男性看護師座談会 Vol.2 「美容クリニックで人気!トライフィル ぱちキワ ミラノピールってどんな施術?」
美容医療の現場に立つ男性看護師に集まってもらい、座談会を開催。女性看護師とは違った視点もあり、美容医療を検討するときのヒントにもなるかもしれない。第2回は、参加した男性看護師の勤めている美容クリニックで、人気な施術について。
──みなさんの美容クリニックで、人気な施術を教えてほしい。
高橋:THE ONE.の名前の通り「唯一無二の運命の美容クリニック」と打っており、お悩みに応じて、一人一人と真摯に向き合って治療していきます。
今、一番多いのはディスカバリーピコレーザーを用いた、カスタマイズの治療です。シミ、毛穴、くすみ、肝斑、ニキビ跡など色んな悩みがあると思うんですけど、悩みに応じ治療を、一人一人設定方法や照射の仕方、範囲など全てを細かく変えて行います。
例えば、ここは毛穴のところ、ここはシミのところ、ここは引き締め肌質を整えたいところ、というように合わせて、照射の方法やレーザー、種類を変えて、その人に合ったその人だけの処置を行っていくというのがカスタマイズ治療です。
──その人だけの治療というのはすごい。場所によって全部変えるというのは、目利きができないと成せないわざ。
高橋:そうですね。あとは、しっかりと話を聞き、お肌の状態に応じて肌質分析カメラや3Dカメラも使います。
肌質分析カメラは、箱型のところに顔を入れ、囲われた状態で精密に肌の状態を分析します。皮膚画像から隠れシミも見えますし、キメ、シワ、毛穴、炎症、肌年齢などを解析することができます。
3Dカメラでは、顔をあらゆる角度で撮影し、お顔のボリューム体積なども見て「たるみの治療がいいかな」「ヒアルロン酸がいいかな」と、治療法を考案していきます。
──長期的な視点で?
高橋:そうですね。最近は新しく、ニキビのクレーターの肌の治療になるんですけど、トライフィルという韓国からきた日本で初の治療も行っています。
トライフィルは、今話題のサブシジョンとドラッグデリバリーを組み合わせた革新的なニキビ跡治療です。
針先からCO2ガス、薬剤が順に噴出。皮膚に注入していくことで、ニキビ跡の原因になる、瘢痕ひきつれを「水平方向」に切り離し、その部分が正常な組織になるよう、再構築を促す治療です。
メリットは、ダウンタイムでの出血が少なく、腫れが長引かずに色素沈着が出にくいこと。ひきつれが癒着しないよう、同時にヒアルロン酸(化学結合されていない非架橋のみ)を注入できることです。
「垂直方向」の衝撃波、既存のピコフラクショナルレーザーとの組み合わせ治療で、上・横側からアプローチができるため、さらなる改善が期待できることもあります。
──痛みはない?
髙橋:痛みはあるので、麻酔をして、痛みのないように行っていきます。結構ハードな治療です。導入したばかりで、まだ皆さん1、2回しか施術されていないので、今後どのくらい効果が出てくるのかを見守っている最中ではあります。その1、2回の中でもみなさん結構改善しているため「もう少し回数を重ねればもっとよくなるのではないかな」と先生の見解です。
回数は、その方の目標や個人差があるので「何回やれば良い」というものでもないです。経過を見てですね。
こうじ:イートップクリニックで人気なのは、眉下切開施術です。眉毛の下を切って、かぶさってきたたるみを取ってあげたり、一緒に脂肪を取ってペタっとさせてあげたり、というものです。
──インスタなど、SNSでも良く見かける。流行っている?
こうじ:すごく見ますよね。アートメイクは、最近受けられている方が多く、アートメイクを先にして、その上に切り込んで傷を目立ちにくくするという方法でうちはやっているんです。眉の中に傷があるような感じになるので、ダウンタイムが目立たないんですよ。
──新しいですね。
こうじ:そうなんです。それで先生も気合いを入れていて、眉下リフトは1日1件は必ずやっています。
あと“ぱちキワ”と呼んでおり、商標登録をした施術があるんですけど。簡単に言うと、眼の上の余剰皮膚を切り取るだけなんで、余剰皮膚切除という名前になるんですが。
──目の上のたるみが取れる施術?
