足にも注意が必要で、手術を検討する際には、栄養状態や体重の安定なども含めて判断することが重要だと指摘していた。

 日本では、美容やダイエット目的でのGLP-1関連薬の適応外使用が問題となっている。ヒフコNEWSでも2026年10月、厚生労働省とPMDAが救急搬送された事例を公表し、注意喚起したことを報じた。今後は、減量の効果や安全性に加えて、その後の体の変化まで見据えた医療の考え方が重要になりそうだ。

参考文献

Lift Procedures Led Growth as Demand for Restoration Drove Plastic Surgery in 2025, New ASPS Report Reveals(米国形成外科学会、2026年9月1日)
https://www.plasticsurgery.org/news/press-releases/lift-procedures-led-growth-as-demand-for-restoration-drove-plastic-surgery-in-2025-new-asps-report-reveals

2025 ASPS Procedural Statistics Report(米国形成外科学会、2026年)
https://www.plasticsurgery.org/plastic-surgery-statistics

GLP-1時代、美容医療はどう変わるか 顔の構造変化に対応へ 外科・栄養・診断を組み合わせた治療設計が課題に IMCASで米国形成外科医が指摘(ヒフコNEWS、2026年3月21日)
https://biyouhifuko.com/news/world/17052/

美容目的のGLP-1薬で救急搬送も 20代女性の重症例を公表、ケトーシスなどの副作用報告 厚労省とPMDAが注意喚起
https://biyouhifuko.com/news/japan/20065/

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Author

ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

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