こうじ:はい。目頭側のかぶさりって、結構あるんですよ。眉下の切除を行うと、目尻側が上がりやすいんです。目頭側の余剰皮膚切除も一緒にしっかり行うぱちキワならば、目の上のたるみがバランス良く取れるんです。やられている先生は、あまりいないです。
目元のたるみが全部なくなってくるので、二重のラインもクッキリはっきりする。そこから「ぱっちりきわ見せリフト」という名前にして、ぱちキワ(上瞼たるみ取り)と命名。皮膚科の施術も多いですが、ぱちキワなどの外科の介助で入ることは多いです。
こば:私は逆に外科はやらないです。研修時代はありましたけど、今勤務するSHERIE CLINICでは、圧倒的に皮膚科と注入が多く人気です。
これを見てほしいんですけど、私は(ニキビなど肌の)重症治療が得意です。
こうじ:すごい!詳細を知りたいです。
こば:主には、アクネトレント(一般名:イソトレチノイン)などの内服を5カ月、ミラノリピールを月に1回、3度施術しこうなりましたが、肌状態を見ながら色々やりました。
皮膚治療は、お医者さんがする治療は基本ないので、指示はもらいつつも看護師が治療の主導権を握ることになります。シミや重症なニキビ、たるみ治療などです。たるみは先生も関わってきますが。
皮膚治療は、皮膚の解剖と成り立ち、ターンオーバーを理解しておくことが大事です。勉強熱心な子が多いので、看護師の同僚たちと解剖生理を頭に叩き込んでいます。
皮膚科のメニューには、コースがあったり「回数を重ねて頑張りましょう」というものも多いですが、その回数も業務的にやったら綺麗にはなりません。それぞれの肌質があるので、きちんと記録を残し、その人に合った治療で肌をきれいにする治療が売りですし、人気です。中でも、やはり重症患者が多いです。
──このお写真を見て、来られる方も多いのでは。
こば: そうですね。自分が担当し、治療した中では最も飛躍的に改善した例です。
回数を重ねるたびに、自信がついたのか、ご本人の髪型や服装が変わっていくのが印象的でした。
──ミラノリピール、そんなに効果が期待できるんですね。
こうじ: ミラノリピールは、今流行っているピーリングですよね。
こば: ピーリングって聞くと、「肌の汚れを取り、つるっとさせる」というイメージがありますが、令和になってくると製剤が進化していて、それだけじゃないんです。
肌には、表皮真皮とあるんですが、令和ピーリングは塗り込むだけで肌の真皮に入っていき、コラーゲンの産生を促す効果が期待できるんです。そこがすごい。
コラーゲンを作ることは、意外と難しく、熱を加えたりCO2レーザーやハイフを用いたりするんですが、基本的に痛くて高い。その上、年を取っていくと、どんどんなくなっていくので、美肌になろうとしたら、コラーゲンの産生を促すことは必須なんですよ。
──この方はピーリングの効果が大きい?
こば: そうですね。強めの薬剤を使用しているので、治療過程で膿が出たり、化学熱傷に近い状態になったりすることもあり、痛みで涙を流される方もいます。それでも、攻めないと治らない時もあるので。
──何回目ぐらいの治療までは痛いか?
こば: 個人差はありますが、このくらい重症な方ですと、最初の4回くらいは強い痛みを伴うかもしれません。徐々に薬剤を弱くしていくので、痛みも軽減していきます。
髙橋: おいくつの方なんですか?
こば: 23歳です。
──ダーマペンでやると、時間もお金もかかる。
こば: そうですよね。ミラノリピールは、1回1万9800円で良心的です。
肌治療を提案する時に、「続けましょう」というのは簡単で、何かあった時に「待ちましょう」ということも簡単ですけど、やはり近道は欲しいですよね。
「すぐ綺麗になりたい」という望みを叶えるために、リスクや副作用もきちんと理解してもらった上で、最短の提案をするということは必要だと思っています。
あと、スキンケアができていないと、近道にはならないので、自宅でのスキンケアも指導します。日々、肌を守っていくのは、施術を受けたご本人のお仕事なので。
美容クリニックで働いている看護師の中には、機械を使えるけど「肌のことわかんない」ということがあります。
こうじ: たくさん、ありますよね。
こば: 機械だけ使える、ただのパイロットのような看護師にはなりたくない。基本は、皮膚科の看護師なので、皮膚の解剖生理とスキンケア、この治療が患者さんにどう影響するのかを理解することが美容看護師の真髄だと思っています。
──こばさんは、スキンケア指導でどのようなものを勧めるのか。
こば: 攻める治療が多く、守るものが必要になるので、圧倒的にセラミドは第1選択にして、ビタミンCも含有しているものを使ってもらいます。
医療専売品もクリニックにはあるんですが、高いので、継続できる市販品を勧めています。
ただ、セラミドって結構重たくて、原材料がベタベタするので、それを加工するときは脂で溶かす。基剤というんですが、ニキビ、乾燥肌の人は、脂を塗りすぎてしまうと、逆に自分の皮脂が持っていかれてしまい、乾燥が起こるんです。脂の塗りすぎには注意。適度がいいです。
看護師プロフィール ※50音順 敬称略
こうじ 新井孝二(29)
大学病院の小児科で3年間勤務した後、大手美容外科でリーダー・スタッフ指導を担当し3年半勤務。現在は立ち上げから携わった赤坂にあるイートップクリニックに勤務。同医院では、眉下の皮膚を切除する“ぱちキワ”が「二重幅が広がる!」と人気。ニキビに悩んでいたとは思えぬほどのツヤのある肌は、自身の美容研究の成果という。サプリメントの知識を常に集めている。美容看護師歴6年目。
Instagram → @e_coopi.a(美容ナース こーじ)
こば(31)
美容関連クリニックのオープンと同時にアルバイトとして入社し3年間勤務。現在は新宿にあるSHERIE CLINICに勤務し4年目。皮膚の重症治療にも携わる。また、男性美容ナースとしてSNSで情報発信を続け、Instagramのフォロワーは23年8月時点で2400人を超える。美容看護師歴は4年目だが、皮膚の解剖生理とスキンケアの研究を続け、勤務する皮膚科では管理職も務める。
Instagram → @dsk_glam(こば。)
髙橋良(48)
美容皮膚科のアルバイトから始まり、複数の美容クリニックで幅広く看護師業務を経験。現在は、東京・神谷町にあるTHE ONE.で主任を務める。細かな分析を行い、一人一人の肌に合わせたカスタマイズ治療が人気。よりよく年を重ねていく「ウェルエイジング」の考え方で、無理のない寄り添った施術を提案してくれる。学んだ美容知識を自ら実践し、年を感じさせない肌の状態を保つ。美容看護師歴16年目。
Instagram → @Theone__clinic(THE ONE. | 美容医療)
(写真/編集部)
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